完結は存じ上げておりましたが、終わってしまうのがあまりに寂しく、今までずっと温めていました。やっと読むことが出来たので、拙い文章ではありますが感想を述べたいと思います。
正直1巻を手に取った時は「甥×叔父設定はドストライクすぎるひゃっほー!」という軽い気持ちだったので、ここまで壮大な愛の物語になるとは想像していませんでした。
序盤は猪突猛進を地で行く駿人と、ずるくて面倒くさい大人優士のあまりの嚙み合わなさに爆笑したりしていたのですが、徐々に駿人は成長していき……あの獣のような彼を見てきた身からすると本当に大人になったなあとほろりとしてしまいました。
「家族」の象徴だった「家」を失い、心身ともに不安定に陥る優士。そんな彼を言葉ひとつで安心させられるほど頼もしく成長した駿人がまぶしいです。
優士にとって家族とは「同じ家に暮らす人」。そんな優士に、常にそばにいることだけが愛ではないと駿人は教えてくれる。駿人にとっての優士は、たとえ離れていたとしてもいつだって「帰る場所」。駿人のまっすぐな言葉に優士がどれほど救われたことか。
終わり方もとても好きでした。「開かれた終わり」というのかな、細部までばちーん!と描ききってしまうのではなくて、読者にその後を想像させたり、解釈を委ねたり……秀良子先生の作品のそのぼんやりとした温かさが好きです。
あと、出てくる女の子がみんな魅力的なのもいいですね。顔立ちがそれぞれ違っていて、性格もきちんと個性があって。美浦さんの人生も国枝さんの人生も、もう駿人と交わることはないのかもしれないけれど、彼女たちが駿人に影響を受けたように、彼の中にもまた二人との出会いによって変化した部分が静かに残っているのだと思います。たとえそれが普段は意識すらしないような小さなものであっても。
初夜に関してはもしかして無いのかな、まあこの二人に関しては別に無くてもいいな……と思っていたので、見せてもらえただけで嬉しかったです。駿人は悔いが残る結果だったようですが(笑)
そしてこれは書こうか迷ったのですが……色々なレビューを読むとコウ×日高のCPが凄く人気のようですが、個人的にこちらはあまりハマらずでした。最初逆だと思ってたからかな……日高みたいなあっさりした顔の攻めが好きなので……
でも無論こちらのCPの幸せも願っているし二人の終着点が気になるので、番外編で描かれるのであれば見届けたいと思います。
あと少し楽しませてもらえることに感謝しつつ、最後の最後までこのいとおしい家族を見守りたいです。