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秘め事と日常の両方がキャラクターを作り上げている

ごく普通に生活していた青年・三崎(ミサキ)は、街角でヤンキー風の青年にカラまれ殴られるようになる。避けるべき災難だと理性は警鐘を鳴らすのに、なぜかあのヤンキー青年のたむろすコンビニへ今日も足が向く三崎。そうして幾度となく殴られるうち、ヤンキー青年の放った侮蔑的ひと言でようやく己の性癖に思い至るのであった。

一方のヤンキー風青年・釧路(クシロ)も暴力衝動や不機嫌を自分でコントロールできず、一方的な暴力を標的に叩き込むだけだった。それは単なる憂さ晴らしだと釧路は思っていたが、自分の暴力性を受け止め逃げずにいる三崎に対し、次第に怒り以外の感情が湧き上がってくるのだった。

社会性・道徳性に背を向けたsneaky な衝動で繋がって、ふたりは互いに侮蔑し合っていた。しかし人には言えない恥部・敬遠侮蔑される性質を出会いから剥き出しで貪りあっても、逃げない・壊れないたった1人の相手に、しだいに愛着を抱くようになっていく。

暴力をふるう者とふるわれる者の関係から始まった男どうしの恋愛ストーリー。なんだかマニアックすぎて無理・・と思われそうだが、この著者「たなと」氏は日常会話やその風景を描き出すことに長けた作家。特殊な性癖や性質の描写以外は、意外にも共感を抱ける、カラッと陽性の日常が広がっている。このドMの主人公は一日中性的な妄想をしている訳ではなくて、普通にバイトして友達づきあいして家族孝行している。秘め事と日常の両方がキャラクターを作り上げている。それが一般的な作品に無い、たなと作品の優れた点だと思う。

またゲイの自覚ない青年たちが、男同士で性行為をするに至るそのきっかけをこのように設定し、ストーリーのなかで互いの重要性をしっかりと構築したところも、この作品の優れたところ。「必然性」を考え抜いた、知性の働きを感じる作話。
「当然のようにラブラブ」のカップルは出てこない。ハッテンで出会ったとかもナシ。ノンケの男子たちが、相思相愛になるまでの道のりを、その理由を、その心理を、つぶさに描き出すのが、たなと作品の真骨頂。

痛々しいラブストーリーは嫌いだったのだが、本作はよくある「病み系」の話ではなく、人間再生の物語であることが2巻ではわかってくる。(全2巻)
かたや親兄弟にも見捨てられた精神的捨て子の釧路が、新たな精神的家族をきずいていく過程が沁みる。変にドラマチックだったりヒューマニズムっぽくなくて、淡々と日常を積み重ねて描き出すたなと節が生きている。暴行が縁で知り合ったふたりだけど、それも2巻の結末には驚きの解決法を編み出してしまう。真面目に建設的で、そこまで考え抜いた作者に感心した。
いま一番ハマっているBL作家なので、褒め言葉しか出てこなくてすいません。

大人の問題 コミック

今市子 

あっかるいゲイネタコメディ。

元妻と息子のいる男性が、息子と6つしか年の違わない青年と養子縁組(実質ゲイ婚)をする・・・ところから話が始まる。
自分たちにとって自然な生き方をすることによって、周囲に波紋が(特に身内に)広がってゆく、という人物関係の濃密な書き込みが『風と樹の詩』にも劣らないと思う。
ここまでややこしく絡ませるのは曲芸並みだし、それをキチンと爽やかな読後感につなげられるのも、スーパーテクと思う。相変わらずお見事。

本作で特に気に入ったのは、辛辣な言動と怜悧な美貌で相手を若干引き気味にさせる悟郎。彼の神業的問題解決法。自分の幸せは自分の手で守る。馬鹿正直に世間にぶつかる必要などないんだから、と実に明朗。誰に真を捧げるべきか、彼は本当によくわかっているんだなあ。

登場人物全員が憎めない人物なのだが、かといって良い人でもない。でも傍迷惑度マックスで暴走しつつも大事な所は踏み外さない。そして女たちも魅力的でしっかりと自分の人生を持っているところが素敵!ある意味、名香智子に次ぐフェミニスト的スピリッツを持った作家さんかもしれない。
息子や娘が「俺の気持ちも聞いてよ!」って言わせてもらえる。婚姻関係込み入ってても、誰もが犠牲者に甘んじていない。ある意味理想的。こういうとこも名香智子的。

BL漫画という特殊なルールに則った漫画のジャンルでなく、一般誌(青年誌とか女性誌)に載せてもいけそうな作品でした。
ドラマの醸しかたが濃厚で「わた鬼」的な大衆演劇の風味もあるし、読ませます!BLファン以外にもオススメ!濃厚なラブシーンはないので安心!(BLファン的にはオイシくないのか)

お客様の恋愛成就のために尽くします!

ア◯ゾンのレビューで九州男児氏の最高傑作!と書かれている方がいたが、確かに。よくまとまっているし、腐女子じゃない人にも通用するネタだ!

お話の構成としては都内の超高級ホテルを訪れたお客様の願いを、従業員たちが誠心誠意を尽くして叶えてあげるというもの。ただしそのお客様の願いが毎回ただ事ではない。
第一話は「ハッテン公園での出会いを本当の恋愛に発展させて欲しい」第三話は「ライバル会社のやり手社員への恋を成就させたいエリートリーマン」など徹底的にBL設定だ。ほか教師・生徒もの、アラブの大富豪×庶民と様々なジャンルの恋愛を楽しめるのもオイシイ。

ここで面白いのが、従業員側はゲイ関係の知識がゼロであり、そこが「腐女子じゃない人にも通用する」とした根拠。BL設定の客の言動は珍奇であり、笑いの元として描かれている。そこに九州男児氏のBLジャンルへのまなざしを見て取れるように思う。
美化フィルタのない風刺の視線である。だがしかし、同時に愛着も描かれる。ホテルの従業員たちは若干トンチンカンながら、客の幸せが100パーセントになるよう、渾身の努力を惜しまない。この気持ちも、九州男児氏の書き手の気持ちに重ねられるのではないだろうか。
皮肉なタッチでありながら、いやな気持ちにならない、非常に爽快な読み口である。おすすめ!

目的は、好みの男性をゲットすること!

作画担当・熊田プウ助さんの絵はとっても可愛らしい。この本が、生々しいホモセクシャルの生態を描いているということを忘れさせてしまうくらい。だからこの本を買ったり読み始めたりするのには、それほど勇気を要さない。だが一歩秘密の扉の向こう側へ足を踏み込んだが最後、濃厚で生々しい男たちのカオスの深淵を覗き見ることになるのだ・・・。

原作者・サムソン高橋さんが訪れた国は、タイ・マレーシア・ハンガリー・韓国・インドネシア・シンガポール・クロアチア・台湾・大阪・ドイツとバラエティ豊か。
バックパッカーの旅に関する宿・食・酒の話題もちゃんと入っているし、紹介記事もキチンとしていて紀行本としての楽しみもある。けれどそれはほんの一部分。
多くのページを割いて、詳細に、赤裸々に描き出されているのは、各国のホモセクシャルたちのハッテン場事情なのだ。

サムソン氏は各国を股にかけ、貪欲にお相手を求め彷徨い続ける。しかしハッテン場に行ったからとて、即カップルになれるような人は一握り。
男女関係のモテ・非モテ問題は世間一般でも大いに取りざたされ、その無残さには頷ける人も多いと思う。しかしゲイのハッテン場におけるヒエラルキーのあからさまさはその比じゃない。肉体そのもので勝負するしかない、毎回究極の選択のふるいにかけられ、ハートをおろし金で擦られるような地獄絵図。

そう、サムソン氏は決して勝ち組ではないのである。そうしてモテなさすぎていじけた末、「世間じゃゲイって個性的でセンスがいいとか信じられてるけど、そんなん大ウソ!」「いまだにゲイのことをセンスがよくて優しくておもしろい、などと好意的に大カン違いしてくれる人もいるかもしれないが、俺にいわせりゃ(俺を含め)ゲイは全員ただのケチ!」・・・と毒づ・・いや、喝破する。
吹き荒れるブリザードと戦いながら、時にささやかな小春日和を得るサムソン氏の姿に、我々は涙を禁じ得ないであろう・・・(じっさいは大いに笑わせてもらうのですが)
ギャグのさじ加減も素晴らしい(初出掲載誌「本当にあった笑える話スペシャル」)。メチャメチャ濃い〜シーンを読みながら、何度も吹き出してしまいました。

ホモセクシャルの方がご自身の心情や環境を暴露してくれるこの本は、タブー越境の導き手として非常にありがたかった。
あれこれも赤裸々に教えてくれるサービス精神(プロ魂?)と、自分も他人も美化しないクールな観察眼が素晴らしいと思います。

スーツアクターに夢中

幼少時からヒーローに憧れ、ヒーローになるべく努力を重ねてきた真っ直ぐすぎる男子高校生・ゴウ。ある日ヒーローショーのスーツアクターに目を奪われ、友達になりたい!と猛アタック。ゴウの勢いに押されとまどいつつも、距離を縮めてゆくふたり。仮面の下の本心は?そしてその素顔とは?・・・こちらも『CV:ヒロイン』と同じく扱っているモチーフへの熱い愛が感じられる好印象の作品。

「声優」「スーツアクター」というアイテムはオタクな香り。スーツアクターは私も一目惚れした経験がある(仮面ライダーゼロノスの伊藤慎)ので、この熱い語りにはちょっと共感。BLなんだけど、少女漫画・少年漫画のセオリーをはぶかずキチンと描く正攻法漫画に感心。

百と卍 コミック

紗久楽さわ 

甘々だけど、江戸の文化描写もアツイ

表紙の男子カップルが主役だが、これはお気楽お江戸BLではない!
切見世(安価な色街)の利用料金が出てくる。セリフ「一人じゃ入れねェ」に「しとりじゃへえれねェ」とルビ。廓から見た風景は、アノ浮世絵のイメージ。
主役の片われは蔭間だった過去を持つが、そのエピソードが、陰惨なトラウマであるだけでなく、江戸期の性風俗の活写として見事。買われた子供が家畜のように扱われ、商売の道具へ仕立てられてゆく過程を、兄弟の切ないすれ違いの心情を織り込んで描きだす。著者の時代物を扱う本気さと並々ならぬ力量を見せつけられ感動した。

絵も見事。目はキラキラと潤み、頰はやわらかく赤らんで今風の可愛らしい表情なのだが、月代の一本一本書き込まれた美しい生え際や着物のシワや輪郭の線の強弱に浮世絵風の典雅さが漂っている。
いなせなニイさんと蔭間あがりのクセおぼこい&デカイ男子のちょっとピュアな相愛物語でBL的王道ストーリー。
そして巻末2ページの蔭間自由研究のページが圧巻!この先生の入れ込み具合は本物ですぜ。自分も興味のある分野だけに読みながら熱くなった本でした。続刊も楽しみにしてます。

これって少女漫画の王道パターンやないですか。

ここのつ先生2冊目の単行本。あいかわらず絵が上手い。デフォルメキャラが激カワ!
本作はデビュー作のあとがきでご本人が仰っていた、高校野球への愛がベースに込められてます。
タチ役が野球部員のまっすぐな好青年。それに(ネタバレします!!→)恋したゲイ男子が本心を隠しながら心をこめて彼に尽くし、やがて向こうから惚れられてしまうという・・・ムム、これって少女漫画の王道パターンやないですか。そうなんです、とてもベーシックに感動的です。ただ少女漫画とちがうのはド派手なエロシーンが展開してしまうところ。

併録作品は1冊目単行本に出ていたイガグリ球児くんのラブストーリー。こういうスピンオフは、どの作品もわりとよくやるみたいですが、奇跡的にゲイカップルが誕生した♥︎という喜びもつかのま、その友人のノンケがゲイの恋人をもつ事態が次々に勃発すると若干冷めてきます・・・こんなマジツッコミするわたしがアホなんでしょうか。ゲイを扱う作品がジャブジャブに世間に溢れているという状態に、いまだに慣れないオバハン腐女子です。

電子限定おまけ・・1Pまんが。後日談系ですが、書店でチラシにして配っても差し支えない内容。
併録「なびいた後も♥︎お楽しみ」という単行本告知漫画(4P)が嬉しかった。顧問のひげくま先生の男体ケーキ盛りがキュート!「この花」へのセルフツッコミが最高!この嶋くんがとても好き!単行本描き下ろしの2P漫画はサービス満点の濃厚エロになっております。

「男の娘」と逆ベクトルの女装でキラキラした純愛を描くマニアックな萌え

表紙買い。カラーイラストがとても素敵。本文のマンガマンガしてないイラストタッチの描線も好み。初単行本らしい初々しさもマル。
なによりこの作家さんが、BLというジャンル表現と自分の表現したいものを丁寧に擦り合わせ、真摯に答えを求め続けている様が超好感度高い。まだ拙く、読者を説得しおおせているとは言い切れないが(紙数の問題もあるし)私はかなり満足でした。
自分は男同士の恋愛のどこに萌えているのか、という点でこの作者さんとは気があうと思う。新作出たら読みます。

三本収録。表題作が最新作なのだが、「男の娘」と逆ベクトルの女装でキラキラした純愛を描くマニアックな萌え。仕立屋さん萌えは分かりやすいと思う。
デビュー作(?)の小説家と高校生の恋の妙に視点が定まらない、ふわふわと浮ついた不思議な感じけっこうハマる。(マンガとしては決して上手くはないのだが)
2本目のあとがきに書いていた童●マンセー発言に妙にシンパシー感じる。この作家さんのキャラは基本ノンケ・もしくは無自覚なゲイが多く、その辺けっこう細心で描いてて好きだな。

BARBARITIES Ⅰ コミック

鈴木ツタ 

猛烈アタッカーと尻込みしつつガードが異常にハードなレシーバー

おもしろかった!架空の中世ヨーロッパ風の小国が舞台。その国の司法長官は家柄重視の慣例を破って大出世した人物。かたや彼の警護を命じられた他国の貴族の三男坊。彼らが出会い物語は始まる。

家で持て余され養子にでたが、生まれ持った陽性のキャラクターと美貌、屈強な肉体により人生を謳歌しすぎている貴族三男坊。それに対して庶民の出自で王宮の権謀術数に辟易しながら、国のために仕事するのを無上の喜びとする司法長官。緻密に描き込まれた背景が、人物の心の動きを裏付けていて満足度の高い作品。

奴隷と異国の果物のエピソードがなんか好き。お国の食べ物話で社交性を発揮する、遊び人貴族のゆとりも。庭木の剪定で頭脳労働のリフレッシュをする司法長官のエピもいい。そういうちょこっとした所に、BLと関係ない作者の萌えがふんだんに挟み込まれていて、読み応えがある。どっかからエピだけ削いで貼っつけた感じじゃなくて、キチンと作者の咀嚼を経て表現されているように思う。キャラとエピが無理なくしっくりと馴染んでいる。

恋愛が主旋律の作品であり片思いモノなんだけど、秘めたる恋ではない。猛烈アタッカーと尻込みしつつガードが異常にハードなレシーバーのやりとりがコミカルで面白い。それが時にシリアスにせめぎ合ってハラハラドキドキ!恋をとるか?友愛をとるか?この難題の切っ先を互いに突きつけあって一歩も引かない真剣勝負。男女では発生しないこの奇妙な緊張関係が、非常にソソります。

雀男との恋のゆくえは?

表紙買い。雀と人間の恋…ファンタジー設定なんだけど、幻想を描きたいというより動物を描きたいんじゃないかな、この作家さん。動物がとてもイキイキしている。第4話の扉の飛び交う白鳥ステキ。
また背景の書き込みがとても丁寧で、お部屋の小物まで神経が行き届いた丁寧な作風。一冊かけて恋の成就を描いていく正統派な話づくりに好感。