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マスターレビューアー 「BLアワード検定」合格証 ソムリエ合格

女性みざきさん

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クセになる笑いの中に萌えあり

みなさん、吹き出しの形で爆笑したことはありますか?
私はこの作品が初めてでした。
なんてご立派な吹き出しなんだ…
人鳥ぺんぎん先生のギャグセンスの高さに終始やられています。

BLの3大要素である「誤解・思い込み・すれ違い」
これらが集まれば胸がぎゅっとなるような切ない流れになりそうなところですが、こんなにも楽しくて笑えてしまうのはなぜなのか…?
勘違いに一生気が付かない攻め・舞沢が本当におもしれー男すぎて目が離せません。

こだわりを感じる構図や画力の高さに加えて、これぞラブコメ!なテンポの良さと、個性的なキャラクターたちが繰り広げる愉快な恋模様がなんともクセになるこちらのシリーズも4作目。
舞沢の斜め上の思考力と圧倒的ポジティブさと、宮の一途で健気なかわいらしい面が巻数が増えるごとにどんどんとパワーアップしていって、1冊読み終えた頃には全力で笑えて萌えられる楽しいジェットコースターに乗り込んでいた気分になれるんですよね!

3巻の終わりが終わりでしたから、恋人同士に待ち受ける切ない展開があるのか?と思いきや、やはりそこは信頼と実績の舞沢です。
いつもエロ思考を忘れず、なにかを絶妙に勘違いをしたまま、切ないどころか笑いとともに無意識にどでかい愛をドカドカっと宮へと運んでくるのだからすごい。
結果、どこからどう見ても相思相愛な溺愛CPとしてさらにレベルアップした2人をたっぷりと堪能できるうれしいことになっています。
(もちろん宮のおいしそうな褐色肌も!)
新たな濃ゆいキャラクターも登場し、2人の仲もより深まりを見せた読み応え大な1冊でした!

はー、楽しかった!そしてとんでもなく宮がかわいいんだなあ…
素直になったジェラシーおばあちゃんな宮がかわいくてかわいくて仕方がなかったです。
本音を隠してしまいがちな宮のいじらしくてかわいらしいところが、4巻目にしてやっとひょこっと表に出てきたように思います。
このまま末長く身も心も舞沢に愛されてほしい。
きっとこの流れならば、次巻はもっともっと甘い2人が見られるのかなと今から期待に胸を膨らませて続きをお待ちしています!

ハッピーエンドの向こう側

気になる相手と出逢い、恋に落ち、気持ちを伝え合って結ばれる。
恋愛もののお話としては、もうここでハッピーエンドと言えるものでしょう。
ですが、その後は?
めでたしめでたしのハッピーエンドのその後には、はたしてどんな未来が待っているのでしょうか?

その先が明るい未来であるに越したことはありませんが、誰も彼もが必ずしも幸せなままだとは限らないと思うのです。
そんな、あまり商業BL小説で多くは見かけないけれど、現実世界でも起こり得るリアルな題材がとても丁寧に描かれている作品でした。
なぜ私はもっと早くこちらの作品を読まなかったのかと後悔したと同時に、新装版をきっかけに読むことができて本当にうれしく思います。
読みたかったものを見つけた。そんな気持ちになったのです。

大学生時代に知り合い、やがて恋人同士となった阿久津と水野。
彼らが歩んだ15年間をじっくり。
もどかしすぎるほどにじっくりと両方の視点から追いかけるかたちで進む濃い1冊です。
一度は綺麗な形にぴったり収まった大好き同士だったはずなのに、少しずつなにかがずれ始め噛み合わなくなっていく。
良かれと思っていたことが良くなかったり、相手に上手く伝わっていなかったり、楽しいあの時のままの気持ちでいられる心の余裕がなくなっていったり…
この、ライフステージが大きく変化する20代から30代にかけてのリアルな心理描写の上手さに唸りました。
すべてを理解できなかったとしても、ああ、これはどちらの気持ちも分かるなと思ってしまうんです。

山も谷もあります。苦しいことも、幸せなこともあります。
でもそれって、性別も年齢も境遇も関係なく人生というのはきっとそんなものなのではないかな。
彼らが歩んだ長い15年間は決して薔薇色とは言えません。
時になにかを掛け違え、間違い、判断に迷いながら、未練たらしいみっともない内面を読み手にさらけ出し続けてくれるのです。
だからこそ没入して読めたというか、夢中になって読みきれたのかもしれませんね。

どこかにいそうな人々が、誰しもが一度は感じたことがある「よくある」を体験して成長をしていく、薔薇色じゃない人間くさくて青くさい彼らの人生がとても魅力的に見える作品でした。
人生山あり谷ありを経て、彼らのハッピーエンドのその後のその後はいったいどんな結末を迎えるのか?
非常に読み応えのある生々しい15年間です。
ぜひ最後まで見届けてみてください。

なんだか愛着が湧いてしまう攻め

中原先生作品に登場する、人ならざるものが好きです。
人の形をとることもできるけれど、もちろん中身は人ではありませんから、元々の種族らしさが出ている本能的な行動・言動でほど良く引っ掻きまわしてくれるんですよね。
そんな人間の常識が通じない相手が、人間と共に生活をしてみたらどうなるのか?

これがまあ、なんとも不思議な組み合わせの共同生活が楽しくて仕方がなかったのです。
人ではない彼の自由な振る舞いに振り回される主人公の姿に笑っていたら、なんだか次第に読んでいてむずむずとしてくるうえに、ふと気が付けば胸が苦しくなることも。
いやあ、おもしろかったです。
愛着が湧くキャラクター作りが本当に上手い作家さんだと思います。

何者かに海で殺されそうになっている主人公の速人が絶体絶命状態の中で目にしたのは、竜に似た美しい生きもの。
命を助ける代わりに、目的を果たした後はその命を喰らう。
かつての竜の王・渦目と契約を交わして生き延びた速人と、契約によって速人を助けた渦目。
彼らの奇妙な共同生活とともに、速人を殺そうとしたのはいったい誰なのか?
速人の父と姉は本当に海難事故で亡くなったのか?と、犯人探しをする姿が描かれていきます。

犯人探しに関しては、どう考えても怪しい人物がすぐにわかってしまうので…結末も含めてちょっと物足りなく感じ、ひとつ評価を下げました。
ただ、速人の地元の人々と渦目の交流と、共同生活を送る中で速人と渦目のお互いへの感情が少しずつ変化していく様子が楽しいやら微笑ましいやらですごく良かった。
渦目がとっても愛嬌のある海の王さまで、読んでいるうちにどんどん好きになっていっちゃいますね。
なにかに情熱を注いでいる負けん気が強い受けがお好きな方もぜひ。

1番良かったのはやはり海のシーン。
海洋学者を目指すほど海が好きな速人の心が、海と海の生きものの美しさに浮き立っているのが伝わってきて、こちらまでわくわくしてくるんですよ。素敵でした。
種族は異なっていても、海を愛する心は同じの2人。
自分が宝物のように愛しているものを見てこんなにも瞳を輝かせてくれたのなら、そりゃあ心惹かれてしまうよね…と、渦目視点で見えてくる彼の心情の変化にもグッとくるものが。
クスッと笑えて、ヒリヒリもわくわくもむずむずもじんわりもあります。
最後まで2人の行く末を追いかけてみてほしいです。

フェチ的な面でいうと、スプリットタンがお好きな方や、海好き・海洋生物好きの方にはピンとくるものがあるかもしれません。

誠実でリアルな恋

どこがどうだったと上手く言葉にできないのだけれど、理屈抜きでぐっと心惹かれたことはありませんか?
私にとってはまさにこちらの作品がそうでした。
すごく素敵でした。好きです。

正直なことを言えば、2人が恋に落ちる描写に強い説得力があるか?と考えると、やや唐突に感じるところもあるのです。
しかしながら、恋に落ちたその後が良くて。
作中の彼らを目で追えば追うほど、すごく真面目で誠実な恋愛をしていくではありませんか。
もっと淡々としているのかと思いきや、実のところ結構な熱量を感じたというか…じわじわきます。
これはぜひ読んで体験してみてほしいです。
分かりやすくこうですと説明をしてくれるタイプの漫画ではなく、美しい陰影、ちょっとした視線、モノローグ、余白で魅せて読み込ませてくれる作品でした。
作画の素晴らしさにも目を奪われます。

学生と社会人。年齢もライフステージも異なる2人のリアルな感情が丁寧に描かれていて、社交ダンスがキーとなっている作品なのですが、ダンスだけでも恋愛だけでもない「この年齢の異性愛者の男性ならでは」がごく自然にあったのがとても印象的で魅力的だったように思います。
気持ちはとっくに熱していても、一度一歩引いて冷静にお互いにとっての最良や未来を見据えてじっくりと悩み考え、それでも手を取った2人。
先のことはまだわからないけれど、きっと彼らが踊るダンスと同じように、迷ってもその都度手を取りリードを代わりながら進んでいくのでしょう。
光のある前向きな結びも、2人の関係性も良かったなあ。

地にしっかりと足がついた恋模様が本当にドラマチックでした。
大人のほうが刺さるシーンがあるかもしれませんね。
年度末に素敵な作品と作家さんに出会えてうれしかったです。

描写のバランスが難しい

前王の寵童と、国のためにと立ち上がり新たに王座についた者。
そもそもの始まりが始まりでしたから、ややシリアスなトーンで進む物語。
序盤〜中盤は甘みも少ないはずなのですが、なぜか彼らが語らう空間には心地が良い空気が漂っているという…
不思議な読み心地の良さがとても好みでした。

お互いに誤解をしたぎこちのない状態の2人が、少しずつ会話を重ねて手探りで交流を深めていきます。
派手さはありませんし、わっと心が浮き立つ展開にもすぐにはなりません。
ただ、この地道な交流の積み重ねがすごく良かったです。
まず一言言葉を交わすところから始まり、二言、三言、やがてそれ以上となっていく。
距離が近づくに連れて、今まで気がついていなかった相手の一面や好ましいところをひとつ、またひとつと見つける姿はまるで自分しか知らない小さな宝探しのよう。
本当に丁寧に細かな心の動きが描かれていて好感が持てました。

前王がライリに遺した言葉と財産をめぐる謎解きのような展開にはわくわくとさせられましたし、妄想力がたくましい攻めには笑みが溢れることも。
うーん…全体的におもしろかったのだけれど、ちょっと評価に悩みます。
というのも、どんなテンションで楽しめば良いのかがわからなくなる瞬間が多々ありまして。
彼らが今何を考えているのかが読み手にだけは分かる両視点で描かれているのはうれしい仕様でした。
攻め視点でファリドのかわいらしい一面を描きたかったのも分かりましたし、実際かわいらしくはあったのです。
ですが、シリアスな中に突然ポンと投入されても「今?」となってしまって乗り切れないところも。
どちらかというと、序盤のシリアストーンの中でじっくりと交流を深めていく2人を眺めている時の方が好みだったのかもしれません。
中盤以降のシリアスとコミカルな描写のバランスが難しかったように思います。

1番好ましかったのは、当たり前に自らが抱く側だと思わず、ライリに寄り添って意思を確認するファリドの言動でした。
初手でこの発言ができる攻めってなかなかいないのでは?
細部は良かっただけに、もっと素直に萌えたかったなあ。

大好き同士がたまらない

熊崎くんが持つハリのある極上の太ももを、まるで自分のものだと言わんばかりに抱えがちな寺野くんの図が好きです。
依子先生が描く、筋がくっきり出る手の作画も込みで執着心を感じてたまらないったら…!

ありとあらゆる言葉で熊崎くんを溺愛してやまない寺野くんと、そんな寺野くんからの愛情にこれでもかと包まれながら、なかなかたくさんは口に出せないけれど、時折ものすごく素朴で素直な一言で寺野くんのハートを確実に仕留める熊崎くん。
甘え甘えられな関係ってなんでこんなにもかわいいんだろう。
お互いにキュンとときめき合う2人がとんでもなくかわいらしくていつまでも見ていられます。
ベッドだと少し口調が幼くなってしまう熊崎くんがこれまたかわいいんだ…
はー、萌えた!良質な溺愛ものは体に良いですね!

高校を卒業し、1つずつ大人の階段を登りはじめた彼らの新生活が描かれていますが、生活の中に相手の存在が常にいるというか…多少の変化があってもごく自然にくっついている2人が好きです。
待望の続編!ということで、付き合った2人のその後といえば、やはりなにかしらの妨害にあったり大きな試練が目の前に現れる…というのがスタンダードな流れでしょう。
しかしそうはならないのが寺野くんと熊崎くん。
頬が落ちそうになるくらい甘い、相思相愛のいちゃつきの数々を見せつけては萌えさせてくれる2人ですから、肩の力を抜いて最初から最後までノンストレスで安心して読めるのがうれしい。
なんだか前作よりも熊崎くんの中にある寺野くんへの気持ちの大きさが伝わる良い構成だったなあと思います。
寺野くんに関しては、何も言わずとも熊崎くん大好きっぷりが完スト状態で維持されているので信頼しかないというか…
本当に愛情表現がストレートで、全身で「好き!」を伝える姿がすごく気持ちが良い攻めでした。

そして、新たに登場したサブキャラクターたちとの絡みもちょうど良いバランスで読みやすかったです。
恋人に対しても新キャラクターたちに対しても、終始嘘がない誠実な対応をする攻めと受け両方の好感度がどんどん上がっていく素敵仕様でこちらも好みでした。
このままもう少し大人になった2人の生活も追いかけてみたいですね。

困り眉がかわいすぎる

熊崎くん…きみってやつはなぜこんなにも困り眉が似合うのか。
強面と言われている顔を恥ずかしそうに赤らめながら、まだ自分へ投げかけられるには違和感がある「かわいい」の言葉をこれでもかと寺野くんから浴びせかけられ、どうにか受け止める姿は天下一品。
なんだかもう、これだけでかなり食が進みますね。
かわいすぎて何杯でもいけてしまう。

誰かと誰かが恋愛関係になるまでを追いかけられる作品もとっても魅力的なのですけれど、すでに出来上がっている2人がひたすらにイチャつく図を延々と眺めたい時ってやっぱりあるじゃないですか。
そんな甘みを欲していた体に即効性がある、高糖度の溺愛甘々な日々を眺められる1冊が…こちらにあります!ヤッター!

好きな子ほどなんとやらなんて言葉がありますが、熊崎くんのことが好きすぎて、時に執着をし時にねっとりとかわいがりすぎてしまう寺野くんの、かゆいところに手が届く甘S加減がたまらなく良かったです。
人生初の甘S攻めを前にして、計算0の超絶ピュアっぷりと天然ものの最高にキュートなギャップを無防備に見せつけてくれる、熊崎くんの凶悪なかわいらしさはもはや罪。
どろっどろにかわいがるつもりが、その都度想像していた「かわいい」を更新してくる受けに見事にやられ、ときめきと萌えをギュッと噛み締める攻めからしか得られない栄養素もたっぷりでした。

最初から最後まで毒気がないコミカルな雰囲気で読みやすく、ナチュラルに甘くイチャつく2人がとにかくかわいらしかったなあ。
全体的に好みのトーンで楽しめたのだけれど、どちらかというとストーリーを楽しむというよりはシチュエーションやキャラクターに萌えを感じて楽しむ作品かなとも思います。

評価がひっくり返る素敵さ

大変失礼ながら上巻があまり刺さらず、はたして下巻ではどうなるのだろうかと思っていたのですが…
これがど頭からとんでもなく良くって評価がひっくり返りました。
はー、最後まで追いかけてみて良かった…!

上下巻の下巻をまるまる1冊使って、タイトルに向けて小さな幸せを回収し続けてくれる素敵な作品だと思います。
どこを開いてもやさしくてあたたかくてとびっきりの幸せと愛情が詰まっていました。
ふと気がつくとじんわり沁みるような読み心地の良さです。

榛名に対してそこまで良い印象を持てないまま上巻を読み終えて、どうか良い攻めになってくれ〜!と念じながらページをめくってみると…
なんとまあ、とても愛情深い溺愛攻めになっているではありませんか。
これだけでもうれしかったのだけれど、愛されて素直に甘えることを知ったかわいらしい麻矢も見られるのだからたまらなかったです。

そして、上巻で2人が一時的に保護していた颯太郎が絶妙なさじ加減のキーパーソンとなっていたからこそ、3人と周囲の人々の関係性がものすごく魅力的に見えたのだろうなと感じます。
CPそれぞれの両視点だけではなくて、+大切なもう1人の視点が読めることによって多幸感がぐんぐんと増していく。
颯太郎視点が入った瞬間、あっこれは好きなやつだと確信しました。

時に協力し合って、愛情を持ち寄って関わり合う。
自然体でやさしい救いのある世界観が本当に素敵でした。
こんな形の家族もいいよね。素敵だよねと思えるような、すごくすごく幸せなお話だったなあ。
願わくば、彼らがずっと一緒にひだまりの中で暮らせますように。

攻めの設定に違和感

タイトルに惹かれて購入しました。
セックスフレンド関係にある大学生2人が、見ず知らずの小学生を一時的に預かるお話。
もっと密度の高い擬似家族ものかと思いきやそうでもなく、うーん。
上巻時点ではなんとも…というか、残念ながらあまり響くものがなかったです。
すごくふわふわとした状態で読み終えて今にいたります。

まず、攻め・榛名の設定に惹かれなかったのが大きかった。
結婚願望が強く、女の子とはきちんと付き合っていなければ肉体関係は持たない。
ここに関しては誠実なのかなと思っていたのだけれど、モテるのにフラれてばかりいるんですよね。
これでは早く結婚ができればなんでもいいのか?とも取れてしまいますし、性欲が強いという設定もどうなのだろう。
「女の子」とはちゃんと付き合わないとそういうことをしないけれど、セフレの麻矢は男だからOKなのもなんだかしっくりきませんでした。

榛名たちが一時預かりをしていた颯太郎のいじらしさには胸打たれましたし、子ども扱いをしすぎずさり気なく見守る麻矢と颯太郎のやりとりは自然体で良かったなと思います。
うん、麻矢と颯太郎のキャラクターは良かったのです。
ただ、颯太郎の母親の行動に関しては気持ちが良いとは言えず、再会劇も本来であれば盛り上がるところのはずだというのにそこまで盛り上がりきれませんでした。
親の勝手で置いて行かれてしまった颯太郎が不憫でしかなかったからかもしれません。

恋愛面に関しては、シーンの端々からほのかに伝わってくる榛名への麻矢の気持ちには惹かれたものの、いかんせん榛名に対してポジティブな印象を持てていないので、グッと来たかというとまだかなとこちらの評価になりました。
後半でようやく動き出した感情が下巻ではどうなるのか?
この素敵なタイトルですから、下巻で巻き返してドカっと萌えさせてほしいです。

みっともないのが良いのです

なんとも絶妙な情けなさを見せつけながら、どんどん深見沼にハマっていく攻め・梶を追うのがとっても楽しいこちらのシリーズ。
なんだかもう梶がですね…あの恋愛下手かつ遅めに到来した思春期真っ只中のようだった梶がですよ!
とんでもなくいい男にしか思えなくていろんな意味で頭を抱えた3巻でした。

ストレートにくっついてくれるのかと思いきやそうでもなく、どう考えても相思相愛な彼らの背中を後ろからえいっと押して抱き合わせたくなること間違いなしの今作。
へたくそな恋愛感情をふつふつとさせながら、何度ももだつきまくる大人の姿がどうしようもなくみっともなくて良かったです。
読み応えも萌えどころもたっぷりのすごい熱量を感じました。はー、とんでもなく良かった…!

前巻を読んだ際に、次巻では深見の中でもなにかが芽生えたらうれしいなあと思っていたのです。
いやあ、想像していた何倍も良いものが見られました。
初めて知った感情に翻弄されながら梶にぶつかっていく深見も、そんな深見の気持ちを知って一喜一憂したり情熱的にも臆病にもなれてしまう梶も、2人ともまるっと愛おしいったらありません。なんてかわいいんだろう。
もう、こんなの相思相愛の大恋愛じゃないか。

レビュー冒頭にも書きましたが、梶が本当にいい男だったんですよね。
完璧な立ち回りをするいわゆるスパダリタイプではなくて、ヘタレて情けなくなったり、好きすぎてぼろぼろと涙を流したり、かと思えばどでかい愛情を見せてくれる。
非常に人間くさい情緒の持ち主である彼の視点を読めば読むほど、好きな人を心から大切に愛したいだけのいい男に見えてくるのです。
受けの存在によって、今までの人生がひっくり返るくらい内面や意識が大きく変化した攻めって何度噛んでもおいしいです。逆もまた然りですね。
なにかに気付いてからというもの、超絶素直な気持ちを抱えて真っ直ぐに向かってくる深見もかわいらしいやら男前やらでたまらなかったなあ。

育った環境も何もかもが異なる2人だけれど、お互いの心の内を伝え合える関係性なことが強く感じられる画面作りが素晴らしかったです。
「大人の初めて」って本当に良いなと、ぐつぐつ煮詰められた多幸感をじっくり噛み締めながら読み終えられました。
次巻は今まで以上に甘い2人が見られるといいな。