保育園を舞台にした二作目ですが、どうも主人公・那智のキャラが一作目と微妙に違う印象を受けました。
作者自身も「脳内で描いていたカップリングと(編集者に指定された組み合わせが)微妙に違った」みたいなことを言ってましたね、その影響でしょうか。
個人的には一作目の那智も二作目の那智も大好きなので、キャラ萌えには全く問題なかったのですが、そこだけがちょっと引っかかりました。
さて、ストーリーは省きますが、主役の那智はツンデレというより天の邪鬼、本心とは裏腹な言動をとってしまいます。
ただ、裏腹なのは口だけで、行動からは湊への恋情が垣間見えます。
好かれたいのに素直になれない、反射的に飛び出す憎まれ口や健気な嘘がいじらしいキャラです。
冒頭や一作目を見た感じでは、冷静で気丈そうに見える彼ですが、時には精神的に追い詰められることもあります。
普段は優しい湊に突き放されたと感じた時の那智の反応は、もう抱きしめたくなる程の可愛らしさ!
保育士になりたての頃の那智のエピソードは、彼の必死さが伝わってきて思わず涙しました。
小説内でお気に入りのキャラが死んでも泣かない冷血漢なのですが、まさかBLで泣かされる日が来るとは思いもしませんでした(笑)
冒頭の数ページをはじめ、ストーリー上のあちこちに小さな伏線が張られていて、あとから「ああ、そうだったんだ」となる部分が多いですね。
この作品もそうですが、榛名先生の小説は総じて比喩が上手いと感じるので、雰囲気として伝わってくる情景も魅力の一つだと思います。