◇カップリング
社会学科教師×生徒
◇あらすじ
受けは、告白をしようとして大失敗したシーンを
攻めに目撃されたどころか
自分が告白した子は先生が好きだと知り、失恋。
思わず攻めに生意気な態度を取ってしまう。
けれど攻めの後押しで、再度告白をすることが
出来た受けは攻めに謝罪。
すると攻めが「身体で示せ」と学校での
雑用係を命じてきて…!?
◇感想
1冊表題作のみ掲載。
ページ数もあり、ボリュームはバッチリでした。
表紙絵や、各回ごとの扉絵がコミカルで可愛い。
特に扉絵は2人の関係の変化が見えて微笑ましかった。
話は教師×生徒ものの王道ストーリー。
特にビックリ意表をつくような展開はありませんでした。
受け視点で話は進んでいくので
「嫌い!」と言い張っていた受けが
次第に攻めに惹かれていく姿はよくわかりました。
しかし「生徒に手出せるかよ」と冒頭で言っていた攻めが
そのポリシーを捨て去ってでも
どうして受けのことを好きになったのかが
あまり作中で見えてこないのが残念でした。
あえての描写かもしれませんが
攻めがちょっかいをかけて、受けをいじっている姿が
少し軽く見えてしまうのかもしれません。
そんな攻めの軽さみたいな部分が
個人的に目についてしまい
異動すれば手を出していいのか…?
いや、法律上ダメだろ…???と
BLはファンタジーとわかりつつも
つい突っ込みたくなってしまいました。
ただ後日談はラブラブ甘々でしたし
お話も王道な作りになっているので
読みやすい1冊ではあるかな。
◇カップリング
レンタル彼氏×12人も彼女(?)がいるデザイナー
◇あらすじ
受けは12人もの彼女(ただし受け自身が接触嫌悪のために
性的な関係はなく、ただ受けの部屋に集まって
ワイワイ寂しさを紛らわす子たち)を持つ青年。
ある日12人もいる彼女が、奇跡的確率で
誰も捕まらず、ふとした思いつきで「レンタル彼氏」を
呼んでみることに。
さらなるモテテクを「レンタル彼氏」から盗もうと思う受けだったが
そこで出会った攻めは、受けを「さみしんぼ」と評するのであった。
◇感想
受けが抱えている悩みが思った以上ディープなもの
(接触嫌悪・味覚障害・嗅覚障害)だったのが予想外。
すごく切なかった。
けれどトラウマを抱えてしまったきっかけが
具体的なものではないため
作中でぼんやりしてしまっている部分が残念。
(幼少期、忙しい両親にかまって貰えず…とあるけど
本人がそれらが原因だと思っていないため)
話としては、もっと明確なきっかけがあったほうが
盛り上がるのではないかなとも思います。
けれど「気づいたらそうなっていた」って
具体的な出来事がないぶん
ある意味リアルで根深さを感じますが…。
そんな受けが、最初はモテテクを盗んで
もっと女の子にモテたい!(そして寂しさを紛らわせたい)と
レンタル彼氏である攻めと出会うのですが
次第に「レンタル」の枠を超えて
惹かれていく流れは、とても自然に描かれていて萌えました。
攻めも、受けから受け自身の話を聞くことによって
どんどん「レンタル彼氏」ではなく、素の状態で
受けのことを心配し気にかけていくのが
言動で見えるのがよかった。
お揃いのダサTシャツをお土産で、攻めが買ってくる
シーンが、個人的に微笑ましくて好き。
最終的に、攻めに対して・攻めと一緒ならば
受けの悩みが解決されたのには、ほっとさせられました。
作家買いの先生の1人なので料理教室が舞台であることから
同作家さんの「料理男子の愛情レシピ」と
レーベルが一緒だしスピンオフか何かかなぁ~♪レベルの認識で
(※ちなみにスピンオフではなかったので、ご安心を)
ポチっていたのですが、到着をした本を手にとってビックリ!!!
あらすじに踊る15歳攻め、そしてまさかの自傷という文字\(^o^)/
え?え?攻めが15歳ってのにも驚愕だけど、攻めが自傷するの?
どういうことだよ…と、基本的に雑食でなんでもいける私も
何が起こるかわからない未知数っぷりに
震えながら読み進めていったのですが
なるほど!コレはヤンデレ攻めですね。
しかもマジであらすじ通り自傷していた。
いや、リストカット…まではいかないんですけど
受けの気を引きたくて
料理教室必須アイテム包丁を利用してやっているんですよね。
こりゃまたすごい攻めが爆誕したなぁとも思ったのですが
全部読み終えた後、すごい爽やかな読了感で驚きました。
ストーカーに自傷しておいて爽やかな空気感?
しかも終盤、親や叔父を巻き込んで
昼ドラ真っ青な騒動を起こすことになる攻めなのに
一体どういうことなんだ?と皆さん思われるかもしれませんが
攻めが15歳という思春期の多感な年頃であること。
そんな彼がはじめて人を好きになったけど、相手は男だった。
それは裕福な暮らしを送り、優等生でもあり、勉強も運動もできた
攻めの人生設計の中で想定外の出来事であった。
これらの条件が重なると
攻めの病んでる部分が子供の一生懸命な拙い愛情表現として
作中で読者にしっかり、アプローチされているんですよね。
犬飼先生うまいなぁとしみじみさせられました。
個人的にヤンデレ攻めも受けも好きなので
ヤンデレだよ!と言われる
作品には大概食いつくタイプなのですが
年下攻めならではのなりふり構わない……というか、構えないというか
理性ではこんなことをしたら受けに嫌われるとわかっていながらも
自制出来ない若さという切り口や、彼の境遇ゆえの動揺を軸に
描かれるヤンデレっぷりには、新鮮さを感じ面白かったです!