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マネージャーとアイドルの付かず離れずな距離感

雪林先生の初単行本です。

<アイドルくんのマネジメント業務 1〜3>
人気急上昇アイドル「ing.b(イングビー)」のマネージャーを務める葉原あき(受け)は、仕事を取るために裏で枕営業をしています。
ある日、プロデューサーとキスしているところを「ing.b」のメンバー・五十嵐トーマ(攻め)に目撃されてしまいました。

自分がゲイであるとバレたこと、無視されたらどうしよう…とあきが不安に思っていると、トーマから風邪を引いたとの知らせが。心配になり自宅に行くと、プロデューサーにフェラをしているところへ遭遇。

慌ててトーマを車に乗せて連れ出したあきは、トーマから「俺があきさんを好きだから」と告白されます。可愛さあまってトーマの頭をなでなでしていると、押し倒されてそのままセックスに。その後、微妙な距離感はありつつも、あきがほだされてしまうというストーリーです。

二話目で当て馬が登場したり、三話目でコスプレエッチが登場したりますが、マネージャーとアイドルの付かず離れずの距離感が良いエッセンスになっていて、お互いの愛を少しずつ育んでほしい…そんなストーリーでした。

<gap:cat>
大和撫子という言葉がふさわしい西園寺憲祐(攻め)と野に咲く雑草こと桐原拓也(受け)は、付き合い始めて初のデート(水族館)を楽しんでいます。
帰りに電車へ乗っていると拓也が何者かに痴漢されます。憲祐が気付いて痴漢をとっちめるも、休憩と称してラブホテルへ行くことに。
ふたりベッドでお話をしていると、いきなり憲祐に倒されてエッチの主導権を握られるという話です。

拓也は、憲祐のことを大和撫子と言っていますが、私には小悪魔肉食男子にしか見えない(笑)。
まあ、本人たちが幸せならいいか。
これが正真正銘「恋は盲目」なのでしょうね。

他、<たぶんきっと小悪魔>収録。

(総評)
表題作のお話は、マネージャーとアイドルという関係性をメインに置いていましたが、そこまで障害になることはなくあっさりと進んでいました。
距離感をうまく使っているので、これからの愛の育み方でこの線もなくなるんだろうなぁと想像できます。
私個人としては、この表題作の続きをもっと描いてほしいですね。

ほか2編の読み切りが入っていますが、こちらは本当にあっさりしています。
あまりにあっさりし過ぎてて印象に残っておりません…。
(レビュー書くのに読み直しましたが、ポイントかいつまむのに苦労しました)
なんとなくですが、この作家さんは連載向きの気がします。

本来なら「萌」くらいの評価ではありますが、表題作が思ったより良かったので、今後の期待を込めて「萌×2」とさせていただきたく思います。

この作家さんのギャグ力&ストーリー運びにはセンスがあると思う。

*Amazonへ発売当時に書いたレビューを掲載します。
(若干修正を加えています。あらかじめご了承ください)

『わかってくれとは言えないが』がとても気に入ったので、過去作も読んでみようと思い、手に取った本です。
これまた「大当たり」でした!

カップリングは以下のとおり。
1.ビンボー御曹司×世話焼き同級生
2.おバカ生徒×オニ教師(しかも、うっかり義兄弟!)
3.いじわるモテ王子×気苦労クラスメイト
4.ほんわか綺麗なバイ×ペット扱いの後輩

特にツボにきたのは1話目で、世話焼き同級生の目を引くため、ワザと家出をして極貧生活を送ったり、バイト・家事をパーフェクトでこなせるも、ワザとダメ人間のフリをしてみたり…。
やることなすことすべてがとっても健気で、ついつい甘やかせてやりたい気持ちをくすぐってくれました。

4話目もこれまた面白く、ほんわか系の綺麗な先輩と付き合い始めた後輩が、一線を越えるために手を尽くし、遂に一線を越える日が来たにもかかわらず、実は生粋のドS(もちろん攻)先輩だった!?
想定外の展開に、後輩は訳が分からずアタフタ!という話。
想定外のストーリー展開と想定内のキャラクターとのギャップに、意外性をもたらした話でした。
純粋に「ストーリー」としてとても面白く読ませていただきました。

作者のあとがきは、元々ケータイ配信漫画だった本作を読もうとした話や、バリエーション豊かな知人の話など、ほっこりとさせてくれる内容で、各話の後日談おまけ漫画も見所です。

小気味よいギャグテイストはこの頃に結実しており、『わかってくれとは言えないが』にもつうじている、作者さんの創作に対する「大切さ」を感じさせてくれます。
本作を読み、ますます今後の活躍に期待することができました!

かなりツボにINしたBLです!

*Amazonへ発売当時に書いたレビューを掲載します。
(若干修正を加えています。あらかじめご了承ください)

なんとなく買ってみた本ですが、読んでみればどれもツボだらけで、正直「大当たり!」でした。

カップリングは以下のとおりです。
1.先輩生徒会長×後輩生徒会役員
2.男子高校生×男性保険医
3.しっかり後輩リーマン×ダメ先輩リーマン
4.バイの遊び人リーマン×イラストレーター(お互いに高校の同級生)
5.優等生のドS×ヤンキーのドM

どのストーリーも明るくてさわやかな程度のギャグが清々しく、キャラクターの心理状況も表情などをつけて繊細に描かれています。特に1話目は生徒会長のとても豊かで、嬉しかったり、悲しかったり、嫉妬したりするときに繰り出されるくるくるとした表情が、見ていて心をほっこりとさせてくれる気分になりました。
エロもそれなりの描写がありますが、いやらしさは感じさせず、むしろ綺麗な世界観、心理描写を表すスパイスになっています。

作者の後書きにも書かれていますが、デビュー作から数えて5年分の作品が収録されている関係で、絵柄が極端に変化しているのも見受けられます。が、逆に捉えると、進化の過程を辿っており、最新作ではデビュー作から想像もできないような美麗なイラストを堪能することができます。

まだまだ知名度が低い作家さんですが、今後も活躍が期待できる作家さんのひとりだと思います。
(少なくとも、私個人としては作家買いしたい作家さんのひとりになりました)

カーストトップの幼馴染は実はスパダリだったのです。

こも先生の2冊目の単行本です。

カーストビリのネクラであるほたる(受け)は、カーストトップの幼馴染である成瀬晃(攻め)のことが大好きなのですが、自分に引け目を感じ、想いを伝えられずにいます。
(恋心を自覚したきっかけは、晃が放課後の教室で女の子にフェラをさせていた現場を目撃したため)

大学へ通う準備のため、ほたるは晃の部屋へ引越しの手伝いに行くのですが、最後の思い出のつもりで晃の手首をガムテープで縛って襲います。
ほたるのされるがままに晃は襲われているのですが、実は晃自身もほたるのことが好きで、大学もほたると同じ学校にするほどでした。

大学に行ってからもカーストトップの晃はあっちにもこっちにもモテモテで、そのたびにほたるは自分と釣り合わないと自ら距離を取ろうとするのですが、晃は晃でほたるとの関係を終わらせたくないから、「襲ったことを謝るな」ってほたるに牽制したり、新歓パーティや合コンに付いて行ったりします。

また、晃はほたるのことをとっても大事に想っていて、新歓パーティや合コンのときもそっと守るシーンが出てきますが、まさにスパダリ感溢れまくっています。

最後にやっとお互いの想いが通じて、あまあまなセックスをしますが、そのときの晃とほたるの幸せそうな表情がとっても良い!
末長く幸せでいてほしい…そんなカップルの話でした。

(総評)
ストーリーは綺麗にまとめられていて、無理のない展開で良かったです。
ちょっと残念なのが掲載誌の関係でページ数が少ないことですね(全127ページ)。
このページ数でストーリーをきちんとまとめられるのは凄いですが、もうちょっとページ数があれば+1話分ほどのアフターストーリーも描けた気がします。
今後の期待を込めて、「萌×2」とさせていただきたく思います。

実は「執着」がテーマかも

書店の新刊コーナーを漁っていたときに見つけたので、購入・読了してみました。

<ムシャクシャしたので妹の彼氏を寝取ってやりました>
受けの瑞樹(みずき)は、妹の百合嶺(ゆりね)を「天使…」と愛でるほど自他共に認めるシスコンですが、百合嶺からある日「紹介したい人がいるの」と彼氏を紹介されます。それが攻めの健児(けんじ)でした。
もちろんシスコンの瑞樹は健児の存在が面白くなく、からかうつもりでエッチの練習相手になることを提案。しかし、引き返すタイミングを外してしまい、ついには百合嶺に内緒で体の関係を持ってしまいます。
体を繋ぐほどに百合嶺への罪悪感が増し、健児との関係を終わらせようと決意するのですが、健児が「オレと居る時は白鳥(百合嶺)忘れてください」と発言したために、やっぱりこの男には任せられない!と決意を新たに関係は続いていく…という話です。

しかし、この話には裏があり、

・健児は百合嶺の彼氏のふりをしているだけで、実は瑞樹のほうが好き。百合嶺の策略から瑞樹を守りたい。
・百合嶺は健児を当て馬にして、兄の困る顔を見たい。
という思惑が裏で動いており、なんだか底知れぬ執着を感じてしまいます。

タイトルは「寝取られ」になっていますが、実は「執着」がテーマなのかもしれません。

<イジメっ子だったオレがイジメられてメスイキするまで>
日頃からケンカばかりするヤンキー・賢人(けんと・受け)は、ずっと好きだった広田さん(女の子)に決死の告白をします。が、イジメられていたことを理由に告白を断られてしまいます。
(イジめていたというより賢人本人は広田さんを守っていたつもりだった)
その様子を見ていた幼なじみのヤンキー・辰巳(たつみ・攻め)は、広田さんとのコミュニケーションをレクチャーすると称して「オレのオンナになれ」と条件を出します。
はじめは戸惑っていたものの、辰巳にけしかけられて条件を飲むことになるのですが、乳首・アナル・前立腺をしつこく開発され、最終的にはセックスでメスイキするようになってしまうという話です。

とにかく開発×3なストーリーで、はじめは嫌がっていた賢人も、段々と快楽に抗えなくなっていくさまがなんとも言えません。
また、途中でセーラー服コスも出てきたりして、シチュエーションを存分に楽しめますね。

(総評)
汁分もエロシチュもあって楽しめましたが、絵の癖が若干気になってしまいました。
掲載雑誌の関係もあるかもしれませんが、セックスまでの流れが唐突すぎたりと、細かいことが気になってストーリーが入ってこないといった粗も目立った感じです。

とはいえ、本作が初単行本ということでまだまだ可能性は未知数なところがあります。
今後の発展を込めて、今回は「萌」とさせていただきたく思います。