エロ・グロ・バイオレンスが好き。淫靡で耽美なJUNE小説も好き。
縛り、拷問、折檻、お仕置き、若しくはご褒美など、密かにツボる言葉がある。
障子、または襖の陰から、そっと覗う、ある意味真っ当な人間にとって、エスエムはこのくらいの温度が丁度いい。
好奇心を満たされ、登場人物に好感度をもち、いろいろ考えさせられ、面白かったと本を閉じられる。
痛いのは嫌い。嫌いだけれど、気になって仕様が無い。だからつい、ふらふらと腐海の中から、面白そうなお宝を探してしまう。
そんな貴女にお勧めです。
勅使河原教授に怒られてしまうかもしれないけれど、痛いのは嫌いな隠れM様に一言。
「一緒に覗き見しませんか?」
ジェフリーとナイジェルが、美少年だった時代のお話です。
とにかく二人が、思いっ切り可愛い!
そしてとにかく、ラブラブ。
抱きしめたり、抱き合ったり、頬にキスしたり、一緒に寝たり。
甘えるジェフリーと、厭そうにしながら、いそいそと甘やかしているナイジェルの姿に、おばさんは「可愛いい、可愛いい」としか言えません。
短編が4本。
ヤン・グリフュスが、何故スペインに捕われたのか。
クリストファー・マーロウが、ナイジェルに固執するわけは。
ナイジェルがブッカブーを見たのはいつ。
ジェフリーがどうやって、船長となったのか
本編では詳しく語られなかった過去が、彩さんの素晴らしいイラストとともに、明らかになります。
本編が波瀾万丈、危機一髪、これからどうなるの!?の嵐ゆえ、まだ幼いジェフリーとナイジェルの姿は、ひと時の憩いであります。
さて、ドラマCDのシーズン5の予約もしたし、年末年始は本編の再再読でもいたしましょうか。
因果とは、原因があって結果が在ること、だそうで。
過去に、他人に酷い事をした主人公が、訳のわからない事に巻き込まれ、にっちもさっちもいかなくなる、ある意味ホラーに近い話です。
主人公は、名前と設定が異なれど、他社から出ている『コイビト』の悪役様と思われます。
とにかく酷い男で、やり方も存在も「もういい加減にしやがれ!」と、自称温厚な私が怒鳴り付けたくなる人物設定でした。
作者様の御作に、時々見受けられる話の通じないキャラクターで、何とかならないものか、と思っていたら、こんな所で敵を討たれていました。
話の通じない人には、もっと上を行く、偏執的犯罪者を宛がうとは、作者様の度量の深さには脱帽です。
全ては自分が招いたこと。そんな意識で読み進めていくけれど、諸悪の根源が実は元上司である事がわかり、少々主人公が気の毒になりました。
悪い人だって、改心するんだよね。
しかし、ホラーは終わらない。
教訓。類友と因果応報は本当です。
桑原桑原
杉浦日向子、下村富美以来の、私好みど真ん中です。もし時代物がお好きなら、是非お手にとって下さい。
岡田屋鉄蔵さまの他の御作を読みまして、あまりのマッチョに少々腰がひけたのですが、これはあまり気になりませんでした。
たぶん受け様の千載が、攻め様の草薙主悦よりだいぶ小柄だからだと思います。なんだか妙な艶っぽさがあるのです。
その両者の、恋愛ではない情の交わし合いや、相棒としての阿吽の呼吸みたいなものが、とにかく好ましい。
登場人物、話の構造、絵柄、どれをとっても私の好みで、続編もあるようで、とても楽しみです。
ちなみに『千載』とは、「千年。また、長い年月。」だそうで、なんだか胸を締め付けられる心持ちになりました。
おいおい、と思う所もありましたが、ラストシーンはとても良かったです。
あの別れから十数年ののち、祖国でない地で一瞬すれ違うだけの二人連れ。
穏やかで綺麗で、たぶん幸福なのだと思わせる描写が、あの時からの彼等の人生を想像させて、ウルッときました。
綺麗事でない、苦労や戦い、挫折や痛みなど、二人で乗り越えてきただろう歳月を慮ってしまいます。そして、残された者達の上にも、平等に時は流れたのだと、ラスト五行の文章が語ります。
このラストシーンの余韻で、色々な事を思い出してしまったのは個人的なことですが、昭和三十年代という時代背景や中華街等のキーワードで、昔ハマっていたハードボイルド小説をご紹介させて下さい。
生島治郎の『黄土の奔流』『夢なきものの掟』は、匂い系でもない、ほんとうの冒険小説です。
大戦前夜の中国で、大陸浪人と美貌の片側に醜い火傷のある日中混血のコンビの活躍は、魔都上海がお好きな方なら楽しめると思います。
原作本は、私の剛しいら作のベスト5には入るものですが、初助師匠好きのため、『花扇』の陰に隠れておりました。
CD『花扇』に感動して購入。
あれ、このお話、こんなに泣けるものだったかしら?かなり驚いています。
要役の山口勝平さん。ただ者ではありません。台詞まわしにウルッ、声音にジーン、泣きの所では不覚にも涙が出てしまいました。
慌てて、原作本を引っ張り出し、読み返し、驚嘆。昔はあまりわからなかった、待っていた子供のせつなさがしみるように胸に迫ります。声優さんの演技って凄い!
初助師匠役の三木さんは、ホントに初助師匠です。この方以外考えられない。
原作世界をより深く感じさせるドラマCDって素晴らしいですね。
とにかく受けのお坊ちゃま弁護士がカワイイ。
勉強ばかりしてきて、世の中の事が分かっていないと自覚している。いい子でいる事が自然なタイプなのに、検事から転身してきた新人弁護士に、秘密を見られてからの悪態等のバタバタぶりは、読みながらクスクスと笑ってしまう程面白い。
その攻め様が大食いのお米大好き人間なので、自分の気持ちをどうしていいか分からないから、わざわざ炊飯器を買って、一升飯炊いて、玄関前まで持って行く。
その可愛いさを攻め様も良く分かっていて、[・・・最初の喧嘩のあとでご飯が届いた。これは『ごめんよ』の一升だ。二度目はキスのあとに届けられた。こっちは『嬉しいかも』の一升。・・・]などと嬉しがる。
ここの文章が好きです。
攻めも受けも、周りのキャラクターも皆気持ちが良い人達で、読後感がとても良いお話でした。