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エロと救済 2

当作のスピンオフ「ほどける怪物」(コミックス「恋愛ルビの正しいふりかた」収録)の方を先に読んだのですが、せっかくなので購入。
本来ならナンバリングが1であるはずなのですが、読んだ順番ということで、こちらを2とさせて頂きます。

おげたな先生の描く「救済」は何もかもが剥き出しで、どん底に突き落とされた先に、ひとすじの光がすーっと通るような清らかさがある。
何度もグッときて、涙涙でした(涙腺弱い)。

高校時代から付き合っているかんちゃんのDVに耐え続ける弓が、偶然中学の同級生だった真山と再会するところから物語は始まります。

見た目や性格は正反対に見える、弓と真山ですが、本当の自分を出せない似たもの同士なんですね。
中学時代、クラスで浮いていた真山に話しかけて友達になったのに、あるアクシデントで気まずくなってしまい、真山を拒絶してしまいます。
それでも真山の「連絡するから」のひと言を信じて、ずっと壊れた携帯電話を捨てられずにいるのです。

誰も本当の姿を見ようとしないのに、真山だけが弓を追いかけてくる。
それが救いなのか、何なのか分からなくて弓は混乱します。

「また来るよ」と言われて、嬉しいのにほっとけよと突き放してしまう弓の気持ち、とても良くわかります。
本当の自分を暴かれそうな不安と、それを超える真山を求める自分の狭間で揺れる弓。
かんちゃんから別れを告げられて、でも自分からは動けなくている弓を真山が探し出して、やっと気持ちを伝え合うシーンでは、やはり涙でした…。
そこは力強いハグだろ!な場面でも、うっかり手を握る真山は、本当に弓が大切なんだろうな…としみじみしました(笑ったけどね!)。

2人のエッチシーンは今までの辛さを晴らすような、あまあま!そしてかわいい!
弓の顔を見ないとイケない真山、どんだけ弓が好きなの(笑)。

VIVA!ハッピーエンド!

「恋するオトコはみっともなくてもいいんだよ」

おげたな先生のお声が聞こえてくるような3作品でした。

「恋とはバカであることだ」
わたしはワンコ攻&年上受が大好きなので、それだけでも充分楽しめましたが、受けの真木の健気なこと!
童貞処女のくせに、佐山と強引にいい雰囲気になったら有無を言わさず自分が受けにまわってるのが可愛くて可愛くて。
12歳も年上なのに、タチじゃなくていいの?あ!生粋のネコなのか!と納得したり(笑)。
みっともなく佐山にベタ惚れな真木こそにワンコの尻尾が見えました。
この2人大好きなので、もっと続きが読みたいけど、多分ラブラブあまあまだと思うので、このくらいがいいのかもですね。
シンプルに大好き!

「外面だけは王子様☆」
おげたな先生の受けの下睫毛が好きでたまりません。
潤也の独占欲を一身に浴びて育った秋。
秋のコミュ障は潤也の刷り込みなんだなと。
潤也は秋に振り回されてばかりなのに、肝心の秋はその自覚がなくて、ちょっと気の毒になりました。
本編の最後についているイラストで、秋も潤也が好きだったのか!と目からウロコでした。
確かにそうでなければ、好きと言われてないとか拘らないよねと思いつつ、そういうところもコミュ障っぽいと妙に微笑ましくなったり。
この先も、ずっと潤也は秋に振り回される人生を送るのでしょう。
がんばれ(笑)。

「泣けないうそつき」
潔癖な真中が一目惚れした瀬川は美人で清楚系バイ。
お付き合いが始まって、実は瀬川は元ヤンを隠していたことがバレてしまいます。
理想の自分。自分の理想。
普段の日常でも、色々な理想を挟まれて生活していて、それが好きな人の理想だったら、本当の自分を隠してでも側に居たいと思ってしまうもの。
若さゆえの潔癖さで瀬川を許すことができない真中ですが、最後の最後で自分の理想のために瀬川が頑張っていてくれたことに気づきます。
真中が何気なく言った「うざいから泣くな」の一言を健気に守る瀬川のこられきれない涙の美しいこと。
男子高校生から少しだけ大人に近づいた恋。
あー、とてもとても良いです。
わたし的には瀬川×真中たいへん美味しいのでスピンオフ待機!なのです。

エロと救済

表題作の「恋愛ルビの正しいふりかた」、「ほどける怪物」共に、純粋な人生救済のお話なのかなと思いました。

「恋愛─」は高校時代にイジメられていたヒロは一念発起して美容師になり所謂リア充として充実した日々を送っています。
そこに現れたのが、黒歴史の張本人夏生。
ヒロは夏生に一目惚れされ付き合うことにしたものの、黒歴史の恨みを晴らすべくこっぴどく振ることをだけを楽しみにひと月が過ぎて…。

夏生のキャラクターが本当に魅力的で、真っ直ぐで天真爛漫、ヒロをただ一直線に愛します。
ヒロは、インキャラだった自分を(今はリア充になったにも関わらず)どうしても忘れられないんですね。
根が陰気なので仕方が無いのでしょうが(!)そのヒロの陰の部分まで、夏生がやさしく(無意識に)包みこんでくれて、マジ夏生は出来た嫁!

ヒロがインキャラの高校生でも、リア充に化けた美容師でも、どんな姿になっても好きになるって、なんて殺し文句。
そんなヒロだって、インキャラの自分にずっと話しかけてくれた夏生に相応しい人間になりたい一心で自身を変えることを決意したんです。
なんだ両思いだったんじゃん!

自己肯定をどうしてもできないヒロが、夏生によって救われる、お伽話のようなステキなお話でした。


「ほどける─」は別の作品のスピンオフだそうで、慌ててそちらも購入しました。
レビューはまた機会があれば。

こちらは、とある過去の理由から自ら幸せになってはいけない呪縛を課している林田と、会社のチャラい後輩秀那とのセフレから始まるラブストーリー。

セックスの時に、林田が意識を逸らした壁に貼られた写真には、今の林田のキャラからは考えられないような笑顔で写っていて、秀那はどうしても林田を笑わせたいと思いつめます。セフレではなく恋人になりたいと秀那が告白するも、林田は過去の記憶から拒絶するのですが…。

過去の傷から逃れられない林田に秀那が献身的に尽くします。
それなのに、だからこそ拒絶する林田に感情移入してしまって本当に辛くて辛くて。

また同じ過ちを繰り返してしまうかも知れないけれど「もう、ひとりでいたくない」秀那への思いを爆発させる林田に、その気持ちを「もう止めなくていい」と受け止める秀那。シビレました。
恋人として一緒のベッドで眠る時、林田はやっと笑顔を取り戻すことができるのです(号泣)。

ひとは時に過ちを犯すけれど、それを償えるのもひとにしかできないことなのですよね。


ヒロと夏生、林田と秀那。
傷つき傷つけながらも、お互いを大切に思いあい、救い救われる。
人生って、生きていれば何かいいことあるかもなーと涙を拭いながら感じました。

いやらしい野菜(違)

とてもエロい。だがそれがいい。

この作品は、Twitterで紹介されていたのを見て購入しました。
3巻分、まとめてレビューさせて頂きます。

絶賛スランプ中の小説家の太郎(M)と、イケメンゲイで父親に勘当されている八百屋の治樹(S)がエロエロしながらこころを通わせるお話。

身体優先で気持ちがついて行かない話、わたしはとても好きなんですが、SMを題材にしたBLは初めて読みました。
SはMを虐めるのではなく、尽くすものと知る。なるほど、奥が深い。

太郎は激しいセックスによって自身を解放し、いい子の自分と溶け合うことができて創作意欲を取り戻します。
新作を上梓して、過去のオトコに虐められて、しかもちょっとときめいたりして。
では治樹は?
Sの治樹は、甲斐甲斐しく食事を作り、お道具を使って太郎を虐め、ただただ可愛がるのです。愛です。
太郎の顔が徐々に変化していきます。3巻通すとよくわかります。
治樹に可愛がられて、どんどん可愛くなる太郎はご主人様である、治樹の愛でふんわりとMとして開花するのです。
いや、生まれながらドMなんですが(苦笑)。

あと。
1、2巻のジェットコースター並のドキドキから、3巻は少しだけ大人しくまとまった印象でした。
あと1巻分でも連載が延びていたら、先輩の登場が生きたかも?と思ったり。

閑話休題。
年末年始ヤリまくっている描写に、担当さんと先輩のモノローグが被っていたので、エッチの現場に鉢合わせしそう!とドキドキしていたのは、恐らくわたしだけでしょう。



作画がぐんぐん良くなって、3巻目には太郎も治樹もめっちゃ可愛くなっていって、作者である松本ミーコハウス先生が楽しんで描いていらっしゃるのだろうなと感じました。

無駄に熱くて重いレビュー

おげれつたなか先生はお名前はお聞きしたことはありましたが、作品を読んだことはありませんでした。

偶然pixivの創作BLのタグから今作に出会い拝読したのが初めてでした。
一気読みした後に作者名を見て、これが!あの!おげたな先生の作品なのか!!と驚いたのです。
正直、ペンネームと作品名で損してませんか(失礼なのは百も承知)と思ってしまいましたが、それがおげたな先生のスタイルなのですよね。うん、素晴らしいと思います。

率直に言って、堕ちました。
はい、おげたなワールドに堕ちました、わたし。
すぐにネットでおげたな先生の作品を注文し、届いた作品をうっとりしながら読んで、そしてこの気持ちを誰かに伝えたい!と検索していたら、ちるちるさんに辿り着き、レビューバージンを「ヤリチン☆ビッチ部」に捧げます。



前置きが長くなりました。すみません。

おげたな先生のペンネームに恥じない(?)おげれつな内容なのですが、登場人物が全員本当に魅力的。

主人公の遠野くんは唯一の良心。
加島くんはナチュラルボーン素直。
やっちゃんのモデルって…(自主規制)。
明美部長抱いて(糸目くんを)。
糸目くん抱いて(明美部長を)。
生まれ変わったら鹿谷くんの下睫毛になりたい。
たむ先輩!わたし初回限定版手に入らなかった!(号泣)。
そして…百合くん!百合くん!ジミー!ジミー!

ヤってることは爛れてるのに、何故かとてもピュアピュアなヤリ部の面々にきゅんきゅんしっぱなしでした。
性欲を持て余した男子高校生の恋心は透明過ぎて相手にも自分にすらも見えていないのかもしれない。

遠野くん、真島くん、やっちゃんのトライアングル(なのか?)は、どこがどうくっつくのかな!
(自称)バリタチ真島くん次第なのかもしれないけれど、個人的には遠野くんとやっちゃんのふたりがとてもかわいい。
ぜひ、やっちゃん×遠野で!(少数派ですよね、知ってた)。

明美部長と糸目くん、リバップルっぽい!
部長に怒られそうだけれども!
色っぽく恥ずかしそう抱かれてる糸目くんと、Sっ毛全開の明美部長のカップルは、何とも今後の展開が気になるところ。

鹿谷くん!君は早く幸せになって!!!!!

多分、本当ならたむ先輩とか加島くんが好みのはずなのに、気づけば百合くんのことばかり考えています。
百合くんとジミーのピュアピュアキスシーンは涙無しでは読めませんでした。
こちらのレビューでは百合×ジミー派の方が多いようですが、わたしはジミー×百合を激しく推したい。
ジミーの深くて重い愛で百合くんを雁字搦めの骨抜きにして欲しい。
身体の繋がり以上の、こころのセックスの快感を、百合くんに教え込んで欲しいのです。




2017年5月に2巻の発売が決定したとの嬉しいお知らせ。
また、たくさんのピュアピュアラブストーリーにきゅんきゅんできるのかと思うと、今からとても楽しみです。