カラフルさんのマイページ

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女性カラフルさん

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ループものの傑作

秀逸なループもの作品でした…!
BLだという事も時々忘れて中華&ループ&サスペンス要素にのめり込みました。
一冊で何と贅沢なこと…!!フルコース料理を食べたような満足感です。
ボリュームは多いですが、全くダレる事がなかったです。
タイトルで思いっきりネタバレしている作品ですが(笑)、ご心配なく。ストーリーは奥深いです。

やり直しをするごとに事実に少しずつ近づく過程が面白かった。
一回ループする毎に太鳳を取り巻く世界に変化もあるので、今までの並行世界との変化を思い出したり、考察する楽しみがありました。
事件の真相も凝っていて読み応えがありました。

中華設定ですが、なんちゃってものでなく、しっかり考証してあるので、安心して読めました。
文体や描写も冒頭から終章まで崩れる事がなく美麗で、太鳳と龍生の耽美な兄弟愛にもうっとり酔いしれました…。美しくも残酷な世界が二人には似合うこと。
太鳳がどの転生世界の龍生をも愛し、執着する弟マニアっぷりには笑いました。
オネェな沈清もキャラが濃くていい味を出していました。

BL作家さんはどんなジャンルもお手のもので、引き出しが多い方が多くて感心しますね。これだけのボリュームで辻褄合わせもなされて。作家さんと編集者さんの力量を感じさせられる作品でした。次作も期待しています。
イラストも素敵で豪華な本はいいですね!

他のどこにも無い物語…

最初の数ページを読んだ時とその後でこんなに印象が変わる小説ってあるんだ…
読者を驚かせる作家さんですね。

あまりにストーリーのインパクトの強さに頭がガーンとしました。
よくこんな話が思い浮かぶな…と。
確実に人を選ぶ作品です。ダークサイドな話は引き込まれますね。

最近恋人◯ネタは目にする事が多いですが、沙野先生の手にかかると、他のどこにも無い物語になるからすごいなー。
しかも何だかんだで収拾がつくのがまた不思議で。
どんな最後になるか予想もつかず、ドキドキしながら読み進めました。

沙野先生はプロットを練られてからスタートというより、BL裏お題から構想を広げて小説を描かれるそうです。それでも物語として整合性があるからからすごいなー。
王道があまり好きでない人には、もってこいの作品でないでしょうか。
 
アナウンサーという職業から、某有名小説が一瞬ちらついたのですが、
心配無用でしたね。
読み進めるにつれ、タイトルの意味がわかってきてジーンときました。ネタバレ厳禁の作品なので、未読の人は気をつけて下さい。

 某BL映画を観た後にこの小説を読み出しました。主人公恂の彼なりの愛する人の昇華の仕方の方向性が違いすぎて、何とも言えない気持ちになりました。
どちらもまっすぐな気持ちなんだけど…
傍からみると滑稽に見えて痛々しくても、当事者には真剣なんだな。
恂のあやうさは嫌いじゃないです。

物語もわかったような、わからないような、白昼夢を見たような…。
いつまでも咀嚼を続けないと本当の味がわからないような難しい感触でした。これがこの小説の醍醐味かも。過激な内容ながら、相変わらず気品のある文章に言葉のつなぎ方が柔らかく。

昔の某アニメの「いつまでも◯◯◯◯◯を想うのは病んだ人がすることです」という台詞を思い出しました。闇の中の一筋の光である津雲の存在が良かったです。
彼も闇の中を生きてきたけれど。
津雲との一歩は、恂が生きる上で健全なことなんだな。少し寂しい気もしましたが。

登場人物の一人一人の生き方があやうく、流されて行きがちなこの小説の人物の中で、ただ一人フィクサー(黒幕?)である柏林の生き様が強烈でした。
彼の手のひらで登場人物達は転がされていたのか??彼の真意は??
それでも彼なりに津雲に執着していたというところはグッときました。
常人にはわからない愛情だ。
柏林の物語をスピンオフで読みたいと思ってしまった。
読むのは怖い気がするけれど…。

この物語を暗示している表紙も素晴らしいですね!見入ってしまいます。

職業もの&恋愛もの、どちらも楽しめました

SATシリーズの新刊とっても楽しめました!!

 今さらながら引き出しの多い作家さんだなーと感心します。
ワンコ年下東男子✖️はんなり年上京都男子のコンビもいい味出していますし、
職業ものと恋愛ものの塩梅が絶妙です。

二人の距離の詰め方も自然だし、丁寧でリアルでドラマを見ているように二人に共感できました。
ニヤニヤしたり、吹き出したり、泣いたり、百面相しながら読んでいました。

方言談も面白かったし、さすが京都男子を書いたら日本一!!だけあります。
和紗さんは噛めば噛むほど味がでるスルメ系男子で、良い味を出していたなー。
BL界隈では、マサムネ君のように悩みが無さそうな欠点のない陽キャラは人気が低めな気がするのですが、彼の一生懸命な姿に好感が持てました。

和紗さんのリバースのシーンには目が潤みました。過去大変な思いをしてきた和紗さんがマサムネ君に救われる姿に感動しました。

警察組織内部の事を知れるし、事件も凝っているので面白かったです。
それにしても縦割りの警察組織。隊員同士の連携プレイで命懸けで制圧しても、事件の真相は公安が教えてくれないなんて切ない…。命と隣り合わせの過酷な任務なのに。
職業寿命が短いのも驚きでした。
短い限られた期間だから煌めけるんだ、、。

他の隊員の話も読みたい…!SATシリーズの他の積んでいる本も取り崩します。

WEB発痛い系エゴイズム愛の頂点

 タイトルの重みがスゴかった…!
よくありがちなタイトルだし、甘く見てました。
運命に抗う事は壮絶だった…。
究極の痛い病み系BLです。

オメガバースが食傷気味だったり、恋愛ものにマンネリを感じている人には楔を
ぶち込んでくれるような作品だと思います。
描かれる愛はエゴイズム色が濃いので、合わない人も当然いると思いますが、
そういう系統がツボな人はハマると思います。


使い古された「運命」だの「番」だのという言葉のこの作品でのキラキラ感よ。ただし読者が未だ知らない事が多い前半部分限定ですが。
男らしさが悲劇を招く残酷なゲームでした。
中盤までであらかたの世界観を学習した読者にとって当然気になるのは「レオはどうなの???」です。
最後までハラハラドキドキでサスペンス仕様でした。
設定勝ちですね。
最後のページで明かされた件も思いっきりひきました。
主人公の千尋は確信犯でクモ系男子だったので、想定内ではありますが。
他のレビューで指摘されている通り「人としてどうなの??」的なシーンは多いので、あくまでお話として捉えられる人向けです。

この作品を読んで感じたのは、過度に運命に背く事はかえって不自由になるんだなという事でした。物事をあまりこだわりすぎるとしんどいし、行き当たりばったりでもいいのかなーと思ったりしました。最近映画館で見かけたガンダムSEED FREEDOMのポスターのキャッチフレーズとこの作品のテーマが一緒だったので、ふいてしまった…。同じテーマでも産み出す人が違うと、こんなに変わるんだ。

商業では絶対出せない賛否両論を起こす作品ですが、個人的には上手くまとまっていて、良くできた作品だと思いました。
いよいよ作家の個性が強いWEB小説の方が自分には合うのかなーと確信しました。
万人向けのTVドラマより、表現規制がされていない演劇の方が好きだったりするので…。

気をてらう設定もありましたが、物語に引き込まれる力があったので、置いてけぼりにならず最後まで夢中で読み進めました。
全体的に読みやすい文章でしたが、英語の名前の人物が多かったので、サブの人物達の名前が一致しない苦労はありました。

最後に一言。また一人作家さんの推しが増えて幸せです。出会うきっかけを作ってくれたちるちるレビューに感謝です。

さすが初期の頃の傑作!

人気シリーズの実の兄弟愛ものの「二重螺旋」の土台になった吉原先生の初期の頃の代表作品で、こちらもドロドロしたメロドラマ展開で予想外の方向にストーリーが進むので、続きが気になって仕方がなかったです。
1998年に発表された作品の上・下巻の復刻版ですが、現代版にアレンジされているので、今読んでも古くないし、違和感がなく溶け込めました。「二重螺旋」や「間の楔」、「幻惑の鼓動」等の吉原ワールドが好きな人は文句無く楽しめる内容だと思います。

 ただバブル期の匂いはプンプンします(笑)これはさすがに取り除けないですね。なんてったってレイジ達が闊歩する世界ですから…。
ゴージャスで煌びやかない世界を堪能できるのが楽しいです。
Z世代の人達は「体験」にお金を使うそうですが、こういう小説を通して日常味わえない擬似体験をするのも乙なものですね!

レイジは清々しいほどの悪役っぷりでした。あとがきにその後新作の打ち合わせで編集者に「渇愛」レベルにはしないで…とダメ出しをくらうような武勇伝(?)が書かれていました。
色々なストーリーに触れすぎ、マヒしているのか普通に抵抗なく読めました、、、。もっとハードな作品もあるよね??

レイジの人でなし度も筋が通っていて、ブレないなぁ。法律や倫理観も破る人の前では何の抑止力にもならないんだ…と実感します。和也の出生の秘密も今ならDNA鑑定でケリがつきますね。科学が発展していない時代の方が、白黒ハッキリしない事が多くて、物語が生まれやすいという皮肉。
レイジの「血」に対する執着が怖いくらいでした。
和也とレイジのだんだん変容していく姿も実物でした。
欲を言えば、この二人の関係は長編シリーズでじっくり読みたかったな。

下巻の最後もレイジが驚くべき行動に出たり、凡人には理解出来ない奇行の数々に和也ならず読者も振り回されます。一番気になる謎は読者の想像におまかせします…で終わりました。
どっちともとれるので、色々考えてしまいます。
世の中分からないままの方がいい事もあるのかな。

ドラマCDの下になったストーリーの書き下ろし版の続編の発売が予定されているようで今から楽しみです。
オリジナルの「渇愛」の表紙と復刻版の表紙のレイジ達があまりに違いすぎて笑ってしまいました。時代を感じますね…。

表紙は全てを物語っている

現時点でなんと神率94.7%…という尋常でない数値を叩き出した2巻。
それでも読む人を選ぶ作品ではありますね。活字のオンパレードですが、格式高い文章で、世界観にも引き込まれるので、夢中になって読み進めました。
BLという事は忘れてしまいますが、作品に魅力があるので気になりませんでした。むしろこういうBL以外の部分に力を込められた小説を読みたいです。WEB小説だからなし得たというのが…。出版社の存在意義について考えてしまいます。

二章の過去編が面白かったです。豪華絢爛で夢のよう、、、。
アニメの二期への期待が高まります。
天界では神として対等の立場であった風信や慕情は、遥か昔人界では謝憐と主従の関係にあったという設定が面白かったです。主人も従者も飛翔する事があるというオチも乙です。

花城とのあの出会いがまた…あのアニメの1話に繋がる所がもう…。クソデカ感情にやられた…。時空を超えた壮大な愛に揺さぶられて。
まさしく普通の恋愛に刺さらない人向けの作品です。
全ての者に畏れられる花城がなぜ無垢に謝憐を慕うのか合点がいきました。表紙が物語っていました。色彩が淡く優しい印象的な表紙だなーと思っていたけれど、実は深い意味が込められていたんだな。ジーンと胸が熱くなります。

後半はこれでもか…という程の地獄絵図でした。ファンタジーというより、現実問題が一気に押し寄せてきます。
国を治める事は綺麗事では済まされないなーと実感しました。
今まで順風満帆な人生を歩んできた謝憐の初めての挫折。「魔道祖師」に負けず、こちらもしんどかった、です。
まさしくノアの方舟状態。創世記から続く命題ですね。
さすがの神様もお手上げという…

健気な少年兵の存在に萌えつつ癒されました。
花城が○にまで堕ちたのは、謝憐のためかも…と甘い幻想を持ってしまいます。
1巻で疑問に思っていた事が色々解消され、まさかの展開で3巻へ期待が高まります。来年から放映されるアニメの二期も楽しみです。

中国の小説は複雑な設定や骨太な文章でとっつきにくい印象もありますが、こういうアニメやドラマのメディア展開も含めて作品の理解を深める過程が楽しいです!映像化が難しい題材ですが、製作陣の想像力の賜物でアニメの出来が素晴らしかったです。つくづく表現規制の流れが残念です。
中国の贅を尽くしたブロマンスドラマをもっと見たかった…。
ネットサーフィンしながら実現しなかった作品の名残りを惜しんでいます。
これからますますブームになるという花が咲き誇る直前に摘み取られてしまって残念で仕方がないです。
動画配信が主流の今、世界的な需要があるだろうに勿体ないな…。

パブリック・スクールの内情が良くわかる怖〜い本

 ちるちるの海外ブロマンス小説のおススメで挙がる事が多い作品だったので、気になって手にとりました。ボリュームたっぷりで、英国のパブリック・スクールを舞台にした群像劇を楽しめました。人間の罪や苦悩など色々考えさせられる作品でした。

 西洋の上流階級層は、早くから親元を離れて寄宿舎生活を過ごすことにより、一人前の紳士になれるといった根強いパブリック・スクール信仰があります。
このような完全男社会では、自分の弱い部分を他の生徒に絶対見せられません。カーストの下層にならないようにマウントを取り合います。まるで男らしさの牢獄です。

全寮制なので、イジメにあったら、学校生活のみならずプライベートの寝る時間まで至るので、まさしく地獄絵図です。
子供から少年、少年から青年への多感な移行時期である思春期をこういう特殊な環境で過ごす事はどうなんだろう??まるで軍隊のような生活です。
組織を前提とした集団生活では、個々の個性が消されるし。こういった環境で育った人たちが社会をリードするエリート層になるという現実。
社交性は培われるだろうけれど、プライベートがゼロなのはゾッとします。
良家の子女はこれに耐えられないとダメなのか。

家族と会えるのは長期休暇ぐらい。こういう環境では自然と友との結びつきが深くなり、友愛が培われます。これが主人公のジョナサンにとって悲劇に繋がるのですが…。
親や先生の評判が悪い生徒ほど学生にとって危険な魅力があるという。
ジョナサンとリチャードの共依存は萌よりも怖さが勝りました。
「出会ってはいけない二人」というのがこの作品のキャッチフレーズのようですね。
私は「朱に交われば赤くなる」という諺(ことわざ)を思い出しました。

また少年だけの特殊な環境の中だけに同性愛行為への抑圧は常軌を逸していました。特に同性愛への世間の目が厳しい時代だっただけに余計に、、。
この小説は健全な青少年の育成に理想的とされているパブリック・スクール制度への問題提起もあるようです。

結末は狭いパブリック・スクールの世界でのアルマゲドン・エンドでした。闇堕ちですね…。
最後まで読み終えて何とも言えない気分になりました。
作家が男の人でビックリしました。心理描写もきめ細かいし、少女漫画のような世界観だったので、てっきり女性の作者かと思っていました。翻訳者の影響かな?

タイトルからオカルト要素が強いように思いましたが、意外に現実的でどうしようもなく重めの話でした。他人の心に巣食っている闇の深さに身震いしました。
そういった側面は深く付き合わないと分からないし、分かる頃には簡単に離れられない関係になってしまう事が多く。組織に属していると余計に難しいし、このような悲劇が生まれる事もあるんだな。
肝心のオカルトシーンははっきり描かれていなかったので、ちょっと残念でした。消化不良気味です。
想像を補わないといけない部分もあります。
設定的に美少年も多く、杓子もあるし群像劇なので海外実写ドラマでたっぷり堪能したい…と思いました。

サブタイトルの「還流」の意味が衝撃…

めちゃくちゃ面白かった…!!
ラッキーとボーの掛け合いが最後の頁まで続いてツボに刺さりました。

芸能人や若い世代の麻薬や覚醒剤の問題は良く上がりますが、この小説では麻薬に限らない薬物のグレーマーケットの世界を知れて興味深かったです。
冒頭で迫力があったので、ラッキーの仕事はギャングか…と思ってしまった。
世の中色々な仕事があるんだな。。

近年ニュースや情報番組では、お金儲けが一番でモラルがない組織悪の会社の報道が多いので、関心が持てる内容でした。特に気にも止めていなかったサブタイトルの「還流」の意味を知った時、衝撃でした。

 私達は日常生活で商品を購入する時やサービスを受ける時は、業者の内情を調べず相手を信用して利用します。いわゆる信頼関係で成り立っています。そこが問題のある業者だった場合、特に命に関わるような場合は…??日常にも怖さが潜んでいるなーと実感しました。

ラッキーとボーがお笑い芸人のような良いコンビでまるでコントでした。
ヴィーガンの意識高い系の話も面白かった。
ギャグ、ヴィーガン、陽気な下ネタが飛び交う二人の日常。
とても笑わせてもらいましたが、笑顔の裏でだんだん明るみになる二人の壮絶な過去。今も葛藤を抱えている二人。
とても切なかった。。

シリアスとギャグのバランスが絶妙でした。重くも軽くもなりすぎず。
業界サスペンスものにしては、LOVE度が高かったです。期間限定というのはお互いの気持ちを昂ぶらせるマスト・アイテムだな。
最近続編が出たので、二人の「その後」が知れるのが楽しみです。

イラストは何と「あまつき」の高山しのぶさんでした。全く気づかなかった…。
本編に負けないパンチのある楽しい絵でした。特に登場人物画のページが良かった。

二人のコントの空気感や物語に流れるスピード感など、翻訳家の冬斗亜紀さんの翻訳が絶妙でした。モノクローム・ロマンス文庫の翻訳は、安心して読めます。AIではなし得ないでしょう。

ふつくしさとホラー要素が合体して出来上がった世界観…

一般文芸のオカルトホラー小説として出版されていますが、帯にも書いてある通りBL系ホラーとして楽しめます。
表紙もふつくしい…です。

帯が全てを語っているので言及は控えめにします。この世にも稀な耽美な美少年が登場したりとJUNE的な世界観に加えて本格的ホラー要素が存分に楽しめます。

閉鎖的な田舎での伝奇伝承ものに惹かれる方なので、自分にはもってこいの作品でした。人外要素もあり、奇妙であったりグロテスクだけれど、底無し沼のように美しい世界観に引き込まれました。読んでいて脳内が侵食されていく、麻痺していく不思議な感覚でした。深淵から覗いた世界とは…。

ストーリーも謎が謎を呼び予想外の方向に進むので、続きが気になって仕方がなかったです。人間の集団心理が恐ろしかった。閉鎖的な空間での長い間培ってきた因習は凝り固まっているだけに余計にタチが悪く、、。
全体的にストーリーやプロットが複雑だったので、一回で理解できたとは言えないので読み返したいと思います。また2回目以降は違った世界が見れそうです。

作家さんはTwitterで話題になった後、幻冬社や角川書店等で出版されているホラー、オカルト系に強い作家さんのようです。文体等や進行は枠に捉われない自由なスタイルですが、表現力があるので引き込まれました。一度ハマってしまうと抜け出せない、怖い作家さんだと思いました。

残暑や物哀しさを感じる初秋にピッタリの作品です。
最後は馴染み深いBLエンドで締められ、安定感がありました。
読後感の余韻もあります。
今後もBL系や匂い系を是非執筆して欲しい…と願わざるを得ない一冊でした。

評判通り最高に萌えた…

 無印巻から引き続きメイン・キャラの篠口、黒澤が魅力的だけに物語の吸引力に抗えず、一気に読んでしまいました。
やっぱりBLものはキャラにハマった時の威力がすごいなーと実感しました。

「墨と雪」の上巻では、無印巻で事件の被害者になり、心身ともにズタボロになった篠口がセフレ(?)の黒澤により少しずつ心を開いて再起していく過程が描かれていました。

篠口の心の揺れ動きや葛藤が丁寧に描かれ、特に劇的な大きな変化はないものの、淡々と被害者の立ち直るまでの日常の機微が描かれていて、まるでああいった被害者の事件後の再起を描くドキュメンタリー映像を見ているかのような現実感が漂っていました。
こういう題材をじっくり読めるのはBL小説ならではの贅沢さがあります。上巻では、少し光が見えてきた…という所で終わりました。

これからという所で終わってしまい、気力が抜けましたが、同じ巻に収録されている「ストームグレイの行方」は「墨と雪」の陰鬱なムードとは一転、とても面白く萌えまくりました。  

篠口と黒澤の馴れ初め、二人の距離の縮まったきっかけ、篠口ので公安生活が事実上短かった理由等それぞれのエピソードが最高でした。
篠口も黒澤もキャラが立っているだけに二人のカップリングに萌えて萌えて…。

もともと公安物には惹かれる要素が多いですが、この小説では短いながらも公安の実態や警察組織のことなどの説明が分かりやすく説得力があり引き込まれました。
非常に質の高い濃縮した短編で楽しめました。
公安に配属された篠口に対して、もし黒澤のように気にかける人物がいなければ、篠口が公安の中でどうなっていたか…と思うと胸が痛みました。
適性がなくても嘆くことはないんだなーと、自分を活かせる、自分に見合う場所を見つける事が大事だと思いました。

 それにしても篠口が他のメインシリーズでは、当て馬の扱いを受けていたとは信じられないです。主役の王格があるのに…。
時には脇キャラやサブキャラの方が王道な主役キャラ達よりいい味を出している時があります。サブキャラの魅力を最大限に引き出されるスピンオフは大歓迎です。

最近WEB小説や海外小説を読むことが増えましたが、日本の大御所作家さんの貫禄と偉大さを感じる一冊でした。