両片思いのすれ違いラブは大好きなので読む前から割と期待大。
攻め男同士のマウント取り合い合戦みたいなお話だったらどうしよう…とタイトルに若干不安を感じていましたが杞憂でした。自立した大人の男たちによる何とも初々しい恋愛でございました。
お目当てのすれ違いっぷりはもちろん楽しめましたが、それとは別に好きなシーンが一つ。疲労困憊の馨に仮眠を取らせ、その間におにぎりと飲み物を用意し、仕事に戻る車中で持たせてあげる冬人。一手間加えてあるから夜食にしなさいと。そこで馨がボロボロ泣いてしまうんですね。読者はこの時の馨の心境が何となく把握できるもんで、思わず一緒に泣いてしまいそうに。こんなの一生好きになっちゃうよなぁ…。
末永くお幸せに!と思えるお気に入りの一冊となりました。
さすが木原先生の書かれるお話、所々秋沢にぶちギレつつも続きが気になって仕方なく、TOKYO~NY一気読みしてしまいました。
しかし読了後どうしても秋沢楠田カップルを好きになれず…(主に秋沢)。
COLD3部作の透も傍若無人でしたが彼の背景を思えば納得できましたし、ドン底から這い上がろうとする姿は痛々しいほどで、ボロボロになりながらそれに寄り添う藤島さんには何度も涙しました。
秋沢も秋沢なりに努力はしている様子ですが、楠田が彼女がいると嘘をついていたことに対して癇癪起こしたときには…いやあなた自分がやったことを思い出しなさいよと…
それから更に反省したとはいえ楠田も許してあげちゃいそうな雰囲気で、人が良すぎると感じました。
読み物としての熱量はありますが萌え視点で言えば趣味じゃないです。
昔々シリーズ一作目の『青の軌跡』を読んですぐ三四郎とカイに夢中になり既刊を読み漁るも、タイトロープダンサーの途中で胃が痛くなって脱落したんですよね。私はキング・オブ・面倒くさい受けことカイが大好きなので、三四郎も一生忘れられないくらいカイに夢中になって添い遂げると言ってくれればいいのに…単純なのに薄情な三四郎が憎い…と思っていました。
最近になってカデンツァの存在を知り一作目から読み返してみましたが、相変わらずカイ贔屓なので所々辛かったです。
しかしカデンツァに入るとどうでしょう!三四郎からカイに対する未練や執着が見られるようになり、もしかしたら、もしかしたらこの二人、今度こそちゃんとくっ付くのかもしれない…でもな~三四郎だからな~三四郎だから油断できないな~でもこの感じはもしかしたら……とドキドキしっぱなしでした。カイが◯姦されそうだったときレプリカ刀で輩の頭吹っ飛ばした三四郎なんかもう目眩がするほど格好良くてね…。
最終的に月独立を巡る幾多の試練を乗り越え、人間的に成長し、関係性もいい具合のところに納まった二人。よかったねカイ。三四郎にここまで腹を決めさせたカイの執念勝ちだと思ってます。そしてずっと一緒なのではなく、たまに三四郎が帰ってくるという形なのがエロい。面倒ごとを持って帰ってきてカイに怒られて喧嘩してイチャイチャして末永くお幸せに…。短編で会える日が非常に楽しみです。