comic picn vol.26から連載配信、完結待ちしていたのですが表紙が珍しく暗めです。内容的にもシリアスな方の会川先生で、切なさも堪能できてすごくよかったです。やっぱステキだよ、会川先生…。
先生のギャーギャー騒いでる主人公も大好きなんですが、本作のシューヘイは人に言えない秘密を抱えている子で、良識があって、なんとか自分を抑えようとしているところにまずホッとしました。もしそうじゃなければこんなに切ない気持ちになれなかったと思います。
今回はガチ兄弟のお話なのですが、設定的に萌えたいポイント「切なさ」を増幅させてくれるのはやはり、サトルの怖いほどの優しさではないでしょうか。…とはいえこの終わり方、ハッピーなようでまったく悲壮感が拭えないところがとてつもなく素晴らしいと思うんです。二人がそれからずっとラブラブしている様子がわたしには想像できなくて…
その後の二人がどうなったのか個人的には作者様の妄想がすごく、すごーく読みたくてたまらないのですが、、それぞれの、特にサトルの真意が知りたいのです。サトルはどこまでも弟思いの兄としてしかふるまえないのではないか、と感じられてしまって…。サトルのその優しさが怖すぎます。果たして二人はこのまま共犯者となっていくのでしょうか?続編を、ぜひ続編を!期待してしまいます!!
例によって、ところどころ挟まれるギャグマンガ的な絵が好きです。で、レアなイケメン顔が出現すると、キャラがめちゃめちゃカッコよく見える。先生の作品、いっぱい読みたいんですよね〜(泣)!
作者(ユニット)様の作品で一番沁みたかも…。現代・歴史物の大河的長編で評価されていらっしゃるし、作者様の代表作はすでにBL史に遺されていると思われますが、個人的にはコレになりました。BL史上、名作のひとつになるんじゃないかなぁ。
日高ショーコ作品の醍醐味は「ザ・すれ違い」。もちろん、個人的にです。受け攻めが互いに気にしているハズなのにすれ違い、それぞれの葛藤が丁寧に描かれていくところにたまらなく魅力を感じているわけですが、作者様の代表的長編はどちらも、往年の少女漫画としてしか読めなかったんですよね、当時は。確かに攻めも受けも男らしいし、なのに弱いところやダメな部分もしっかりさらけ出してくれて、切なくなったりグッときたり。だけど何かが足りないというか…。本作の最後で見せてくれた二人の関係性をもって、あー、この最終系による表現こそ、作者様のBL作品において自分がよりもっと満たされる要素だったのかもしれないなと思いました。(ぼやかして書いてます、すみません。作者様の○バはよきです←書いてる)
とにかく、葛藤を経た後の二人の在り方がBLとしてすごく好きです。そこに至るまでのプロセスをしっかり噛み締められたのも。
あと画力ですよね。本当にキャラの表情が豊かでかつ的確に読み手に伝わってきます。16話で描かれる、亮の「表情ヒストリー」のシーンでは思わず泣いてしまいました…。
本作のカプは、攻め受け概念を超越したところで求め合ってるところが本当に素晴らしいと思います。でもちゃんとBLなんだよなー。
BL界に日高ショーコ先生がいてくれてよかった…。
今後、BLってどんなの?って訊かれたら、何も言わずにただ、このアイロニカルなタイトルを差し出したいと強く思った作品です。
『天使の定理』に登場した、式見のマネージャー・瀬戸が主人公。彼の被虐的な性癖が引き寄せる、破壊と再生を彷彿とさせるシリアス&ディープなハード・ラブストーリーです。(なんだか薄っぺらい煽り文になってしまった、、)
発売まで待ちきれなくて、作者様のツイからあらすじに触れてしまって正直後悔してます。瀬戸と乃木の出会い→式見の絵を描いてもらうまでの駆け引き段階は想定内。二人の関係性には共依存か破滅しか見えてこのないので、作者様がどういう結末に導いてくださるのかに全集中することで振り切りました。やはり、終盤からエンディングまでがとてつもなく素晴らしかったです!
式見が天使になぞらえられているキャラなので、キリスト教的なモチーフのように感じてしまった小道具があります。それは、乃木の主食みたいなパン。これ、エロティックなシーンとしても機能しているんですが、あの有名な格言を思い出させるんですよね。「人はパンのみにて生きるにあらず」。BLなので、ラブであって欲しいな〜というのが個人的願望なんですけど…(沙野先生のお話はハードだからこそラブが際立つと思っているので♡)攻めから受けだけでなく、受けから攻めに食べさせるシーンがあるところが素敵です。
そして、今作でも式見が自己犠牲を払うかのように自ら乃木の相手になり、瀬戸を救うエピソードは見せ場のひとつ。後にめちゃくちゃ生きてくる演出に泣けますので、細部までどうぞお見逃しなく…!
お約束の裏テーマ、わたしはブフッと笑ってしまったクチです、すみません。個人的にBL作品でラバースーツネタ読んだのって、直近だとじゃのめ先生の『大人すぎるマイラバー』(5年前)だったので久しぶりすぎて。ニッチすぎやしませんか?他を読んでないだけかなぁ?でもちゃんとラバースーツには意味があるんですよね、乃木が「羽化」という現象を画として写しとるために。なので笑って済ませられないところが油断ならないっす笑
とにかく終盤からエンディングにかけて怒涛のたたみかけで、先を追いながら感情が掻き乱されまくりでした。それまでの想定内を遥かに超えてくる着地に、安定の沙野先生だなとニヤリ。
乃木×瀬戸カプも「ループ断ち」というテーマを抱えていた二人でした。「もう繰り返す気はない」と叫ぶ攻めに、「抜け出そう」と答える受け。もしかしたらこの繰り返しからの脱出は定理三部作に共通する通奏低音だったのでしょうか…。今作も受けが体を張って頑張ってくれます。受けが能動的なところもイイんです!
前二作のキャラ総出演なところも華々しいフィナーレといった演出ですが、作者様にとって式見というキャラが特別な存在だということが本作でもよく伝わって参りました。物語が終わってからも、それぞれのカプが幸せでありますようにと、しんどい恋を経てきた彼らだからこそ願ってやみません…。
自分の中では燦然と輝く式見自身の物語が頂点なので、完結編ではありますが今回は萌×2で。
そそられるカバーイラストに惹かれて購入。すごく絵がお上手です。特にポージングがキマっていて掴まれました…!
ストーリー的には、がっつりタイムパラドックスが生じるタイムスリップものなんですが、GUSHmaniaEX収録作品をまとめたものらしいのでもとがテーマありきのプレイメインなのかと思います。なんだか不思議な設定だなー、エロ大サービスだなーと感じたのはそのせいか!と奥付を目にして納得しました、、
このお話、何度読んでも時間軸に混乱してしまいました。現在亜希(攻め)は29歳ですが、18歳の彼が過去からやってきて29歳と18歳の亜希が同時に存在することになるんですね。都の方がちょっと年上なのかな?
都(受け)と亜希が初めて出会ったのは亜希がタイムスリップした後の18歳頃。二人は都の義父を介して知り合い、そのあと恋人になったようです。亜希の初エッチの相手は記憶が曖昧で本人は覚えていません。もしかしてそれ俺?展開を都は期待するものの…
都は義父から攻めを紹介される前に、亜希の父親と知り合っていましたが、亜希と父親の関係が未解決な状態が現在まで続いており、その部分も18歳の亜希が時空移動することで修復されていきます。都は未来(ラブラブの現在)が変わらないように、亜希の童貞を奪うことが優先なんですよね。亜希は都と出会う前なのでわけがわからない状態ですが、、現在都にメロメロの未来の自分(29歳)に教育されて?少しずつハマっていく感じ。その教育がエッロぉなんですよね〜。3Pも素晴らしいです…アンニュイで綺麗な都が扇情的で色気のカタマリって感じで!
亜希が過去に戻ったら記憶がなくなってしまう可能性を恐れてエッチに賭けた都ですが、過去に戻った亜希とその後どうやって恋人になっていったのか知りたくなってしまいました…
受けの方がより愛が重いお話だなーというのが個人的に受けた印象でした。何回もゴチャゴチャと考えすぎて、最終的にはこれ、もう受けの願望を表現したお話なんじゃないかと思うようになってきたくらいです笑。現在の攻めとの関係も本当は幻で、受け主観のパラレルワールドがオチだった、みたいな。それもホラーっぽくて好きかもしれないですけど笑
作者様インタビューが掲載される前に読み終えていてぐるぐると解釈に頭を悩ませていたのですが、丁度インタビューがUPされて拝読できたことで本作のメッセージがはっきりと伝わってきた感じがしました。
タイムリープがなくても、二人はお互いに必要な存在になっていったと思うんです。でも、これはタイムリープを経ることでより相手の背景や心情が理解できて、もっともっとラブが深まっていくお話なんだなァ、と。
何度も読むと、都が初めて亜希を迎えた時に云った「おかえり」のセリフがじんわりと心に沁みます…
同時収録作品「今宵、ふたりの牧場へ」も特殊性癖盛り盛りの単話ですが、絵柄にもキャラにも柔らかさ、優しさを感じてホンワカ〜な雰囲気。で、ちゃんとエッチ♡
絵柄も作風も期待大な作家様にまた出会えて、嬉しいです!テーマがエロメインでありながら、これだけまとめてくださった手腕に「神」を捧げます!
本書を手にしたきっかけは全然覚えていないのですが、この中に収録されている作品を読んで心を鷲掴みにされました。(→作者様にハマる)
表題作「夏草の檻」と「月の裏で会いましょう」が収録されていて、同時収録作品の方が表題作よりも先でしかも長いという、何もかも型破りな感じ。たまにありますよね、どうしてそっちをタイトルにした?っていう笑
2007年にフランス書院さんのLAPIS more文庫から刊行されている本書ではありますが、収録作品はどちらも1990年代、雑誌掲載初出の過去作品です。(「月の裏で会いましょう」1998年小説花丸冬の号、「夏草の檻」1995年小説オヴィスVol.2に各々加筆修正。奥付より)
なんとなく読みはじめてエンディングに泣き崩れてしまったのは、「月の裏で会いましょう」。記録に残すために再読してまた泣いてしまいました…。
小児喘息で入院している中学生の快人と、窓側向かいの病室の患者、三島(通称・悪魔)との短い交流を描いたお話です。
三島が悪魔と呼ばれているのは、彼の真っ赤な髪と蛍光ピンクのソックス、ポップでド派手な見た目なうえに看護師へのセクハラで要注意人物の患者だったから。快人は快人で、ヒッチコックの『裏窓』よろしく双眼鏡で病室を覗いては看護師に怒られていたけれど、とにかくヒマでしょうがない入院生活中に知り合った二人でしたが…
叶えられなかった秘めた恋心を描いたお話なので、ハッピーエンドではありません。当人も、おそらく傍観者も生涯忘れられない切ない思いがサバサバッと明るく描かれているからこそ、一層深い悲しみを感じてしまう。最後、三島から快人への手紙がギュンギュンと胸に刺さり、泣けて泣けてしかたがありませんでした。こんなに切なすぎるお話、反則です…
「夏草の檻」は、幼馴染み高校生同士のかなり病んだお話。幼馴染み・夏己から理不尽な暴力を受ける「ぼく」。夏己は学校でも「ぼく」のことを変態だと吊し上げのように虐めているけれども、たとえ仲間であっても夏己以外の人間が「ぼく」に手を出すことを許さない。それが密かな伏線だと後にわかります。
二人が子供の頃、夏己のせいで「ぼく」の顔に疵痕が残ってしまい、以来夏己は「ぼく」に支配され続けています。もう一人の幼馴染み・ともみは「ぼく」の味方で、二人が心理的に支配・被支配の関係にあると気づかないまま、夏己を懲らしめるために彼のオートバイに細工をして事故を起こしてしまいます。彼女がタンデムシートに「ぼく」が同乗する可能性を全く予想しなかったために、悲劇を生むことになるとは露知らず…
その後はある意味ホラーです。夏己は無意識に「ぼく」を恐れ、支配され続けることを望んでいる。「ぼく」に罪悪感を感じながら「ぼく」を責める夏己…。歪んだ共依存を端的に描きあげた短編ですが、二人の関係性はSM的な心理に近く、淡々とした中に凄味があってゾクゾクさせられます。
作者様の初期作品を読んでみると、やはり叶わなかった、あるいは叶わなそうな恋を描くのが上手いな〜と思います。こういった作品を書いちゃうのに、作品数が進むとあらぬ方向(主に笑い)へどんどん脱線していくところも大好きなんですけどね笑
ポエムなタイトルをつけたくなる、DKの初恋。めちゃくちゃキュンキュンする可愛いお話で、テクノサマタさんの挿絵がベストマッチ!あの絵だからこそイメージが膨らみます…
表題作を含め5編収録されていて、「夏服」(初出は雑誌)「キスとカレーパン」(個人サイト掲載)から数年後に「クリスマスとアイスクリーム」「日なたとワイシャツ」「卒業」を書き下ろして一冊にまとめた作品です。大好きです、杉原先生…。
就活中の茅原が面接帰りの電車の中で、同棲中の先輩と自分の馴れ初めを回想する形で語られていくストーリー。普通のDKが同性の先輩に惹かれていくきっかけ、それから少しずつ親しくなっていって、ちょっとしたやりとりや身体的接触にドキドキしてしまう甘酸っぱさが、受け視点(一人称)の何気ない高校生活の中で描かれていきます。
茅原より先に社会人となった先輩とは、最近ギクシャクしていてケンカ中。内定をもらえなくて焦っている茅原と、仕事で帰宅が遅いお疲れ気味の先輩はお互いにイライラしていてすれ違い気味。先輩は茅原に対して本当に優しいんですが、茅原本人は慣れすぎてしままったのか、倦怠期…?作者様の攻めに全幅の信頼を置いている一読者としては、攻めのタイプ(ある意味スパダリ)がなんとなくわかっているから、先輩のちょっとした言動にキュンキュンしてしまうんですよね。
なのに…先輩の元カノにずーっと嫉妬してる茅原。ホント、先輩のことが好きで好きでしょうがないんです。カッコよすぎる先輩をいまいち信頼しきれない茅原の心情を汲むかのように、先輩はいつも茅原が欲しい言葉をくれて安心させる、の繰り返し。
クリスマスや高校卒業のタイミングで茅原は先輩からプレゼントをもらうんですけど、そのチョイスがもー、ラブでしかない笑。プレゼントのくだりに毎度萌えてしまうのですが、こんな本当にささやかなエピソードの連続の中に作者様の繊細な感受性を汲み取っ、素敵だなァとほわほわします。
紙で所持している大切な作品で、折に触れて読み返してはキュン…。杉原ファン&DK萌えにはたまらない作品です。
まさかの狼男〜!狼になった時のアキラがめちゃくちゃ可愛かったです♡
動物を可愛く描いてくださる漫画家さんてたくさんいらっしゃいますけど、螺子じじ先生の描く幼い狼に心奪われてしまいました。ワンちゃんみたい。絵がとってもお上手です。
ストーリーとしては、半人前(半獣前?)の獣人攻めが不憫な受けの心と体を癒して守ってあげるお話です。
主人公のアキラはオオカミ男。嗅覚が鋭く、キツい香水をつけているヒト全般がニガテなのですが、ふと街中で嗅いだ万里の体臭に反応してフラフラと吸い寄せられてしまうんですね(本能!)
家庭の事情でフーゾクに沈んだ万里。万里好き好き狼っ子のアキラに救済されるわけですが、、このあたりの詰め方とか、アキラの血筋についてや人間との交わりがふんわりざっくりとしていて、BLあるあるで流してね!なところはちょっと歯痒かったかも…。
アキラが万里と関わり合うようになることでだんだん成獣の姿に近づいていくところは面白い演出でした。アキラのお父さんとお母さんはどうやって出会ったのか気になりますし、万里救済法がパパッと鮮やかすぎたり、、もう少しストーリー部分に密度の高さを期待してしまうからこその物足りなさが…
狼の時のアキラが最大の萌えポイントでした。その姿で万里と同衾するシーンとか、せっかく万里へのプレゼントを用意したのに渡せなくなっちゃうシーンとか、狼の仕草や表情がとっても可愛いくて。電子描き下ろしでどうしても笑いの方向に行ってしまう二人に作者様の性癖を感じました。
ストーリーのトーンがバチっと見極めにくかったのもあるのかなぁ…。次作はコミカルなのかキュンキュンなのかシリアスめなお話なのか、作者様の萌えシチュカモーン!な感じで、すごく楽しみです。
インディーズ作家様ですがコツコツと書かれていらっしゃって、いつも新作を楽しみにしています。今回は夏らしいタイトルと青城硝子さんの表紙イラストに惹かれて、配信後すぐに購入しました。電子書籍換算で600ページ弱。おおよそ文庫本二冊はいくのではないかと思いますが、そのかわり商業お約束の続編やスピンオフ狙いがないので、きちんと物語が完結する満足感があってスッキリ。
東京から車で片道3時間ほどの過疎集落で消防士をしている佳史。長身でガタイがいい男前だけれど、姉と高校生の妹に挟まれて散々扱き使われてきた?せいもあるのか、性格は穏やかで消極的。実はゲイだけれど、誰にも知られたくないと思っています。
幼馴染みが家業の農家を継いでいるような自然豊かな村で生活し、同性に惹かれる性向をひた隠しにして生きる佳史は、市街地の本屋でゲイ向け隔月刊誌を買うのが唯一の発散行為。このまま恋をすることなく一生を終えるくらいの覚悟でいたのに…、ある日佳史はバイパス沿にある大型書店で地元では浮くほどの超絶イケメン・絢人と遭遇します。
絢人は訳あって古い一軒家に間借りしており、超節約&極貧生活をしていました。書店で知り合って以来、佳史は都会からやってきためちゃめちゃフレンドリーな絢人がほっとけなくて、ズルズルとあれこれ世話を焼いているうちに、なぜか彼が思いつきで始めたサバイバル系動画配信の手伝いをするハメに…
そんな二人の間でじっくりと進んでいくラブストーリーです。カップリングとしてはゲイ攻め×ノンケ受け、メソメソマッチョとサバサバ美人といった感じでしょうか。
佳史はめちゃくちゃ後ろ向きで自意識のカタマリなんですが、絢人が男前なので、恋愛に消極的な佳史のお尻をビシバシ叩くかのように、あっけらかんと"やってみなはれ"なマインドで未知の世界へ誘います。また絢人自身もセクシュアリティを超越して、佳史を男ではなく人としてまるごと受け入れていく——その段階が丁寧に描かれています。
ラブストーリーの醍醐味って、攻めや受けが自分に向き合わざるを得なくなり、そこで読者にさらけだして見せてくれるふるまいだったりするんですよね、個人的には。メインの二人だけでなく、彼らをとりまく人々との交流も興味深く、一般小説を読むような感覚でラブの周辺も楽しませていただきました。
絢人がホント男前なんです。なんでも(昆虫も、、)美味しくいただく精神が素晴らしい!隣人の助けを得て、先達の知恵を受け継ぎ素直に楽しみながら動画配信でシェアしていくんですが、たとえ他人であっても持ちつ持たれつ、できることを与え合いながら日々を暮らしていくような、そんなところも今らしい温かみを感じました。まさに、「遠くの親戚より近くの他人」を地で行っています笑
キャラ心理を追うのが楽しい読者としては色々な面で満たしてもらえるお話だったのですが、今作は作者様の中ではライトでちょっとだけコミカルなカテゴリ作品かも。眩しい緑や夜の都会など、情景が鮮やかに頭に浮かんでくるので、コミカライズで読んでみたいような気もしました。
映画一本観たような読後感です。
タイトルとイラストに期待して読み始めたのですが、ガチガチに古典的なお話で逆に新鮮みを覚えてしまいました。2020年刊行ですよね、、
攻め(龍也)受け(陽大)交互視点で描かれていきます。龍也は大学附属病院から異動してきた外科医、陽大は緩和ケア病棟に入院中の母親を見舞う高校生くらいの男の子。この二人が惹かれあっていくお話ですが…。
ひたすら淡々としていて、嫌な人も出てこず、陽大と母親の関係も感動的に締めくくられて、よかったなぁ(ホッ)と読み終えました。身内が緩和ケアを受けていたので、陽大のキツさには妙にリアリティがありました。毎日死を受け入れる気持ちに向き合うのは辛すぎて、本能的に現実離れした感覚に持っていきたくなります。陽大はさらに生活のためにバイト漬けで肉体的にもかなり負荷がかかっていて、その方が何も考えなくてよかったのかもしれない…。龍也がそこに送られたというのも巡り合わせなのでしょう。
龍也がなぜ陽大のことが気になって、彼との同居にこだわるのか…、もし陽大が女の子だったら意識していたはずなのに、男の子だったから気付かなかった、ってところは基本ですよね。陽大の方もイケメン外科医にグイグイ世話焼きされてしまったら、す、好きになっちゃう!(シソンヌのコント的な笑)ってなりますわよね。そこはもう性別関係なくって…(様式美なので受け流す)
森岡先生のマンションみたいな好条件で借りられそうな物件ないかな〜って読んでいて羨ましくなりました笑。お話のキーパーソンは森岡先生と小山内先生、それと由衣。彼らがいなければ、攻めも受けも出会わず、恋にも気づかず成就することはなかったと思います。
タイトルどおり、優しい人たちの優しいお話でした。
「Magic hour」のバーテンダーでマジシャンの玲が義賊のようにアングラで非合法的な窃盗を繰り返していることは前巻で明かされていますが、今作では謎の麻薬「D.T」(ドーテーではなくて。Devil's Tears悪魔の涙、のようです笑)が登場し、さらに玲の失踪した兄がその製造流通に関わっていそうな疑惑がにおわされています。
しかも、健斗は玲につきまとっている警視庁の刀浦に管轄を越えて玲の動向を見張るように指示され、別の課に配属されている先輩・柳からは薬物関係に首を突っ込むなと忠告され…、警察内部でも取扱いが大分ややこしい案件になりそうな「取り返し屋のカラス」。玲の両親は一体何を探り、何を知っていたのか?謎が一層深まりまくっています。
前巻でメイン二人の気持ちは近づいたのか怪しいところでお預けを食らっていましたが、今巻で玲側の心理に踏み込んだ印象です。なるほど、玲にとって健斗の存在は、荒んだ心の中の小さな光だったのだろうか…と、ラブ的にはキタコレ展開になりそうだったんですが、エンディングでまたもやがーーーん!って感じで笑
玲のツンツンがいいですね〜。そろっと近づいてきたかと思いきや、シュババッと遠のく猫ちゃんタイプ。健斗はイッヌです。大型わんこ。相変わらず、二人の素を覗かせるプライベートなひとこまにキュンがちょこっとだけ仕込まれていて、ハード系ストーリーとの兼ね合い具合がM読者にはたまりません。
警察の動きやカラスたちの行く末がどのような方向に向かっていくのか皆目見当がつきませんが、何卒!玲と健斗を幸せにしてあげてくださいと願うばかりです…。
次巻で完結らしいのでまた一年、頑張って生き延びます〜!