周りには完璧超人にみえる攻めが
その実、精神的に脆く病んでいる…
という丸木さんの描かれる執着攻め(裕太郎)と
弱く儚く美しい受け(学)のお話。
舞台が大正時代であることと
主従関係にあることが物語の耽美さを際立たせていると思います。
すこしミステリー要素もあり、
「俺は、お前よりもお前の事を知っている」
といったようなセリフ等が伏線となり、物語の
ラストまでその意味はわかりません。
受けはつまり幼少期からの父からの虐待によって
多重人格者となっているために記憶がおぼろげで時々
自身の記憶が飛ぶことがある。
多重人格の場合、本人がそれを認識していることが
多いと思いますが、受けはまったく気づいていません。
そしてそこは特に問題ではなく、攻めもその学の多重人格要素も
全て愛しており、自分以外学を愛せるものはこの世に存在しないと思っている。
裕太郎自身も、大企業の次期社長としてずっと仮面をかぶって生きてきており、
幼少期から仲の良い学にだけ全てをさらけ出せる、
丸木さんお得意の共依存関係ですね。
閉鎖的空間で行われる物語ですが、とても美しい話だと思います。
ラストが尾を引いて、もう一回初めから読んでしまいますね、