これほど“食べること”が“性的”に感じたのはこの本が一番でした。
シェフのお話なので勿論調理シーンや食事シーンが多数でてくるのですが、その際の表現がねっとりとしっとりと、そしてどこか少し猟奇的でそれが物凄く官能的に感じました。
ネタバレは控えたいので簡潔に済ませますが、あらすじにも書いている通り、主人公が血の入ってしまった料理を誤って出してしまうわけです。
一滴の血から魅せられてしまった男性と、自分の母親の「食人家に食べられる事件」とその他諸々の出来事が重なり、終盤には「自分の体液は美味しくて魅せてしまう」と信じてしまっているところも狂っていて、そこが良かったです。
比喩表現をそのままの意味と勘違いしていたことがわかった時も可愛すぎました笑
また母親の事件の話が解決するので、サスペンス要素もあって続きが気になり一気に読んでしまいました。
本当に引き込まれて気づけば少し泣いてしまいました。笑
しかも最後のシーンがまた究極に愛が溢れていてしかもすごく官能的で……たまりません。
主人公の愛についての考え方が、そういう愛の表現があることが素敵で感慨深かったです。
また、2人が大人なので当然なのですが感情の起伏が激しくなく読みやすかったと思います。
他の方も言っていますが、ある意味究極の愛、まさにその一言に尽きます。
本当にクセがあると思うので、食人などの表現が苦手だったり猟奇的な表現が得意でない方は少し控える、または心構えして読んだ方がいいのかなと思いました。