恋愛要素少ない巻ですが、個人的にはシリーズの中で結構好きな回です。ハラハラの展開連発ですが、悲しくて切ない展開ではなくある意味ミステリー感たっぷりで面白かったです。
物語にはとても重要な回を感じました。今まで常盤と薔が「今後」について色んな希望を語りましたが、この教団の体制から考えると、どれも理想に違い夢みたいなものしかなかった。半年だけで既に命がけなのに、大学卒業までどう耐えるか疑問しかないでした。でも教祖戦選挙という形で、常盤の演説を通して初めて実現可能・改革可能なことをはっきり見せられました。凄く心強い話でもあるし、もしシリーズの序盤からずっとここまで考えたらと思うと、とても感心しました。
葵の人物像についても、新しい一面を見せられました。今まで私の中で葵は蘇芳と同じレベルの厄介もので、実際に選挙中も本当にキタナイ人だなとずっと思ったが、全部が終わった後の葵が意外にも人間でした。ある意味彼もこの教団の体制の犠牲者一人です。ちょっと理解できるようになりました。
8巻からずっと懸念を残った常盤の妻子のことですが、薔にはツライと思うが、やはり5巻から常盤は曖昧な関係を全部切って自分の気持ちをはっきりしてきたから、絶対に何かの事情があると常盤のことを信じました。エピローグで読んだ時衝撃はあったが、全然心配しなかったです。実際に紅子も青一も絡んだから、もしかしてとも思ったが、それも意外な結果に繋がって、常盤は新しい兄弟に家族を任せて本当の自由を得られるかもしれない、キレイな結末に収めました。やはり感心しました。
降龍の儀、本当に楓雅さんが一緒ではなくてよかったです...葵の茶番のおかげでも言えますね。
後、個人的に今回凄く好きなのはプロローグとSSで小さい時の薔と常盤、それに青一との過去の話です。この表紙の通り、癒された~~~~~~プロローグはイラストもあったから、本当にずっと見たくて、本編の現実に戻りたくなったです~~~何かただ可愛い弟とその弟を溺愛する兄の話がダメかな?(笑)
シリーズの10巻目ですが、今までの話から一変し結構大きい変化があるターニングポイントです。
シリーズ物としてはかなり重要な一環だと思う、寧ろ大きな改革かつ常盤と薔の本当の自由を迎えるために、これぐらいの試練がないと難しいかもしれません。その意味で実際に薔が神子になった今でも無事でいられることが物語には好都合でした。龍神が一切希望を見せられないことがとてもつらくて、まさか本当にこのまま来世の話になる?まで疑ったが、薔が諦めてないことでまだ救いがあると信じて涙を吞みながら読み終わりました。
龍神にまつわることが物語には不可欠と考え、辛いけど(まあ、つらい)、耐えるしかないと思った。薔からの色仕掛けとか、今までと違うことで萌えた読者もいると思うが、私はどうしても感情移入しやいいので、最愛な人がいなくなったのに、悲しむ時間も与えられず当の犯人の相手にしなければならない上、その犯人が自分好きな人の体を勝手に気持ち悪い行為(気持ち悪すぎて吐き気になった)を行うことを思うと、萌えも何もないです。
榊さんと楓雅さんの病について、神の加護があるはずの南条家が兄弟揃って原因不明の病になった上何十年祈っても悪化しつつのこと考えると、龍神の力は効いていないと思うほうが妥当です。どうして龍神と契約を維持しないと二人が命と失明の危険があると考えたか、その根拠がどこからのものなのか理解できなかったです。後で病の原因は父親の業からだと分かったが、教祖になったばっかりの常盤が知らないはずです。知っても龍神との契約で二人が救った根拠がありません。実際にそれをきっかけに常盤が龍神に乗っとられたから、龍神の言い訳も含めて、乗っ取られた理由も契約を破棄しない理由も強引があると思いました。
前世の話について、確かに今までない話で面白さもあるが、逆に今まで必要がないとも感じたので、薔が何故急に皆さんの前世、特に竜花の転生について食い気味になったのか、ちょっとその部分を不自然と覚えました。
エピローグについて、最後の衝撃より私は先に薔の浮気が頭に来てもう興奮する余裕がありませんでした。結果はどうあれ薔が実際に剣蘭の気持ちを知ってても甘い雰囲気を許した、口づけされる隙を見せて大した抵抗もしなかった、少なくとも、薔はあの時あの人は剣蘭だという認識でした。確かに一連のことで精神的に弱い状況でもあるが、だからといって顔と雰囲気が常盤と似てればいいと思うと、やはり不愉快です。結局薔は嫉妬深いの一方、杏樹のこととか、茜のこととか、剣蘭のことも、自分に好意を寄せる相手にはいつも甘いです。4巻で常盤が過去に多情のところを見せたように、薔も実際にまんざらでもないです。剣蘭のことがとても好きで、彼の叶えない恋心も可哀そうと思うが、それとこれが別で剣蘭と薔の甘い雰囲気の話が全然興味ないです。
結局必要な展開だと頭が分かってもかなり面白くない気持ちで読んだので、他の出来事についても色々難しく考えました。このシリーズが好きで、次巻も絶対に買うが(寧ろはやく11巻来てほしい!)、この巻に関しては特に苦しんだので、この苦しみをできれば二度目味わいたくないです。
10巻本編を読み終わったら、書下ろしのSSと同人誌の「TRIPLE B」を読む予定でしたが、結局どっちも気分ではない。。。できれば本編の辛さを楽しむべきのSSまで連れたくない。。。
ちゃんと兄弟愛を表してる兄弟作品が好きで、その意味で弟を自分の手で育って溺愛するエピソードがとても萌えると思うし、魔女の呪いとか童話の色が濃く作品でもあり、そういう部分が普通に好きです。先にブライトプリズンを読んだので、ちょっと常盤と薔のことも重なって愛らしい部分も感じます。
だが、気持ち悪いいらない要素にはどうだろうと思う。
作品の冒頭でのエルフの育ち方に吐き気しかなかった、そんな設定一切必要がない。作品にプラスでもなんでもない。
そして父親のはずの国王が狂って自分の息子を襲うエピソード、あそこまで詳しい描写しなくても物語が成り立てると思うが、口づけ時点で十分気持ち悪いのに、わざと延々に気持ち悪い行為の描写を続く意味が理解できない。その後の展開も、、、グロイ。
犬飼先生の作品を沢山読んだことがありませんが、読んだ作品に限り全部異色の作品で世界観はやや人間離れのところがあります。異色の設定自体は全然面白く感じますが、人間離れすぎるとやはりいつも「引く」と思う。そしてちょっと面白いと思うのは、そういう人間離れのところはいつも登場人物の誰かがハッキリ「こういうの絶対におかしいです」と言ってくれます。やっぱりおかしいですね!?本当にこういうおかしすぎる要素を除けばいいのにな。