つきづきよしさん、何度もお名前を拝見していて気にはなっていたのですが、なかなか本を手に取る機会がなく。
表紙しか見たことがなかったので、受けちゃんは可愛い系というイメージを勝手に抱いていたのですが、まあもちろん全く違っていて先入観は怖いなと改めて思いました…二人とも大変男らしかったです。
本の厚みで見れば薄いほうかもしれませんが、個人的にはとても濃密なお話だと思います。
映画を見ているようでした。
この瞬間、このアキラの一言にどれほどの想いが乗っていたのか…とか、卒業後の話でよく分かります。
というかアキラが何も言わず礼司の前を去ったのって、わりと礼司の自業自得だよなぁと思うんですよね。
あれこれ構っておきながらアキラの想いには答えないし、何聞いても「お前には関係ない」の一点張りだったし、そりゃあ…頼れんでしょう。
アキラの裸見たときから礼司にも何か思うところがあったのかもしれないし、礼司が医者目指すのはアキラのためなんだろうなぁとは思ったけど、言葉にしなきゃ伝わらんのよなぁ…。
でも最終的には言葉にせずとも以心伝心できるようになっていて何より、安心しました。
その後、二人はお肉食べに行ったのかなぁ。
ずっと見ていたい二人です。
新興宗教が出てきた辺りでどうなっちゃうの…?と思ったのですが、なるほど兄の梏が縋ったのが、新興宗教の名前を借りた犯罪組織の首領である崔だったということで。
お兄さんの名前、「梏」という字には、てかせ、しばる、つなぐ、みだすという意味があるようですが、勁だけでなく自分自身にも手枷を付けて、お互いを繋ごうとしていたわけですね…。作中一番可哀想な人なんじゃないかなと個人的には思いました。
もっとも、そんな梏に一番執着していたのが崔というサイコパスだったというオチで、しかも先に死んじゃうし、梏ほんと、どこまでも可哀想だなと…。
文字通り生まれ変わった勁を通して、彼も救われればいいなぁなどと思いました。
そして勁と宥。
表紙通りの大団円で号泣しながらスタンディングオベーションでしたが、ここまでくるのにどれだけ時間を要したか…。
でも宥がたくさんの時間をかけて、たくさん愛を注いであげなかったら、ここまで来れなかっただろうなあと。命をもって抱えた薔薇の花束を最期の贈り物にして、きっと彼は死んでしまっただろうなあと思います。
作中での「ギフト」は勁のボクサーとしての資質を指しておりましたが、勁にとってはこの一連の物語(宥に出会い、御子柴ジムで仲間を得、兄と邂逅し別れ、人としての感情を取り戻す)そのものが「ギフト」だったんじゃないかなと思いました。
宥に出会わなかったら、御子柴ジムにもボクシングにも出会えなかったわけですし。
まあその基盤は、他でもないお兄さんが実は引き寄せていたものだったわけですが。
一方の宥も、ボクサーとしての「ギフト」は無かったけど、代わりにトレーナーとしての資質と、愛情深い父親という「ギフト」が既に与えられていて、勁のお陰でそこのとに気付けたという意味では、やっぱり物語そのものが宥にとっても「ギフト」だったんだろうなあと。
お父さん、いい人でした。お前のやってることは親を殴らせるほど悪いことなのか、なんてリングの上できちんと息子に示すことができる、こんな度量の広いお父さんBL漫画にそうそう存在しないですよ。
「勁」は、つよい、かたい、するどいという意味。
対して「宥」は、ゆるす、なだめる、やわらげるという意味。
二人の本質は、最初に名前が判明していた時点でそもそも決まっていたのだなあと思うと、一ノ瀬ゆまさん、この物語の構想にどれくらい時間を掛けていたのかなあと…。
いつもいつも素晴らしい作品を描き上げてくださる作家さん。
改めて、本当に心から好きだなあと感じましたし、「gift」という最高のギフトをありがとうございます!!!!!という感謝の気持ちでいっぱいです。
小学生の頃って実力主義というか、成績がいいだけで一目置かれるみたいなところあるし、それが別の価値観で崩れてしまったがゆえのいじめときたならば、それはそれは容赦なかっただろうなぁと勝手に工藤くんの生い立ちに思いを馳せてしまいました。
が、性格が変わってしまってもめげなかった工藤くん。本当に偉いと思います。
だからこそこんな(と言ったら失礼ですが)わがまま坊や雨音の勝手な願望に巻き込まれてしまったのは、本当に本当に可哀想でならない…と思ってしまいました笑
でも作中で運命の番っぽい?描写がされていた気がしたので、運命ならば仕方ない。
雨音の思うがままなのはちょっと許せないので笑、今後は思いきり甘やかされて、憧れの先輩の下のびのびその才能を発揮してほしいです。
ラムダンもウルジもわしゃわしゃ~~ってしたくなるくらい可愛い。
そして肉感のあるためこうさんの筆致で、色んな体位とアングルから描写されるおせっせシーンの美しいこと…ラムダンが体をしならせたときに浮き上がる肋骨の感じとかもうたまらないです。
程良く筋肉が付いたラムダンだけど、お肉は薄いんだね…!そしてウルジは筋肉もお肉もそれなりに乗ってるんだね流石お坊ちゃんだね!という体格差の描写が絶妙。
あとモンゴルぽい民族衣装・装飾とか風景も最高。
ためこうさんの絵でこういうの見たかった…!という願望が叶いました。しかも続刊!!
キャラクターの掘り下げも今後どうなっていくのか楽しみです。
ウルジの兄もどう絡んでくるのか気になります。
前作での陽気でラブラブな2人の印象からガラッと変わってシリアスで、タマミヤめちゃめちゃ苦労してたんだなあと…特にミヤ。
生い立ちがもうあれで、オーナーに拾われてから少しはマシになるのかなと思いきや…
衣食住提供してやるけど身体で稼げよ?っていう…その結果変に性癖こじれるし好きな人には変に誤解されるしでもうなんか可哀想すぎて一緒に泣いてしまいました。
タマはタマで頭の回転が!あれだし!(巻末の有朋くんのツッコミがほんとそれ!っていう…)
ただそこがタマのいいところであり本気出せば躊躇せず男気奮発するスパダリ候補でもあるので、二人くっついて本当に良かったなあと思いました。
オーナーのちくピをタマが外してくれたときはスタンディングオベーションでした。よくやったタマ。私もそれがとても気に食わなかった。
オーナーのお話が続刊として出るのかなあなどと思うのですが、個人的には赤と青のその後が見たいです…。