ネタバレあります。
「少年と神隠し」
柔らかで繊細で優しい物語でした。
攻めのテンは穏やかで決して多くを語る性格ではありませんが、修一郎(受け)を見守る天狗で、
受けの修一郎は身寄りがなく幼少期から神通力を持つが故に悩みながらもまっすぐ優しく育った少年になっています。
読んでいくにつれ、ああこのふたりには、何度でも幸せになって欲しいなぁと切ない気持ちになります。ハッピーエンドなのに。
最後のコマの余韻のある穏やかな終わり方が私は好きです。
テンと修一郎の住む場所が町から離れた山であることもふたりの関係が秘密めいていて素敵だと思います。
互いが好きというのは勿論のこと、大切なんだろうなあと思わされる場面がこれまた良かったです。
大切だからこそ相手を縛りたくないし、失いたくない。離れたくないし、側にいてと求められたい。
テンにとっては探し続けて数百年越しに叶う恋。
でも修一郎も魂が探していたと思うんです。何度も夢見るくらい。
何度離れてもまた出会う運命なんでしょうね。
舞台が昭和28年ということで66年前くらい…?
その頃の修一郎は16歳ということなので生きていたら82歳くらい!
今も縁側で緑茶でも啜りながら、ずっと穏やかにいてくれたらいいなぁ…。
穏やかな時間を願わずにはいられない素敵な物語でした。