評判通り、架空の国の設定は細かい所までつくってあり、他にはいない作家さんだと思います。
ただ、個人的に文章のつくりが好みではありませんでした。
ストーリーの大筋としては山あり谷あり、メリハリがあるはずなのに、読んでいると驚くほど単調に感じるのです。一つのシーンを際立たせようと思ったら、それ以外のシーンをあえて曖昧にしたり、省略したりするものかと思います。でもこの作品はどんな些細なシーンもすべて事細かに描写されていて、それゆえどのシーンを際立たせたいのかわからない…抑揚がないと感じてしまいます。
端的にいうと、読んでいるうちに飽きてきて、どうでもいいシーンは読み飛ばしたくなります。
私がせっかちなのかもしれませんが、「今のそのシーン、誰が何をしたとかって必要!?」といらいらしてしまうのです。”描写されない行間の趣”がなく、ひたすら起きた出来事がつらつら書かれているという印象。
歴史を忠実に記録するために、2人のことをそばで見ていた従者が書いた歴史書、とでもいいましょうか。
きっとWEB小説で1話1話噛み締めながら読み進めるのであれば、また違った感想になったと思います。
なにせ一気に読めてしまうので、どうしても濡れ場などの描写はどれも似通っていて退屈に感じてしまいますし。
ただ、この作品にファンが多いのは納得できます。
細かい描写のおかげで、架空の国の風景や食べ物を思い浮かべながら読むことができますし、なによりこの作品で二次創作をする方には、この上ない設定資料集になると思います。笑
WEB小説からではなく、最初から商業で書いたら、また違った感じになるんでしょうか…今後の作品が楽しみです。