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二人の日々がどこまでもつながっていきますように

ふさがれた後は、ひらかれ、そしてつながれる。
「ふさいで」で相馬栄に落ち、本作でさらに奥底へと引きずり込まれて息ができないほどですが、何とか気持ちを落ち着けてレビューします!

【ひらいて】
「ふさいで」がきれいに終わったので、次にどんな展開が来るのか全く予想できておらず。
ですが、思い返せば「ふさいで」は栄が過去、そして設楽と向き合い、前を向くまでの話。
番組を壊してしまったトラウマや葛藤は、まだ描かれていなかったんですよね。夢中すぎて気づいていませんでしたが…

「ひらいて」でフォーカスされるのは、これまでのような自分のやり方を突き通し、設楽の番組を壊してしまうことを恐れる栄の姿。
一方で、設楽が向けてくる憧れや嫉妬に応え「特別」でありたいとも願う。

葛藤する栄に設楽が放つ「お前は俺のことなんか、いくらでも踏みつけにしていいんだ」という言葉には、栄によくもそんなことを!と思ってしまいました…
お互いのためを考えているはずなのに嚙み合わない、二人のエゴがもどかしく胸が痛くなります。

そんな折に浮上してきたのが、他局の番組の〝やらせ問題〟。(テレビが抱える根深い問題を扱っているので、興味がある方はなおのこと楽しめるかと!)
テレビ、そして現実世界の「嘘」と「本当」を追ううちに、栄の気持ちが吹っ切れます。

周囲の人間との関係を自ら変えていく、ひらかれた〝新しい〟相馬栄は必見!才能を発揮したさすがの仕事ぶりに、見事成仏できました。
これも、設楽が作り上げてきた番組だからこそできたこと。やっと二人で楽しく仕事ができるようになって本当に良かったです…

栄が嫉妬や郷愁、少しずつ色々な感情を覚えていっているみたいでそれにも感動。
さらに、だんだんと自分から設楽に対する愛情(としか思えない行動)も見せてくれます。良かったね、設楽P!

また、おなじみのメンバーたちも活躍するのでイエスノー好きにはたまりません。
あの人やあの人が、栄と一体どう絡むのか?!ついに会話した!と興奮すること間違いなしです。

【つないで】
発表されたとき「つながれるなんて…」と早くも泣いたこのタイトル(まだ読んでないのに)。
果たしてどんな意味を持つのか、ぜひ実際に読んで確かめていただけたら!

何よりも衝撃だったのが、度々描かれる甘いシーン。あの栄が…積極的にあんなことやこんなことを?!
まあ、あくまで栄比なのですが。でも今まであれだけうすーい反応を見せられてきたので、もはや夢かと思いました。これほどまでに栄を手懐けた設楽宗介、恐ろしい男…

…こんなことを始めに書いたら、まるでラブラブの新婚生活が始まるのかと思いますね。
誤解させてしまった方、すみません。ストーリーは全然甘くないです。シビアです。

猛スピードで展開する仕事描写は、映画が上映されているかのよう。
臨場感たっぷりの厳しい仕事シーンの狭間だからこそ、ラブシーンがより甘く感じられたのかもしれません。
栄と設楽の脳のフル回転に、ついて行くのに必死でした。このできる男二人の会話がまたかっこよくて。

自然の脅威に対し、テレビができること、やらなくてはいけないことは何か。
それをお互いに確かめるまでもなく理解している、二人の信頼感の強さが素晴らしい!
分かりやすくその信頼を表現した文章には涙腺が崩壊し、しばらく読み進められないほどでした…

栄が設楽に、これまで聞けなかったある質問を投げかけられたのにも涙、涙。
設楽の返事は読者にとっては想定通りだと思うのですが、11年以上の時を経てようやくこうしたやり取りができるようになったんだと思うと…泣(泣いてばかりで要領を得ないレビューで申し訳ありません)
とにかく、身も心もボロボロでふさがれることを願っていた相馬栄のこれほどまでに元気で楽しそうな姿を見られ、幸せな気持ちでいっぱいです。


「つないで」の後に掌編が2つあるのですが、そちらも最高。お待ちかね(?)のあの人々も出てきますよ~!
涙も吹っ飛ぶ、笑いのひとときをどうぞ。
色々と謎が多い設楽の過去に、新たな情報も。面倒な男がようやくのぞかせる本音、自分にだけ見せるそれに機嫌が良くなる栄がかわいすぎます。

設楽と離れたあの夜、睦人と再会したあの朝。どんなときでも月が沈んで太陽が昇り、新しい日が始まる。
どちらも自分勝手で、でもお似合いな二人の日々が、いつまでも続いていきますように。

気が狂うほど素晴らしい作品を生み出してくださった一穂ミチ先生に、心より感謝します。本当にありがとうございました!

相馬栄に落ちました

気が狂うほどあまりにも大好きすぎてレビューできていませんでしたが、続篇「つないで」が出たのでこの機会に。
イエスノー本篇はとても面白いけれど、どハマりのCPではないかな~と思った人にこそ、読んでいただきたい「ふさいで」。
過去・喪失・再会・仕事・才・葛藤・嫉妬…、この辺りのワードに高まる方には刺さるのではと思います!
なお、イエスノー番外篇1「横顔と虹彩」だけは、何が何でも先に読んでから手に取ってもらえたら…
 
冒頭に少し不穏なワードを並べてしまいましたが、読後に感じるのはとても〝優しい〟話だということ。
もがき苦しまなければならない道へ進ませるのも、明るい場所へと導いてくれるのも、誰よりも自分を分かっているたった一人の男。
番組作りの天才・相馬栄と、「ザ・ニュース」のプロデューサー・設楽宗介、二人の11年間の道のりです。
 
栄の才に執着し続けた設楽。イエスノー1巻の時点から、彼は栄のために動いていたのかと考えたら震えてしまう…
11年前、デザイン室の奥睦人を交えて三人で過ごした日々は、キラキラ光る青春時代のよう。
これまで人との交流をほぼしてこなかった栄にとって、純粋に楽しい時間だったんだろうなと思うと涙が出てくる…
天邪鬼な本人はひと言もそんなことは言いません。が、読者(というか私)にはそう見える!

陽の光、夏の植物、熱海の海、栄の目を通して見る世界は美しく、とても印象的です。こういう風に世界が見えているから、なっちゃんが「優しい」と感じるような、素晴らしいVを作れるのかなと。

また、始めは警戒していた栄の心を動かした、ニコラシカ、睦人の嘘のない目、設楽の「栄」呼び…このどれもが色褪せず鮮明に、栄の心に刻まれているのだと思います。
 
しかし、作中でひときわ濃く描かれた楽しい時間はたった数カ月で終わりを告げることに。
「現実なんか撮って何が面白いんだよ」、「横顔と虹彩」で出てきた栄の台詞の理由が痛いほど分かります。
ボロボロに傷ついた栄を、自分にしかできない方法で安心させる設楽。
テレビの世界につなぎ留められた栄は、心の奥底に設楽からの憧れと嫉妬を抱えて走り続け―。
 
そして現在、再び倒れた栄の前に現れた設楽。
いつも食えない笑顔を装備する彼が、栄に関することで見せる怒りやエゴ、懸命さがたまりません。
憧れとともに嫉妬をぶつけてくる設楽に対し、実は栄も悔しい・恥ずかしいといった思いを持っていて。正反対なようで、あるベクトルでは似ているんですよね、この二人。
お互いごちゃまぜのドロドロした複雑な感情を、読者として掘り下げていく楽しさといったらもう…
 
終盤、まるで詐欺師のように栄を丸め込もうとしてくる設楽の手腕はお見事(褒めてます)。
自分からはなかなか行動しない栄に対しては、それくらいでないと!

それにしても、「好き」とは言わないけれど「俺の男」という響きに気分がよくなる栄がかわいすぎる…!
もうとっくに好きだと思うよ…と言いたくて仕方がないけれど無粋なので自重します(いや、声すら届かないけど)。
 
どんなに後悔しても、現実は巻き戻せない―。
物語中盤で涙したこの言葉。一時停止も巻き戻しもできないけれど、進めば新しい世界が始まる、そう栄が思えるようになったことがもう本当に嬉しくて嬉しくて…何度でも泣いてしまう。
三人で過ごした日々から立ち上がれず、ふさがれたままだった栄が前へ。その先には、設楽が作り上げた栄のための場所が待っています。
 
最後になりましたが、忘れてはいけないストライキパート。かっこいい国江田アナが読者の心をかっさらっていきそうですが、どうか、どうか相馬栄をお見逃しなく!
設楽がここまで執着するだけの栄の能力のとてつもなさに、一人でも多くの方が打ちのめされますように。
まんまとやられた皆さま、沼の底でお待ちしております。