毎回だれるところがなく、スピード感を保ったまましっかりストーリーでも魅せて、ダンテとジーノの濃い濡れ場でも魅せて、とクオリティが下がらないのがすごいですね。今回はいよいよ本物のジーノがお目見えということで、かなりの波乱が巻き起こりそうでしたが、結構危ないところまでいくものの、ダンテがジーノ自身よりもジーノの思考を理解していて、道を本格的に誤る前に先手を打って彼の心も体も救い出してくれたので、ほっとしました。長年身代わりとしてファミリーを想いやったり、努力したりして積み上げてきたものは、けっして偽りの無価値なものではない。周りがそう言ってくれると非常に心強いですね。まだ問題が片付いたわけではないけれど、ダンテが傍にいてくれれば大丈夫だろうと思えます。
1巻ではしっくりこなかったというレビューを書きましたが、惹かれ合う過程における2人の心理がよく分からなかった点が大きいので、既に関係性が出来上がっているところから始まる2巻はすんなり読むことができました。紫音と亜威のことは優雅の心に棘として残っているんですね。ある程度割り切れる性格の方がホストには向いていると思うけれど、彼のように誠実なタイプもやっぱりいてほしいなぁと思います。夢に見るほど悩んでいたとは思わなかったので、皆優雅の幸せを純粋に望んでいて恨んでなどいないことを早く知れるといいですね。1巻で気持ちが乗らなかった濡れ場にも萌えられるようになってきました。
なかなか共感しにくい物語でした。普段異性の客を数多相手にしているので、同性の客がつくと嬉しいのは分かります。しかし、だからこそそういう客とはまずは恋や性を介さずに親友みたいになりたいと思う方が自然かなと思いましたし、一方の煌夜も最初に優雅に惹かれた理由がオーラという曖昧なものだったので、2人が恋し合う過程にすんなり入り込めませんでした。登場人物皆がホストらしいぎらつきや色気をあまり感じさせない落ち着いた性格だったのも大きいかも。優雅と関係を持っていた2人もそんなあっさり諦められるんだ?と思ったり。箱の外観や、別の店のホストに自由に店をうろつかせておくリアリティのなさもちょっと気になりました。もう少し2人それぞれの背景が見えてくると、萌えられるかもしれません。
オースティンはいろいろスペックが高いのに、結構その時々の感情に左右されて基樹と接するところがあって、個人的には少しもったいないなぁと感じてしまいました。そういうところも年相応で可愛らしいと思える方ならすごくハマると思います。でも、吃音の悩みを抱える基樹の背中を押してくれた場面は、彼が根本的に持っている温かさが感じられてとても素敵でした。プロムも恋人がいない人は友達として異性と参加する文化があるのがいいですね。2人のパートナーとして参加した女の子たちも魅力的に描かれていました。10年の時を経て夢も恋も叶えた2人。注目される機会がどっと増えるでしょうけれど、相手の手を離さずに愛を紡いでいってほしいですね。
外国人と日本人の組み合わせは珍しくないかもしれませんが、片方が留学生という設定は案外今までになかった気がします。これからもっとBLで増えてもいいかも。日本で学校に馴染めなかった代わりに英語を学ぶことや洋画に楽しさを見出した基樹。そこで留学させてみようとする親が素敵ですね。オースティンが中盤まで基樹に優しくしたり冷たくしたり、かなり態度が不安定だったところにはあまり共感できませんでした。10代で異国の地で生活するのは本当に精神的に大変だと思います。生活面以外でのストレス源として基樹を振り回すくらいなら、どちらかの態度に一貫してほしかったですね。でも彼も同じくらい未熟な歳なので、その時々の感情に左右されるのも仕方ないのかなとも思いました。お互いの努力に敬意を持ち、夢を追う2人の関係性はすごくきらきらしていたので、恋愛と上手く両立させていってほしいです。
ポップな表紙でとても気になっていました。まさにタイトルどおりの物語。ラフなタッチなのにここまで読者を引き込んでくれるmememe先生のすっかり虜です。むしろこのタッチが高校生という未熟で可愛い男の子に合っていて、魅力を増大させてくれているんですよね。
一軍男子には引け目を感じてすぐ逃げ腰になってしまう太郎を怖がらせないよう、最大限気を遣って現れてくれたアイくん。初めて見た時から小柄で素直で擦れていなさそうな太郎が気になって仕方なく、可愛い可愛いと連呼したり、どうやったら仲良くなれるのかと頭を捻ったりする彼の姿も十二分に可愛かったです。可愛いものは癒し効果があるし、人を幸せな気持ちにさせます。アイくん視点に切り替わった時、飽きたりしないかな?と一瞬心配になりましたが、ゲームのように考えているわけではないし、太郎に愛情を注ぐことが彼の幸せになるわけですから安心ですね。太郎もアイくんのことを可愛いと思う場面があり、この2人はビッグな愛を見せつけてくれる素敵なカップルになるだろうと思いました。
最初はラフなタッチで高校生同士、軽快なやりとりで始まったのでラブコメだろうと思ったのですが、上坊寺の家庭が思ったより深刻な問題を抱えていて、家に帰りたがらない彼を本当に可哀想に思いました。この年齢では簡単に自活もできない。なのに唯一安心できる居場所であるべきはずの自分の家が居心地が悪いと、精神的にかなりしんどいはず。現代にはこういう子、たくさんいるんでしょうけれど。小波はそういう話を聞いてもあくまでフラットに、でもさりげなく親身な態度でいてくれて。過剰に心配することもなく、面倒くさがることもなく、ちょうどいい按配で聞いてあげるのって本当難しいので、それを自然にできるのがすごいですね。健全な家庭で育った証なのかもしれません。BLに発展するのが少し急展開な気もしましたが、再会できてよかったです。
前巻のラストで感情を曝け出した2人でしたが、よし恋人になろう!と踏み出したわけではなかったので、特に藤次の方は八千代とどう距離をとっていいか分からず、らしくもない気遣いをしてばかりな序盤がもどかしかったです。八千代は藤次には藤次らしくいてもらえたらそれでいいと思っているけれど、藤次だって大人になって聖人との関係も経ていろいろ成長しているし、子供の頃のように奔放に振る舞うことはできないですよね。
でも、だからこそ八千代が距離を詰める余地も出てくるわけで。藤次が八千代のために空けておいてくれる隣に今度こそ立てば、大人になった2人が居心地がいいと思い合える新しい関係性に進めるかもしれない。昔のままの臆病さも寂しさも抱えたままでいい。八千代からは言い出しにくいだろうから、まずはいつも藤次が行動に移して、それから八千代が本当にこれで大丈夫かな?と不安がっている藤次を安心させるように、ありがとう、嬉しい、とついていく。そんな2人の一歩ずつ相手を確認しながら前に進んでいく過程が、とても愛おしいなと思える、そんな作品でした。