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女性にこもみじさん

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タバコふかす攻さんの絵がすごく好みでした

初めて読んだのは発売後すぐで、その時さらっと読んで、すごく良いなと思ったものの、その後読み返すことはなく。
最近本棚を見つめ直してたまたま手にとったら、琴線にがんがん触れてきたのか、何度も読み返しては心がじーんとしています。

ページ数的にはすごい短いですし、さらっとしてるんです。
(わたしにはすごく短く感じられました!!もっと読みたかった!!!)
でもすごい沢山の要素が詰め込まれていると思うんです。
そしてそれも、ぐちゃっとしてなくて引き出しにすっきり纏められているというか。
キャラクターがしっかり出来上がってるからでしょうか。

攻さんも、受さんも抱える人間としての寂しさ、切なさ、孤独さがどこかしこに散りばめられていて、でもふたりともそこに適合しようと、何とか頑張ろうとする姿が、見ていて胸がぎゅっと締め付けられるようでした。
好きな人、家族、その他の相手のことを大事に思う気持ち、でも自分自身も辛くて、何とか折り合いをつけようとするふたりがすごい愛しくなります。
大好きな相手の為に、自ら身を引くというテッパン好きな私にとって、受さんが攻さんにサヨナラ告げるシーンは、最高のごちそうでした。
その後絶対にやり直せるチャンスがあると信じられるBLお約束ならではのごちそうだなと、しみじみします。

セリフ以外の表情、態度、リアクションが読み返せば読み返すほどにじんわり胸に響きます。
そして大島先生の、コミカルなコマを割合と大きく扱うところが、いい閑話休題な感じで好きです。

読み返す度に味わい深くなるようでした。

作家さん買いしましたが、大満足の味わいでした。

おおむね攻くん視点でストーリーは進みます。
攻くんが超ポジティブシンキング坊ちゃんで、ちょい天然かましつつの誠実な感じですごく好印象。
対して仕立て屋の受さんは、言葉にはせず(出来ず)、不器用ながらも愛情表現をちみちみ表現してて、受攻ともに好印象なキャラクターです。

分かりやすく好きだ愛してるだのの言葉のやりとりはありません。
攻くんが相手のことをより深く知っていくなかで、受さんのことをより大事に大切に、誠実であろうとする姿が、見ていて「うおーーー」と悶えました。
そしてたまに挟まれる受さんの視点を見て、こんなに攻くんのことを大事に思ってるのか、とさらに「うおー…以下略。
大好きな人の身体を遠くからでも舐め回すように見て、妄想炸裂させてトイレに駆け込むシーンは、このストーリーの攻くんだからこそ、ニヤニヤしてしまいます。

超個人的ですが、せくすはスポーツみたいなもん、せくすは好きじゃなくてもできる、でも「抱きしめる」は好きじゃなきゃできないんだのストーリーが特にぐっときました。
オチは相変わらず受さんのツンな感じで終わりますが、でもそこがイイ!!!
だいたい受さんのツンな態度に対して、攻くんの盛大ながっかりのリアクションが毎度見ていて飽きません。
最終的にはそのツンも愛情表現として受け取るこのカッポー最高やないかい、と心の中でガッツポーズしてしまう私でした。

甘く無いページが圧倒的に少ない

甘々が読みたい、穏やかな空気感に触れたくて安心感を求めて手に取り、安定の超絶甘いカッポーに癒されました。
こんな穏やかな二人にどんな転をもたらすのかと思いましたが、ふたりらしいきっかけで目出度く両思い。
うまい采配です、流石間乃先生。

相手のことを思いやり過ぎた結果、好きなのに物理的、または精神的にも距離を置こうとするキャラクターが元より大好物で、溺愛系攻め様と健気な受け君という、これまたどんぴしゃ具合。
特に攻め様のカイル視点で、いかに受け様の倫が可愛くて可愛いのか、ありとあらゆる面から描き尽くされているのが、糖度を更にあげています。
送った絵葉書を大事に飾られていたら、そりゃ悶えたくもなりますよ。
送る文面にも注意を払って、丁寧に記す場面も、カイルの深い倫への想いを感じ、私の胸にもズドンと刺さりました。
カイルは倫を、ガチで目に入れても痛くないレベルで可愛がっているのに、でも欲で目を眩ますことはなく。
相手のことを心の底から大事にしたいという一心で、誠実に接するカイルが、天晴れでした。
本当に好きなんだね、と納得させられるようで。
自制心というか、我慢強さが半端じゃない。
目の前に餌があると思わず食べてしまうのが本能なら、カイルのそれは理性によって従順に手懐けられていました。

以前ちるちるさんの記事で、BL読み慣れてるからこそ読める漢字云々について読んで、確かに早々に分からない漢字無いなーと思っていたところの、ムベなるかな、に思わずグーグル先生呼んでしまいました。
BL読んでてもまだまだ分からない意味があって、ちょっぴり安心感を得てしまった本なのでした。

フサフサのモフモフがこれでもかと。

人間にもなりかわれる白狼王な攻さんと、小さくて幼さの残るかわいらしさを持つ受さんが出会って、その後婚儀まで記されています。
特に受さんの、あどけない感じが作中に散りばめられ、それを大事に大事にしようとする獣人王の攻さんが、私の好みにクリーンヒットなストーリーでした。

受さんのことが大事過ぎて、オロオロする攻さんが大好物な私には最高に眼福ものです。
物語の主役なんで当たり前なんでしょうけど、獣姿は大きな体躯で筋骨隆々そうなのに、人間の姿ではスラリとした如何にも着痩せする細マッチョのようで、二重に美味しいキャラで、言うことなし。
受さんが何してるか不安過ぎると漏らした攻さんに、膝に乗せればいいじゃないとアドバイスした近衛隊長も、なかなか良い役所でした。

葛西リカコ先生のイラストは元々大好きなのですが、この表紙は本当垂涎ものです。
特に攻さんの毛のフサモフ具合が手に取るように分かる!と思うほど。
作中にもいかにその白い毛並みがフサモフか丁寧に表現されていますが、イラストでさらに補完されるようです。

ストーリーは、何とはなしに既視感を覚えつつ進んでいきます。
当て馬役も、やっぱそうですよねーそうなりますよねーという末路を進まれるので、安心して読めました。
惜しむらくは、受さんが攻さんのことを好きと気付くまでの経過が、やや流されてるように感じられてしまったことでしょうか。
少々そこが気になってしまい、ストーリーに没頭できませんでした。
でも、攻さんに大事にされていたことに気付くシーンは、すごく良かったです。

受くんが表紙と違って、でもすごく良い

溺愛好きにはたまらん一冊でした。

好きと表現したいのにそれまでの生い立ちから中々表現できない受くんと、不惑の変態ではなく変人な攻さん。
好きと言えないし、好きだから離れたほうがいいとひとりで悩みまくる受くんが、とても愛しかったです。

変態と変人は私の中では割と類義語でしたが、受くんのセリフになるほど、と納得してしまいました。
いやでも冷静に、確かに攻さんは変人だけど、変態の性も持ち合わせてるんじゃないか…
変人かつ変態でしたが、紳士な部分もいかんなく発揮されていて、最高でした。
攻さんの友人の、破れ鍋に綴じ蓋の発言がありましたが、まさにぴったり。
良い思いさせてやると言ったけど、それは誰とは言ってないだろ?、の下が最高に気分良かったです。

古いものが好きという攻さんに、共感出来たのも良かったです。
人が大事にしていたものを、時代を超えてまた使えるって素敵だと思います。
金継ぎは親しみがありましたが、銀継ぎもあるとは。

終始穏やかな雰囲気の中で物語が進みますが、受くんの感情がしっかり起伏があって一気に読み進めてしまいました。
ごちそうさまでした。