か…過呼吸攻め! パニック症で過呼吸持ちの攻めだ!! 受けですら居ないと思っていたのに!! 検索しても「萌えすぎて過呼吸」みたいなタグでしか引っかからないからもうこの世には存在しないものと諦めていたのに!!!!
というわけで、個人的な好みにクリティカルヒットを食らったので、問答無用の神評価です。本当にありがとうございます。過呼吸をあやしてもらうのは最高のバブみです。
先に断っておきますと、他の皆様のおっしゃるとおり、確かになにか爆発的なカタルシスがある話ではないですし、帯の感じからエロエロを想像すると意外と濡れ場があっさりしてて肩透かしかもしれないです。帯の「獣人の精液って本当に濃い」って台詞、確かに作中で出てはくるのですが、これはド序盤に手でしてあげた時にもうちょっと「へえ~」みたいなテンションで言ってるもので、本番は最後の最後にさらっと一回だけなのですね。いかにも獣人ものという感じの絶倫セックスを期待するとあららってなるかもです。
でも個人的にはそこの精神的エロスに全振りしてる感がすっごいツボだったんですよ! 青褐くん(成人男性なんですがくん付けで呼びたくなる可愛さがありますね)の身体に心が追い付いていない振る舞いがめちゃくちゃ可愛くてえっちなんですよこれが!! セクハラは駄目だけどからかいたくなってしまうよこれは!!!
一緒にいることで心は落ち着くのに体は興奮してしまうというアンバランスさがもう最高にキュートでもう~~! 図体のでかい奴が自分より小さい奴にすがりついているところってどうしてあんなに愛らしいんでしょうね……
自分も人見知りが激しい質なので、青褐くんがパニックと戦いながら懸命に外に出ようとするさまを我がことのように手に汗握って応援してしまいました。できる人には当たり前のことだから、すごく怖くてすごく頑張ってるんだということを分かってもらうのは難しいんですよね。だからこそ相京さんが「よく頑張りました」と言ってくれた時は「本当に頑張ったね~!えらいね~!!ちゃんと褒めてくれるひとに出会えてよかったね~~!!!」って祝福の気持ちでいっぱいでした……たとえ社会が変わらなくても本当に偉大な一歩だよ……
こういう愛と依存の話、だいたいヤンデレ方面というか呪いを強める方向に行ってしまう(マネージャーさんがやってるのとかまさにそうですね)気がするのですが、相京さんが自分の手元に縛り付けるのではなく世界を広げる方向に向かって背中を押してあげるのも良かったですね。愛を感じます。あと中盤のめっちゃシリアスなチクニーで笑いました(笑うシーンじゃないよ!)
差別をめぐる話を扱うにあたって、あからさまな悪口とかではなく「げんなり感」を押し出してくるのも個人的には好みでしたねー。相京さんの昔のクラスメイトの件も、たぶん誰かが明確な悪意を持っていたとかではなくて、誰も悪くないんだけどでもなんだかうまくいかなくなってしまう、という嫌な感じなのが…。
最終話にヒントが~というの、ネットの反応のところでちらっと書かれている消えた子役のことなのかな?と思ったのですが、その辺りの答え合わせは続編?スピンオフ?を待ちたいものです。
かなりベタ褒めしてしまったのですが、絵はとっても綺麗ですし、「精神的おねショタ」のワードにピンと来る人ならたぶん読んで損は無いんじゃないでしょうか? 2人のこれからを応援したくなる可愛いお話です。
求めていたすべてがありました。やりきってくれて心から感謝しています。
大変気が引けるので作品名は伏せたいのですが、同じ作者さんの別作品を「切ない」という前評判に惹かれて読んだら完全無欠のハッピーエンドでものすごく落ち込んでしまったことがあり(可愛らしくて良い作品だったのですけどね)、今回も正直「これもハッピーエンドだったらどうしよう」というか、逆に「『実は生きてました』エンドだったら今度こそ立ち直れない…」と思っていたのでもう本当に、本当に嬉しいです……ずっとこういう作品を求めていて…………ありがとう……心がずたずたです……
まあミステリ作品ではないというか、謎解きとして楽しむにはもうタイトルからして暗い結末が目に見えている展開ではあるのですが、そこが個人的には好評価で、落ちるためにゆっくりと登っていくジェットコースターのような、まさに「不穏」という雰囲気が非常にツボでした。
なにもかも手遅れだからこそ、それでも残る感情が切なくて美しいのですよね……
こういう"悲劇"を扱った作品というのは、他の方がおっしゃるようにもちろん児童を巡る社会的な問題を反映してという面も当然あるとは思うのですが、個人的にはある種の"愛の寓話"だと思っていて、だからこそ「まともな幸福」から零れ落ちた存在が決して余人には認められないものであろうと救済を得るエンドというのがものすごく好きです。剥き出しの魂の話だから魂に刺さるのです………
ところどころハッとするような表現の美しさが光り、「記憶の蓋を閉める」シーンなんかは鮮烈で素晴らしいなあと思うのですが、一番胸が震えたのはやはり「押し入れが落ち着く理由」が明かされるくだりです……
あのクッキー缶、本当に見るからに小さくて軽いんですよね、「ああ、葵兄ちゃん、こんなに小さかったんだな」と思って、胸がぎゅーってなってしまいました……
万人受けはしないでしょうが、悲しくて美しくて素晴らしかったです。胸に刺さった棘のように忘れがたいラストでした。