待望の日高先生新刊!!
サスペンス・スリラー?という印象を受けたんですけど、もう本当に私の残念な読解力が設定を理解するのでいっぱいいっぱいで、萌える余裕があまりありませんでした…(とほほ)。とはいえ、上下巻一気読みは必須です。
主人公のふたりがいちゃこらするまでに焦らされるっていう意味では、めちゃくちゃ日高先生らしい作品だな~って思うんです。それぞれに特別な感情を抱えたまま、思春期を境に交流が途絶えたふたりが、10年かけて再会するっていうことは、萌えの王道っちゃ王道ですよね。うん。もう、どんな気持ちで離れていたんかーーい!!って考えたら、その切なさに爆萌えしてもおかしくない状況なのですが~。(「忘れられない」とか大好物ですしー)
パラレルワールドが苦手なんですよ。ごめんなさい。”たられば”なしの普通に連続する世界でいちゃこらするふたりが見たいだけの凡庸な読者なんです(と痛感)…でも日高先生が描くキャラは少年からおじさんまで眼福でした。
憧れの朝食とささやかな幸せについてのBLだと思います。
あとね、自分の身の丈を知ることの幸運についても。
アクチュアリーとクラフト作家とカップリングにニッチさを感じて、なんだかとても安西先生らしい(?)とニヤける設定。個人的にあんまり馴染みのある職業ではないのですが、攻め受けのキャラクターとその職業で生きていこうと決めた背景がとてもしっくりきていて、ラブ以外の部分でとても読み応えのあるパートだと思いました。特に、受けさんの作品、なにかモデルのあるのかしら?だとしたらめちゃくちゃ知りたい!っていうくらい魅力的に描かれていました。”小糸”という人物が創作する世界観としての説得力がすごくありました。
あと、物件の趣!こういうお家とても好き。実際住むのに工夫がいるんでしょうけど、不自由さをセンスでカバーしているのがとても素敵でした(憧れる…)。寒くて暑いだろうなwって思うんですけどね、、朝食の描写とか本当にワクワクしました。価値観というより、生活習慣とか些細な行動の前提が一緒の相手って本当に一緒にいて心地よいだろうなっていう気持ちを読者にさせるさり気なさ、そこから実は…っていう展開でどんどん引き込まれます。
ただ、個人的には攻め受けのキャラクターにそこまでハマれなかったというか、捻くれ者なので、攻めのお兄さんのキャラ(嫌な奴なんだけど悪い人ではないんですよ)には共感ではないけど、まぁ凡人として理解できる。。。っていうところが半端なかったです。すでに他のレビュアー様も書かれていますが、お兄さん(離婚前提なんだけどw)スピンオフ、面白いかなって思ってしまいました。
雑誌掲載時に生活描写ばっかり楽しくて、ラブはそこまで、、とか思ってたんですけど、今回攻め視点の描き下ろしがラブの解像度をぐっとあげていて、それがとてもよきでした!
ついに完結してしまいました…
めちゃくちゃ!めちゃくちゃ!いいラストだったよ~~!!
木原先生ありがとう。
ところどころに極北感はあったけれども(サイコパス・米倉の描写とか、周辺キャラのクセツヨ設定とか)、本当にハートウォーミング、当社比ほのぼのではなく、ちゃんと一般的なwほのぼのでした。暁のそばにアルがいてよかったなと、心の底から祝福したくなりました。ただ、やっぱり永遠に生きるってどうしても寂しいですよね。ここまで読んでしまうと、ついつい人間の命が尽きるときまで考えずにはいられなくて(どうしても別れはやってくる)、
切ない気持ちにはなりました。でも、それはそれでいいんですよね。出会わない一生よりは絶対いい。
同時収録の「大好きなお父さんと吸血鬼」は、ふたりの後日譚を彼らに愛情たっぷりで育てられた”息子”視点で語られるんですけど、泣きたくなるほどいいお話。負は連鎖しないんだっていう力強いメッセージも感じられて、本当にじーんとしちゃいました。にしても、「エンバーマーでも俳優でもなくて刑事」っていうオチにひっそり笑ってしまいました。
というわけで裏主役・忽滑谷刑事。米倉との場面はなんだかエロすぎて、むしろこっちで刑事とサイコパス的なBL読んでもいいくらいなんですが!とムズムズしちゃいましたが、コミコミさんの特典(忽滑谷ファンは必読!)で彼のその後の人生がさらっと描かれていて、益々大好きになってしまいました。
あ~、、忽滑谷ロスになりそうw
最新刊がでるごとに愛しさが募っていく作品です。
毎度描かれるそれぞれの事情や思いが、いい感じに生々しくて、うっかり共感を覚えてしまうせいか、読者に寄り添ってくれるような、読者を置いてきぼりにはしないような、懐の深さをしみじみ感じられるシリーズだなーと感動せずにはいられないんです、はい。
というわけで、想いが重い久慈のターン。リーマン時代のふたりは眼福でしかなくて、久慈→吾妻への予想を超えて湿度の高い感情に”ぐふふ…”でした。一度終わりにして別々に過ごしている数年があるということが、現在のふたりに効いているんですよね。どーしても受け入れざるを得ない状況とかタイミングっていうのがあって、だからこそプラスでもマイナスでもなく個々の人生が存在する、そういう背景が感じられる描写がこの美しいフィクションの世界にそこはかとない現実感を漂わせていて、どーしよーもなく魅力を感じるんですよね!
温泉ではしゃぐふたり(”年甲斐もなく”は”萌”ポイント3倍要素です)、嬉し恥ずかしお墓参りデートとか、、別に大げさな言葉にしなくても、一緒に生きて行くという密やかな覚悟を共有し自然に寄り添うふたり、、、尊すぎて死ぬかと思いました(完結まで生きるけど…)。気持ちは言葉にしなきゃ伝わらないはずなのに、こちらのふたりは気持ちをわざわざ言葉にしなくても、さり気ない日々の会話からぞれぞれの気持ちや状況をきちんと察しているところが理想的で日常BLベストパートナー賞を進呈したいです。
コミコミさんの小冊子エピ(”久慈の夢”、”聖地巡礼?”)が、めちゃくちゃ!めちゃくちゃ!よかったので、もし購入先迷われている方いましたらおすすめしたいです。
恋がわからない人、そして恋が遠い日の花火になった人、恋をしている人…即ちみんなに読んでほしいような、優しいキラキラなラブストーリーです。20周年を迎えて、さらにさらに、こんなに初々しくて瑞々しいBLを描いてしまう木下先生に敬意を表して…神。
たまたま電車で見かけたかっこいい人と同じ職場だったら…ってもう、それだけで運命感じちゃう気がするんだけど、奥手の望田くんは自分から「助けてましたよね!!」とか前のめりにならない育ちのいい男の子でした。いやもう、私なら面接の時点で「え!所長って!」って絶対言っちゃうもんね(そして不採用)。所長の一挙手一投足にドキドキしてる初心さにキュンキュンさせられ…。あぁ…こういう風に人は人を好きになっていくんだよね。関西弁が軽くあざとくて、くせっ毛のまるい頭と少年のようなスマイルを必殺技にもつ、無害に見えて結構有害な男に…w。(元カノの漫画はちょっとな…)
いや~、、望田くんってなんかチョロい気がして心配なのですが、ゆっくりゆっくり亀の歩みで恋が進んでいく様子に応援せずにはいられませんでした。そうだそうだ恋ってこうやって落ちるんだったかな…っていう気持ちで読むのも楽しいと思います。あの事務所の壁になりたいです。
「スイートハート・トリガー」の不憫な当て馬・ブラッドの待望のスピンオフ!ニャンニャ先生のアメリカを舞台にしたBLって、アメリカなだけに(?)、湿度が低くて、いい意味で情緒が過ぎなくて、サイコロジーな感じがして面白いです。
残念なスパダリのブラッドとファーリーなホームレス・ノア。人に合わせすぎるブラッドとマイペースなノア、どこをとっても対照的なふたりが、違うままで寄り添って、お互いの個性を尊重しつつ、一緒にいる時間を楽しむ、傍目には風変りだけど理想的な関係にみえました。ほんと、幸せってひとそれぞれでいいんだよなってしみじみしちゃいます。
ノアのキャラクターがめちゃくちゃいいな~と思いました!周りにどう思われようと自分の好きに正直で素直で、弱そうに見えて強くて、ちゃんと自分軸で生きているし、ハムスターをお友達にしてるせいか、弱い立場の人間に優しい、何気に一番男前でかっこいいかもしれないです。ノアの善良で正直な人間性によってブラッドの心に灯がともるような…ちょっと変化球だけど、じんわり沁みる再生の物語だなと思いました。
ファーリーものって初めて読んだんですけど、、そういう特殊設定以上にとても尊いメッセージ性のある作品です。本編のなかで一番ヤバかったケイレブのスピンオフも楽しみです。
いいお話なんですけど、どうしても過去の出来事に気持ちがひっぱられてしまいました。いっや~、、貰い事故にしてはあまりに凄惨…っていう部分で悲しくなっちゃって萌えきれなかった?というところです。とはいえ、単なるリーマンもの、部下と上司ものっていう枠に収まらない、いい作品だと思いました。
土台が高校時代の初恋のお話なんだな~と思ったんで、もうちょっと高校時代編プリーズだったかも。あそこまでの献身に対しての動機に少し物足りなさを覚えてしまい…でも冒頭、「え?なになに?」から小出しに過去のふたりのエピソードが盛り込まれるんですけど、時間を行き来する流れがとても自然で読み易かったです。
というわけで、リーマン同士なのにちょっと甘酸っぱい青春の残り香…的な攻め→受けへの気持ちの純度の高さを感じさせるものがあって、”下心”って言っちゃうのは受けの気持ちの負担を軽くするための方便のように思えて、尊さ>スケベっていう気持ちだったので、正直後半のスケベはなくてもよかったかも…とも思いました(いいスケベでしたけど)。
シリーズファンです。
な、なんと来月に続刊(6巻)が発売されるというスピード感。しかもついに完結!今回最初から最後までドタバタ続きで、一体全体ど~なっちゃうんだ~という印象で…完結してから購入しよう!っていうのも大いにアリかもしれないです。
アルが吸血鬼としてのバージョンアップを遂げるんですけど、これがいいことなのか悪いことなのか、、、そもそもこの物語のオチとして不死者が死にゆく人間を愛してしまったらどうなっちゃうのか(同じ吸血鬼にしちゃうっていうオチにはならない気がするんですよね)っていう、木原先生の解釈がとても楽しみなんですよね。
本巻から新たなキャラクター(もちろんクセ強)も登場するんですけど、なんといっても伊達に300年生きてないなぁ…キエフのドライな優しさがめちゃくちゃよくて惚れ直しました。キエフ編とかあってもいいんですけど…。
1年が終わるのはしんどいけど、早く6巻読みたいっていう複雑な気持ちです。
こんなに豪華な執筆陣&表紙イラスト、鈍器文庫本サイズで1160円(外税)は、お買い得!!だと思いました。鈍器サイズなので、ちょっと持ち運ぶの躊躇するんですけど、短編集なので、通勤の電車とか、なにかの合間に読むのにちょうどよかったです。
というわけで、読んだことのない作家様の作品は新鮮な気持ちで、お馴染みのBL作家様の作品は「さっすが〜!」な気持ちで楽しみました。私はあんまりSF得意じゃないので、馴染のあるBL作家陣の作品のほうが読みやすくて好きでした。なんといっても!BL作家様たちはBL読者のツボをよく心得てらっしゃる!!と感心せずにはいられませんでした。
一番好きだったのは、榎田先生の「聖域(サンクチュアリ)」、、、近未来おじ萌え、特殊で高尚な性癖w、、えっろ!冒頭から性癖めった刺しでした。
木原先生の「断」、もおーーーー!これは木原センセにしか書けない世界観すぎて脱帽。すごいですよ。木原ファンは絶対読んでほしいです。SFっつーか、もうジャンルは「木原」でいいんじゃないでしょうか?
尾上先生の「テセウスを殺す」はちょっと難しかったんですけど、近未来お耽美な雰囲気でした。難解かもと思いながら、イメージ的なインパクトは一番強かったかも。
樋口先生の「一億年先にきみがいても」はキュンSF。可愛かった!ちょっと「星の王子様」を思い起こしてしまいました。
一穂先生のズバリ「BL」!最近の一穂先生の作品のなかで一番好きかもwちょっと切ないんですよ。でもこのアンソロの最後の作品としてふさわしい、美しい余韻の残る掌編でした。
こちら以外にも吟鳥子先生のノスタルジックな雰囲気の漫画作品もしみじみ良かったし…もし購入迷われている方いらっしゃったら、損はないですよ!とおすすめしたいです。
やっぱりこのシリーズは、葛西リカコ先生のイラストが好きだな~、葛西先生の新しいイラストを拝めて(少なかったけれども…)、もうなんだか胸がいっぱいになってて……(涙)、いや小説はもちろん面白かったです。(そこは、さすが!としか言いようがないくらいに。)
シリーズの前巻(”悩ましい彼”)はお仕事小説の印象だったと思い返して、過去の自分のレビューを見てみたら、熱量高めの(当社比)内容にちょっと自分で引くくらいw、5年経ってかなり鎮火した気がします。シリーズ読む熱量って、時間が経つと難しいんですよね。
が!予想通りスケベはないですけど、ふたりの関係性の進展が予想以上にBLBLしてて嬉しく思いました。そもそも、キモイ攻めはあんまり好きじゃないんですよね。とはいえ、なんだかここまでくると芸術的(というか、本当に芸術家だしね)、そんじょそこらのキモイ攻めとは別格、むしろ平良こそキング!って清居が少し不憫に見えました。まさに平良ターンっていう本巻、平良の抱える複雑で巨大な感情描写が個人的には過剰に思えて……”萌×1”に留まりました。
というわけで、なんだかんだ一般的なバカップルに近くなっているような印象をうけつつ、波乱はあったけれど彼らなりに順調に愛を育んでいる様子が読めてよかったです。最後の野口さんの掌編がかなり好みでした。ぜんぜんBLみないんですけどねw文章の美しさ、締めの一文はかなりグッときましたね。