読了後、気管支から胃にかけて切ないが詰まって呼吸しづらくなりました。
遂にコウと日高が動くのか!
とウハウハで手にとって読んだのですが覚悟が必要でした。覚悟が必要です。もう一度言います、覚悟が必要です。
全編通して秀良子先生特有のまるで漫画の世界が目の前にあるように感じさせる日常のシーンひとつひとつに読んですぐ引き込まれました。
日高がコウの友達、というポジションである事に
喜びもあるけれどやはり苦しみの方が大きくて…。
遂に一線を超えてしまう瞬間の幸せそうなことたるや!
ここで一気に色シーンに行かずに徐々に距離が詰まっていく過程を繊細描いているところも流石の秀先生。
日高が幸せの高みに登っていく姿に私まで幸せになりました。
しかし、日高自身も関係の不安定さは自覚している所。コウの反応ひとつひとつで一喜一憂姿に読者は応援せざるを得ないこと請け合いでしょう。
就職、新生活、性別、互いの関係…
一言では表せない想いがつもってつもって物語は終盤に。結局はこの曖昧な関係に終止符を打つことになってしまいます。
友人でも、セフレでもなくなってしまった
日高は小さな島でたった一人で新生活が始まる。
きっと悲しさと寂しさと不安に押しつぶされてしまいそうだったでしょう。
それでも
何も知らずに、100年生きるより
この一言に全てが詰まっている気がします。
秀良子先生の絵のタッチと、穏やかでいて実は気が抜けない緊張感を孕んだ独特の作風だからこそ表現できる切なさの極地。
胃がよじくりかえるぐらい次の話が気になりました。
私は、コウと日高がこれで終わらずどこか温かく落ち着ければ嬉しいです。