篠原先生の話は、本質がとてもbl。
でもどの話でも、キスひとつありません。
「どう考えたって君らはアレだろうがぁーーっ!!」というキャラクターたちなのに。
ニアホモ、ブロマンス‥なんてものを、はるかに超えてるのに。
ほんの薄皮一枚、あと少しのところで、決して触れ合うことはない。
「愛してる‥」なんて言葉やモノローグすらない。
その本当にギリギリの「ギリギリ感」が、あまりに切なくてゾクゾクするほどセクシーなのです。
キャリアは長く、作品も多く幅広く、猛烈なストーリーテラーの篠原先生。
安易に男たちの愛憎だけに限らない話の組み立てなので、性愛シーンがなくとも、退屈なんてありえまん。
絵も上手く、もっともっとメジャーになって沢山読まれて、沢山評価されてしかるべき方、凄い才能の方と思います。
この話は、もはや最初の数ページで、話が見えちゃうほどの、オーソドックス「香港ノワール」。だが、それがいい。それこそが香港ノワールだから‥。
それを、この美麗な絵で堪能できるなんて、まさに神。
タイトルの意味が分かるラストは、広東語の知識を始めとして、先生のあらゆる香港愛が滲んでいます。
いく通りも深読みできました。
この話は相当に香港好き向きと思いますが、作者さんの他作品は、それに限らないので、ぜひ!