私もケンジと同じく胸がいっぱいになってしまって、泣きました。24巻という長さで2人の生活を見守ってきたからこそ、あたかも自分もその場にいたかのようなリアルな感覚で、ケンジが感じたことがそのまま伝わってくるようでした。史朗父の妻への愛情の深さにやられましたね。当たり前だけど、2人ともそれぞれに史朗が可愛くて、彼が子供のうちはもちろん、大人になってからもたった3人の家庭を守りたいと何十年も必死に生きてきたんだなぁと。
だからといって、史朗を否定したこと、ケンジを拒絶したことは簡単に仕方なかったね、と済ませられることではないけれど。誰が一番苦しんだかとか、誰が一番我慢したかとか、そういう話ではなくて、それぞれに別の苦悩と諦め、希望があって、その人ができうる限りの努力で向き合った結果が、今に繋がっているんだなぁとしみじみ感じました。それが史朗に料理も一緒に楽しんで作ってくれる最愛のパートナーができ、ケンジには最終的に家族ぐるみで温かく迎えてくれる家庭ができたという結果をもたらしたのなら、これ以上の幸せってきっとないと思います。何度道を誤っても、史朗の父と母が互いの手を離さなかったからこそ、ここまで来れたんだなと感無量です。