小説花丸2008年春の号に掲載された短編。
諸事情あってお蔵入りとなっていた幻の作品らしいです。
たまたま電子書店を検索して歩いているうちに発見し、¥162円というお手頃感もあって即買いしましたが、読んで号泣してしまいました。
物語は、一人の老人の独白から始まります。
幼い少年に語り聞かせる昔話の形をとって、自分の人生を振り返るという筋書きですが、桃の妖精に恋した男はやがて人としての天寿を全うし、神仙の許しを得て天界へと導かれ愛する人と再会するのです。
どこか「おやすみなさい、また明日」を彷彿とさせるストーリーです。桃農家のバツイチ男と、天の桃の妖精との純愛ファンタジー。愛し合う二人は途中で引き裂かれる運命にありますが、ラストはハッピーエンドですから安心して読んでいただけると思います。
私も、おそろいの茶碗でずっと一緒にご飯を食べるひとが欲しくなってしまいました^^;
凪良ゆう先生の小説家としての実力がうかがえる傑作です。