まず最初に言っておきたいのは兄弟の方のCPは、表紙サスペンダーの金髪兄×オールバックの黒髪弟です。
弟の相は「慎重受け」とありますが、無骨で寡黙な慎重なのか、それともインテリ頭脳派系の慎重なのかわからず、購入をためらっていました。
しかし「俺の胎でよけりゃいれてやるよ」という相の言葉の引用をレビューで見かけ、暴れん坊の兄を受け止めてくれる男前受けか…………!!!!と雷をうけ即購入しました。ドタイプです。
対する兄の誠は愛に飢えた可哀想なキレ者。これがまた本当に哀れで、子供のまま大人になってしまった、身近な愛の形に気付かないのに自分の歪んだ愛を大事に大事に抱え込む危うい攻めです。
そのわけは生まれ育った境遇からくるものなのですが、共に過ごし近くで見てきた弟の相は、誠の存在と自分の運命、それらを自ら解釈し、受け止め、選び取って誠と一緒にヤクザになります。
相が悟っている自分の運命とは……是非本編でよんで相の歪んだ健気さ(?)に胸を苦しめてください。贖罪BLが好きな方にはオススメです!
そして表紙のキャッチコピー、とてもいいんですよね。
「全員、横恋慕。」
「報われない渇愛が交錯する四つ巴BL」
渇愛!なんてピッタリなワードでしょう。
はてなキーワードによると〔渇愛…仏教の思想から生まれた概念で、人間が持つ根本的な欲望のこと。〕とあります。人間がもつ愛されたいという根本的な欲望ですね。
少なくとも1巻の段階では、誠の渇愛が目立っていますが、今後は相が誠からの愛を求めたり…するんでしょうか?庇護の対象としてだけというのも歪んでいて愛の深さを感じますが、愛ゆえ、のみではないところがまた業が深くて素敵です。
誠と相のことしか言及しませんでしたが、愛人たるベティ、巻き込まれた勇の行く末も気になります。一応4人が主人公なような展開になるんですよね?
akabeko先生は本当に「怯えた顔」「絶望顔」を描かれるのが上手いですね!登場人物の臨場感を感じられてとても良いです。同時発売の落果の方は読んでませんが、買ってみようかな。少年の境界の続巻も楽しみにしております!