賛否両論、様々な意見があって当然な作品ですね。
評価がすごく難しい。
いや、一読者のわたしなんかが作者さんが書いたこの渾身の作品に評価なんておこがましいんですけど。
一意見としてネタバレしながら思ったこと。
[葵兄ちゃんの扱い]
家庭環境最悪。病んだ母に精神的に虐げられて限界。偽善者ぶった変態のおじさんに囲われる。
性的に悪戯されそうになり抵抗し命を落とす。
無惨です。酷い。
じゃあ、抵抗していなかったら?
あのクズのおじさんに延々と身体をいたぶられ続けるの?それこそ生きながらに地獄で死に値するんじゃないの?
だからって殺されてしまった事を肯定する訳じゃないですけど。
[福太の復讐]
本筋で変態おじさんに制裁をする福太。
自ら手を下さずに警察に通報したらいいんじゃない?
いやいや、そんな簡単な事じゃないんですよ、と。警察に捕まってなんだかんだで刑務所に入ったとして何の救いになるの?
葵兄ちゃんのお墓に眼鏡を供えて「あいつ、捕まったからね」なんて手を合わせる福太、福太じゃない。
二人が死に至ってしまう過程が、ラストが決して万人受けするものではない。じゃあどうしていたら?のたられば論に何が正解だったのか?と読者それぞれの受け止め方がある。
二人にとってこれ以上ない幸せ、と感じる人もいればもちろん否定的な、嫌悪感や拒否感を抱く人だって多いでしょう。そう思わされるには十二分の描写があります。
神、しゅみじゃない…みなさんが様々な異なる意見を交わすこの作品。
良くも悪くも強烈に印象に残る、心にこびりつく…いろんな意味でとんでもないなと思いました。