私はこのシリーズ、非常に好きです。
物語の中くらい夢見たい読み手さんの気持ちも分かるけど、私はそうじゃない。
綺麗事や甘いおいしいところだけじゃなくて、生々しいしんどさとか、苦い気持ちや辛さを書いているところが好感持てました。
仕事の描写部分は冗長に感じるかもですが、これも重要なファクター。
作者さんが実際に居たということもありギョーカイネタでうんちく一杯だけど、門外漢でもよく読めば理解できる範囲だし、実際彼らの仕事が彼らの関係に重要に絡むので、これが無くては駄目です。
必死に懸命に社会で働いている、故の、オトナの、仕事の悩み。
業界が狭い&複雑ゆえに起きやすい人間関係のトラブル。
大人ゆえの、回数は少ないものの愛情のこもった丁寧なセックス。
いいじゃないですか。
優しくてマメな彼氏の反面ダメな八方美人で弱い部分だって、あっていいじゃない。
なんでも卒なく出来るんじゃ嘘くさい。
そもそも噂を気にしてエロサイト漁っててブラクラ踏んじゃうくらいダメだしw
たしかにお嬢様&元カノの扱いについて、当て馬にしてはひどい扱いと感じてる人もいるようですが、でも、崎谷さんの作品が全体的に女性全体を貶めてるかのような言い方はどうかなあ…。
それはなんか違うんじゃないかしら。
単純に、現実を書いてくれてると思うの。
人前に出る仕事をしていると本当にこういう危険はある。
ある程度付き合った人数いると元〇〇だって増えるし。
恋愛は甘いだけじゃない、心が荒むようなことがたくさんある。
それだけのことじゃないかな。
あと、崎谷さんはダメな所はとことんダメに書くし、嫌な相手はとことん嫌なやつに書くから、これは特色と思っていいですね。
私は元カノさん、可愛くて好きだった。
彼らの関係知ったらどうなるかなあwちょっと読んでみたいw
お嬢様だって可哀想っちゃ可哀想だけど、彼女ももう大人だし、
自分で責任持って自分を叩き直す&磨くしかないよね。
セレブと呼ぶにふさわしいイイ女になれ!がんばれ!って思います。
ショタでなく、本編は朝チュンでエロもなし!
私はこの作家さんの他の作品はダメだったんですが、これは読めました。
クールビューティ文系優等生×天然な理系天才くんの組み合わせで、出来る分経験値が低めで、その分高校生らしい、かわいいお話。
互いの家庭環境なども影響しているのがまたこの年代の子を書く上で避けてはいけない点だと思うので、それもよかったです。
冊子の方もやることはやってるけど、性器やえげつない構図の描写はないし、かわいらしくてよかったです。
この作品から続く同人誌も全部買ってしまいました。
なお、わからないと仰っている方が何名か入るようなので補足しますが、進学校・少数精鋭志向の学校だと、入学の時点で普通コースと進学コースで分かれていたり、尚且つそれでクラス分け=成績順でのレベル分けだったりします。で、更にその中で進路が理系か文系かで必要になる科目が全く異なってくるため、授業は選択制になり、同じクラスでも顔を合わせるのが帰りのHRくらいという状態になってきます。彼らもそういう環境ではないのかな?
全体的に人間ドラマ的な作品中心で、エロも暴力もなし。
最初にこの作家さんの作品をすすめるなら&BLを普段読んだことない人にすすめるなら断然これです。
元々そういう傾向の作家さんではあるのですが、この本では特に普通の作品にキャラとしてゲイの人が出ているカンジ。
個人的にはBLないしJUNEだからといってゴリゴリに男だらけの世界である必要はないし、ホモである必要もないし、エロも必ずしも必要ではないと思っているので、これも十分ありだと思います。
(BLやJUNEの醍醐味は単純であからさまな性的なエロさじゃなく、関係性や相手に対する目線や所作のエロさに尽きると思ってるので)
せつなかったり、あたたかい気持ちになる話が多く、非常に気持ちよく読めました。
あと、改めてこの人はやっぱ短編がうまいなと思った本でした。