今回は演出にとにかく力が入っており、術を使った儀式、バトルシーン、幻想世界など、まるで本当にメビウスラインの世界に迷いこんでしまったかのような気持ちにさせてくれます。
そしてリリィさんが歌われる新規挿入歌にも心が震えました!シーンの内容やアニメーション演出とよくマッチしていて素晴らしいです。時雨の魂送りシーン、ミサキの能力発動シーンではあまりの格好よさ、美しさに鳥肌が立ちました。
スチルも美麗で大変楽しませていただきました。互いを想う二人の表情が非常に繊細に表現されていて、はっとさせられるシーンもありました。シーン回収のための選択肢も、特定の条件を満たしていないと出現しないものが存在するなど、手応えがあって面白いです。
どのルートもハッピーエンド後の話で、選択肢によって一転バッドエンドになったりもしないので、安心して甘々な二人が楽しめます。どのルートも二人の絆の強さがしっかりと描かれていて、きっと何があっても愛を貫いてくれるだろうと思わせてくれる内容になっています。中でもミサキルートは「dramatical murder」クリアルート以来の泣きルートでした…ミサキも京一郎もお互いを愛しすぎです!
追加要素として伊勢兄弟ルートもあります。話は短めでわりとあっさりしていますが、双子の心情がよく分かって切ない部分もあり、こちらも面白いです。
本当なら神評価を付けるべきレベルですが、本編に比べシナリオの点で期待外れな部分があったので萌評価で。
以下ネタバレ注意です。
今回、私は時雨ルートが本命だったのですが、他ルートに比べてちょっと盛り上がりがない印象を受けてしまいました。問題が色々噴出するのはいいのですが、ずっと手がかりのない平行線のまま話が進むので見てるこっちもモヤモヤしてしまいます。特に、エッチシーンの後半大部分にわたり時雨が問題の議論をしていたのには幻滅しました。エッチ中に甘い言葉そっちのけで仕事の話というのは正直どうなのかと…。
しかも、一番悩んでいたはずの子供たちの問題は終盤になってからあまりにもあっさり、それこそ時雨も京一郎も預かり知らぬところで解決してしまい、役人たちとのゴタゴタの件は何だかすっきりしないまま。これじゃ再来年はまた同じことで揉めているだけなのでは?
他ルートと違い最後のエッチシーンもなく「え、これで終わり?」という印象でした。本命だったために期待度が高過ぎたのかも知れませんが、この糖度の低さはちょっとあんまりです。
もう一つ、ミサキルートですが、ベストエンドがベストエンドに見えません。分霊エンドでエンディングテーマが流れたのでこれがベストエンドなのかな?と判断した上でですが…
誰にも邪魔されない世界を手に入れ、ミサキも元に戻り、寄り添って生きているのは幸せですが、それはあくまで京一郎が力を使い尽くして消滅するまでの束の間の幸せでしかないわけですよね。
転生エンドでは京一郎は80歳ぐらいまで生きたというような話がありましたが、例え姿が違ったって、60年もあったら恋人としての想い出なんて山ほど作れるでしょう。それこそ分霊エンドの僅か十数年の余生より。
一度は別れがあったとしても、現代で転生した京一郎と寄り添って歩くミサキの姿に、「寿命がある者とない者」の壁を見事に乗り越えた二人の姿を見た気がしてならないのですが…ストーリー的にはこれはベストではないのでしょうか。
本編が好きな分、もっと楽しみたい!と思うところはあったものの、全体としては買って損はなかったです。ファンとしては是非持っておきたい一作ですね。