幼い頃、大好きだった叔父の貴明が官能小説家になり、それを嫌悪して避け続けていた初夏。二人が一週間限定で同居するところからお話が始まります。
ポンポンと弾けるように、コミカルにお話は進みますが、後半、貴明の処女作「恋」という作品を初夏が読むシーンで様子が変わります。
初夏がずっと昔に抱いていた淡い思い、それを思い出して再び貴明に向かい合う初夏がとても可愛らしく、いじらしいです。
凪良先生の作品は何作か読ませて頂きましたが、他の作品にある、心の裏側を描くようなシーンは少ないかもしれません。
それでも、擦れ違っていた思いが重なるシーンはグッときました。
可愛らしいお話だと思います。
しっかりされた文体やところどころに散りばめられるユーモラスな表現など、とても読みやすかったですし、その文体自体が好みで、今後作家買いさせて頂こうと思います。
他の方のレビューにもありましたが、初めは平良が受かと思い、私はワンコ受があまり得意ではないので、購入後読み進めるのを迷いました。
しかし、スクールカーストの苦しい描写に引き込まれ、平良と清居が点で繋がる場面で虜になり、清居サイドで完全に堕ちました。
平良のキモイほどの清居への執着心。ストーカー紛いのそれも、平良の性格と何より需要と供給で許されていてとても素敵でした。
きもうざの平良に、見事なまでに恋に堕ちたキング。
こんなにハマったカップリングは初めてです。