毒気に当てられ、酔いしれる。
それも濃厚でどろどろの甘過ぎる毒。
特にセックスシーン。
見てはいけない物を覗き見している感覚に、ぞくぞくする。
紙面から男の欲情が匂い立つ。それを香水で包む。
なんて人を酔わせるエロティックな情景。
なんだこれ。
そりゃませて生意気な要くんも、これきりにするわ。
当事者だけが、狂ってると分かってるこの状況を受け入れられるんだから。
それは倒錯的な非日常故に受け入れられる。
だからリボンで現実を遮断してる。
リボンを着けて、相手が来るのを待つ。
必ず来ると確信して。
この待っている間に、兄さんは何を感じてるの?
義弟が入れるようにオートロックの部屋に新聞を挟むなんて危険なことしながら、今か今かと待ちわびてる癖に涼しい顔して待ってるなんて。
堕ちていくと分かってる、それに意味など求めても何もない、何も得られない、むしろ何かを失っていく気さえする。
それが上巻かと思う。