悪くはないけど、周囲にもっと自分を見てほしいとコンプレックスを抱える主人公が、果てしなく都合のいいイケメンに言ってほしい言葉を言ってもらうだけの漫画って感じですね。
攻めが童話の王子さまみたいでした。キラキラしてるって意味じゃなく。記号的な役割しかない感じ。男向けのお話のお姫様をトロフィーだとするなら、女向けの王子様はただ欲しいものを与えてくれる魔法の杖って感じじゃないですか。そんな感じです。肉欲をむき出しにせず、汚い自分を見ても許し受け入れ、求めているものに気づき与えてくる人。
だから何というかどういうきっかけで主人公の事が好きになったのか分かりません。
意図的に条件付けの愛情になることを避けてる気さえします。
結局主人公が救われる話なので、BLの体裁はしていますが関係性は二の次。主人公の気持ちばかり前面に現れ、結末も愛の行方ではなく、主人公とそのコンプレックスに終始。少しBLでやる必要性にかける気がしますね。
攻め以外の周囲もただ主人公に都合よく配置されてるだけなので、最後の手のひら返し見ると主人公が勝手に先走っちゃたように見えて残念かも。
キャラが薄っぺらいような気がします。特にお祖父さま。
自ら望んだ後継ぎに冷たすぎじゃないですか?
自分の死後、家を一手に担うのは受けであるのに、恨み育ててどうするんです。
「よっしゃ。これから俺が当主だ!恨みつらみの募ったこの家を滅ぼしてやるぜ」となるとは思わなかったんでしょうか。
幾らでも女を囲って子供を作れ、面倒はシウヴァ家が見るという発言も、貴方もうすぐ死にますよね、だから受けをわざわざ連れてきたんでしょ。てことはその面倒はやはり受けが見ることになるんですけど?って疑問でいっぱいに。
後継ぎ争いが起こる懸念なんて一切気にしてる様子ありませんし。
結局ろくな和解イベントもなく、よくある死の直前のいい人ムーブで退場。数年間送り続けたカードやプレゼントなどのやり取り一切無視してのこれは、とても納得できるものではありません。舞台装置なんでしょうが、それならもう少し言動控えても良かったのでは?BLならよくあることでしょうが、普通に考えればかなりの外道ですよ。
また攻めがそのお祖父さま寄りの発言しかしなくてイライラします。その解釈でもいくら傷ついてるとはいえ、何十も年下の子供に甘えすぎでしょう。攻めは表面上優しいんですが、本質はシウヴァ家やお祖父さまの犬って気がして。金と家族を人質に受けをがんじがらめにして、自分と家のいいように動かそうとしてるようにしか思えないです。そこまでの価値がシウヴァ家にあるんでしょうか。
最後、攻めが受けに忠誠を誓うシーンがありましたが、お祖父さまへの馬鹿馬鹿しい盲目的なそれを見てしまえば感動も起こらず、先行きが不安でなりません。
これなら似たような話の小川いら先生のあれのほうが個人的には好きだなって思いました。
面白いは面白いんですが、それは歴史の面白さであってBLの面白さじゃない気がします。面白さのツボはキャッチしているのに、BLや恋愛じゃなくてなろうよりなんですよね。
いっそ薄味ならBL失くしちゃえばとも思いましたが、歴史ものやトリップものが見たければ一般作をみればいいので、そちらと比べると力不足かなと思います。
良くも悪くもBL業界だから新鮮に感じられ、文章や展開の巧みさが目立つのでしょう。
それに最近気になるんですが、最近攻めの出番が少ないですね。
二十巻以上出して、攻めの内面としても受けとの関係上も、また展開においても煮詰まりすぎて、これ以上進展させたり他に転がすわけにいかないのもので迂闊に出せないのは分かりますが、着地点の明らかなものを放置されると間延びして感じます
話が進まないというか、問題がないから何も解決する必要がないって感じでしょうか。ちょっとした日常を通して二人の見えない親密度だけは確実に上がっていくので、関係を揺るがすような横やりがないんです。しいて言えばウサギ家の関係でしょうが、今更二人の矢印は揺れ動きそうにないので茶番にしか見えません。ライバル関連もそうです。
さらに今回、ウサギさんの過去が明かされましたが、これも今更感が漂います。
過去を踏まえて改めて一巻に目を通すと美咲(片思い相手の弟)に無理やり手を出したところなどウサギさんの傍若無人ぷりが違和感あるような気がして、それもちょっと…という感じです。
根本的に一話で終わるはずだった話を何度もやらせて、20巻以上出させているのがグダグダになった原因じゃないですか?長期連載が決まった時にストーリーライン見直すべきだったのでは?
ホモが痴話げんかして、ぶつかって、仲直りHするって話を同じキャラで何本も作るのは流石に限界がありますよ
主人公にまったく共感できませんでした。自分を非合法な島に閉じ込めた義父を、彼はドヤ顔で糾弾しますが、連れ子が暴走族に入りやりたい放題しているときに妻の妊娠が分かったら、どこかに閉じ込めたくなる気持ちも人情として分かります。
彼の理論は甘ったれのクソガキのものでしかありません。
それだけならキャラの個性で済みますが、作者の肩入れがプラスされるともうイライラして仕方なくなります。青春ものとも見れますが、成長もありませんし、上辺だけのギャグにしか見えません。
対象年齢10代が限界じゃないでしょうか。(内容はそぐわないハードですが)自分も十代の頃ならきっと面白くい読めたと思います。
散々貶しましたが好みとして受け付けなかっただけで、筆力そのものは高いと思います。最近の、無駄に長い描写、マンネリを繰り返すだけのストーリー、薄っぺらい登場人物、共感できない通り越して理解できない心理描写の作品群よりかよっぽど。