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女性Sakura0904さん

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ゆっくりいろんな経験を重ねて

 前巻を読んだ時からかなり間が空いてしまいましたが、読み始めると不思議とすぐにこの2人の空気感を思い出しました。家での生活態度はちょっとだらしないけれど、匡人と離れがたく思う気持ちが滲み出ていて、建築士の仕事に励む時はかっこいい旭は改めて素敵な攻めだなぁと。匡人も10代や20代の恋愛みたいに、相手のために何かしようと常に努力しているところが可愛いなと思いました。

 同性同士だと子供ができないということは、子供をつくろうとしなくて済む、子供を期待されなくて済むということでもある。相手と一緒にいる心地よさにそんな気持ちが付随していようと、私は別に構わないと思います。そのために恋人になったわけではないのだし。それも同性同士の気楽さだと大らかな気持ちで、2人には何でも言い合える張り合いのある日々を過ごしてほしいですね。

情緒がジェットコースター

 絵津鼓先生、すごい。どうしてこんなストーリーを思い付けるのでしょう。最初はファンタジー的アイテムの登場に戸惑い、物語がどう展開していくか予想できず、キャラクターもいまいち掴みきれず、もしかしてこれは私には合わない作品かも?なんて思いましたが、ページを捲るごとにどんどん引き込まれていきました。

 大悟への永遠の片想いを抱えようとしていた澄春。彼のその選択は十分理解できるものでした。言って関係が崩れるくらいなら、今の気を遣わずに会話できる心地いい関係のままでいたい。でも、一生大悟の言動にこっそり一喜一憂して、彼が目を向ける他人に嫉妬したり、焦燥を覚えたりし続けるだけの人生なのか? それはしんどいなあ……。彼が万年筆を使った気持ちも、多分に同情できるものでした。あっさり考えなしに使ったように描かれていたけれど、長年の苦しみから解放されたいという思いは強烈で、切実だったことでしょう。

 そして、好意を失った後に本人から過去の気持ちとして、好意を伝えられた大悟。こんなに虚しいことってあるでしょうか。きちんと向き合いたかったのに、相手はもう自分を好きじゃない。長年気持ちに気付かなかった大悟も、万年筆を使った澄春も、どちらも何も悪くないですよね。誰も責められないからこそ、大悟は余計に自分に腹が立って、内心澄春への感情がぐちゃぐちゃになったんじゃないかな。そこまで描かれてはいませんでしたが、この件の後1人の時に大悟がどんな様子だったか、思わず想像してしまいました。

 積年の好意を失った状態で大悟と接し、もう一度好きになってしまう澄春。だって、別人になったわけじゃないもの。ときめくポイントも変わらないし、好意なんて本能レベルだろうから、それは避けられない。もし好意がバレずに大悟が以前の態度のままだったとしても、きっと時間は多少かかってもまた好きになっていたんじゃないかな。一方の大悟も、澄春を一度意識し出すと、もう止まらない。それは今までも彼を美しいと思っていたから、性別云々の前に1人の人間として愛していた下地があったからであって、けっしてゼロから突然生まれたものじゃないのだと思いました。

 恋をリセットして元気になった澄春も、恋に悩んでぎこちなくなった大悟も、新しい人格になったのではなくて、それは今まで表に出てこなかった別の部分が表出しただけで、どちらもその人自身であることに変わりはありません。大悟の台詞に、他人と向き合う上での彼のひたむきさと誠実さを感じました。いろんな面を知れた方がきっと楽しい。澄春には両想いの人とを愛し合える楽しさを、大悟には自分を知り尽くした上で全身を自分への好意に捧げる人の愛おしさを、これから存分に味わってほしいです。思わぬ事件から思わぬ展開になったストーリーでしたが、澄春の選択は間違いなく好転への機会を掴むものでした。結果論だけど、人生それでいいんだと思います。

2人のバイト先の雰囲気もそれぞれ魅力的

 都会での大学生活が始まり、新しい環境に戸惑ったりするのかなぁなんて思っていたけれど、大学でも家でも常に一緒にいるので空気感はほぼ変わらず安定していました。コタのあっけらかんとした態度や取り繕わない表情、瞬平のコタへの好意を本人にも周りにも一切隠さない堂々したところが、改めて好きだなぁと。カミングアウトも意気込むことなく自然な流れで行われ、友人たちも2人のいちゃつき加減に呆れつつもすんなり受け入れてくれて、こんな人たちが増えるといいなと思いました。コタだけの帰省で久々に離れ離れになり、寂しさを痛感する2人。どちらがより強く、ということもなく、お互い同じ大きさの穴が開くところが2人らしいですね。

まずは労働から

◆愛せよ坊ちゃん(表題作)
 表紙ののほほんとしている方が読んで字のごとくお坊ちゃん育ちの棗なのですが、男の子なのに本当に箱入りで、他人を疑う心とは無縁な危なっかしさは思わず守ってあげたくなります。でも、一誠は初対面から結構厳しいことを言うんですよね。早く自立させたかったらこれくらいの喝が必要だったのかも。一誠の意外な一途さにきゅんときたりもしたのですが、せっかく棗に本物の自立心が芽生えたのに、まともなバイトに励むところすら見れなかったのが残念でした。一誠とくっつくまでに、接客でも力仕事でも、何か1つ世の中の大変さを知って成長していてほしかったですね。

◆俺のミスター
 意外な性格同士の組み合わせで面白かったです。特に、大学のミスターコンテストに出場する取手の、ずけずけものを言うのに相手のことはちゃんと見ている優しさにぐっときました。これは長年叶わぬ片想いをしていた鳴海が絆されても仕方ないですね。続編があれば読みたいなと思いました。

恋愛面での金沢の成長を期待したい

 6年ぶりに続編を出してくれて嬉しいです。久々に読みましたが、やっぱり加賀のまとう雰囲気が好きだなぁと思いました。静かな表情、落ち着いた目線なのに、全身から金沢への愛が伝わってくるというか。金沢のことが本当に好きなんだなぁと。ただ、7巻のストーリーは残念ながらすれ違いが多めです。金沢のアメリカ行きに加賀も金沢本人も翻弄され、一度はなんとか修復した関係性なのにまた同じ過ちを繰り返してしまったり。まだ互いに遠慮している部分が多いので、こんな風になっちゃうんでしょうね。自分の半身を預けるように相手に甘えられるようになるにはまだ時間がかかりそうですが、気長に見守りたいです。

弟のリハビリもぜひもう一度

 出会った初日の吉見が久慈にリハビリの提案した時の久慈の拒絶加減から、大丈夫かこの2人、久慈に何があったんだと思いましたが、たまたまいろいろ重なって気持ちが穏やかではない日だったんですね。2人ともいたって善良なキャラクターでした。葬儀社の専務と理学療法士、お互い仕事で相手にする人が近いから、相手の仕事面を理解してあげられる部分も多く、珍しいけれどいい組み合わせでした。この2人は良き友人のままでも十分素敵な関係を築けそうだったので、体の関係を持つ展開はちょっと性急に感じたかな。脇役の存在感も強めで互いに仕事も忙しく、2人の心情変化をもう少し丁寧に辿りたかったです。ただ脇役も含め、病院や故人の近くにいることを感じさせない作品全体の柔らかで明るい雰囲気は好きでした。

戸惑う先生は本当にかわいい

 河飯先生はこういう雰囲気の攻めを描くのが本当に上手いですね。掴みどころのない、ふらふらとして少し軽薄そうな態度や話し方のくせに、色恋においてはけっして相手をとっかえひっかえしているわけではなく、本人なりに悩んだりして意外と真面目に向き合うタイプ、みたいな。まんまと絆されてしまった鮫原ですが、表紙やこのページの攻受紹介に使われている1カットから想像できるような、いつも困り顔で押されたらすぐ流されるようなタイプではありません。体育教諭で筋肉や体力は宮田よりもあるし、宮田に好意を明かされてもなかなか信用せず、結構中盤まで気持ちの面では彼を拒んでいます。

 相手のいる日常が当たり前になればなるほど、1人で過ごしていた元の日常に戻る日が来るのが怖くて、自分の気持ちを預けきれない。男女の恋愛においても同じことが言えるでしょうけれど、ノンケなのに同性である自分を好きになってくれた、という思いはその不安をより一層強くする。宮田との初めての恋人生活に浮かれずにいられない一方で、そんな考えがいつもどこかにある鮫原の冷静さに共感しました。ずっと一緒にいる、なんて言葉は言わないと言い切った宮田が私も好きです。だって、鮫原だってこれから宮田以外にどんな男と出会うか分からないですから。心変わりの可能性も、恋愛に構っていられなくなる可能性も、病気や事故に遭う可能性も、皆平等に持っている。でも、曖昧な可能性のせいにして相手の今の気持ちを否定するのは虚しいし、無意味です。お互いに相手を好きという尊い奇跡を今、存分に楽しんでほしいと思います。

苦くて熱くて苦い

 下巻は全編縁結び商会の2人、豪と宇楽の物語でした。島田というほぼ裏社会の人間も交えての一筋縄ではいかない爛れた三角関係。阿部先生はやはりこういう関係性の描写が上手いなぁ。宇楽がただ島田に搾取されるばかりだったのかと思いきや、実はそうではないというところにぐっときました。傍から見ていて一見愛なんてなさそうに見えるところに存在する愛、というのに弱いかも。島田には深く付き合った人にしか分からない魅力があるんでしょうね。懐が深い、器の大きい人間はやはり素敵です。メインの豪×宇楽にはすごく萌えるとまではいきませんでしたが、劇的にではなく時間をかけてじわじわと離れがたい関係性に変化していく過程は好きでした。

阿部先生の女装キャラはかっこいい

 BL漫画でこういうオムニバス形式の作品って案外少ないですけれど、もっと増えてもいいんじゃないかなと思いました。タイトルにもある縁結び商会の2人もできているし、そこを訪れる人、彼らに出会う人もまた恋をする。一般漫画ならけっして珍しくはないこういう形式、好きだなぁ。その分1つひとつの話は短編寄りになりますが、それでもしっぽりと魅力的に描ける阿部先生はさすがです。飲み屋街、ネオン街などの背景もいいですよね。そう簡単にはなびかない元ホストで現弁当屋の佳人には、今度こそ明るく楽しい恋愛をしてほしいです。

ママに感謝

 2巻も序盤は若干無理矢理な展開に感じたものの、中盤からは1巻ほど気にならなくなり、ようやく秋野と目黒のやりとりを楽しむ余裕が生まれました。目黒は淡々と生きてきたように見えるけれど、実はゲイならではの苦い過去を抱えていたんですね。大学生という若さでこんな悩みを抱えながら、人と付き合うのはとてもしんどいでしょう。秋野くらい裏表もなく猪突猛進なタイプはそんな目黒にはぴったりだったのかもしれません。ちるちるの攻め属性を改めて見てみるとゲス・クズとありますが、秋野は恋愛に対して深く考えない男というだけで、けっして性根の悪いタイプではありませんよね。気兼ねなく喧嘩もたくさんできるようですし、案外安定感抜群なカップルになりそうだなと思いました。