正直4,5巻は少し失速したかなと思っっていたのですが、(エロが若干ストーリーのノイズに感じてしまいました。)とても力のある作者様なので、エロシーンも汁だくで大変エロくて良いのですが、少年漫画のようなアクションや、ストーリーが上手いので、そちらにもっと振り切っても全然良いと思いますね。
六巻、お話が大きく動いて、今までのキャラクターの心の動きや考えが腑に落ちる展開で、とても面白かったです。
バロとマルトゥさんのやりとりにジンときました。
そして晃一もカイウスも、様々な物事に対し考え続けて、自分自身を変えていくことが出来る、誠実に関わろうとしていく人間で格好いいです。
どのキャラクターも質量が或るというか、関わり合う中で影響し合って、キャラクターの心が変わっていくことがとても自然で、ちゃんと生きているなあという、手に取れるような、質感があるんですよ。ファンタジー世界にキャラクターが本当に生きているリアルさを感じて、毎回感動します。
キャラクターもお話の作りも丁寧で、アクションシーンがとってもハラハラしました。続きが気になってワクワクします。
そして、私は特にケモに惹かれる属性ではなかったはずなのですが、
こちらの作者様の描かれる獣人が、とてもリアルで、獣の骨の作りと毛の生え方が絶妙で、いろんな悪い顔がとっても良いです。今巻の悪そうな山羊の獣人、肉食獣の方々、狼獣人のバロ、仕草や表情がたまらなく、シリアスなシーンがどうなるのかドキドキしつつ、ときめきを禁じ得ない・・!画面があまりにも眼福で何重にも楽しみました。今巻大満足です。
真面目クール?タイプ×健気が多い作者様ですが、今作の攻めヴァレンテもクールなキャラクターで、エリオに段々惹かれていって、エリオに対してだけ心が素直になって甘く崩れていく感じが最高でした。
あらすじは受けのエリオが魔物に襲われて家族も家もなにもかもを失った後、生徒達に魔術を教えている攻めのヴァレンテの元で彼も魔術を学んでいくお話ですが、
エリオの魔術の才能がないことに対する悩み、なりたい理想と足掻いても道が開けない苦しさ、出来ることを模索していく中での先の見えない辛さ、葛藤にとても共感しました。
丁度似たような、やりたいことがあるのににっちもさっちもいかない状況にいる時期だったので、読んでいてシンクロしすぎて辛い部分もありましたが、ヴァレンテの台詞にエリオが救われたように、苦しみから引き上げされ、浮き上がらせてもらった気持ちです。本当に必要な時期に良い本に出会えました。ありがとうございます。
今まで一つのことを必死でやってきたエリオが終盤、藻掻くことに疲れ、道を見失っているときに、思わぬ方向から彼が欲しかったものは違うことが、良い方向に進んで、状況が好転していくのが、人生なのかな、というか。そこがとても印象的でした。
エリオの人生を追いかけていく内に、読んでいる方も少し気が抜けて、気付かさせられたものがありました。