表紙の美しさに惹かれて購入した本でしたが
ピュアな青年期の恋心、ファンタジックな世界観、そして私が大好きなギムナジウム!
ギムナジウムもの、耽美、詩的な世界観がお好きな方には本当にお勧めです!
お話も勿論ですが、キラキラした作家さんの絵がまた美しくて
世界観にぴったり合っていると感じました。
声楽に力を入れている音楽学校、その全校生徒の中から毎年選ばれる
類稀なる美しい歌声の持ち主、象徴としての”カナリア”
”カナリア”に選ばれた孤独な少年と、才能ある奔放なピアニストのお話です。
才能がありながらピアノを弾く意味を見失っていた少年が、初めて見つけた愛の為に奮闘する姿は
王道ながら、心にくるものがありました!
題材としてお話を占める歌曲達も本当に素敵で、凝ってお話を作られているなぁとも感じました。
久々に心が洗われるような作品に出会えたなぁと思います。
濃いBLではありませんが、儚い少年期の中で確かに芽生える唯一性は、個人的にはBL界の粋だとも思っております。
次回作をまた楽しみにしております!
上下巻同時発売ということで一気に読み、
スピード感、それでいて重厚な内容、凄まじいインパクトに
暫く余韻が止まりませんでした…!
本当に中村先生は、年々読者の心を抉るポイントを突く精度が増していると言いますか
特にこの系統のダークなお話は、初期からのファンとしては大変嬉しい。きたきたこれこれ!となるような心地です。
心理描写が冴え渡っていると感じました、細かな説明は敢えて省き
人のどうしようもない心、説明のつかない行動から薫る、名前の付けようのない感情
そしてそれは説明なくとも読者には必ず伝わる筈です。
ラストの風穴の空き方も好きですね、緊迫、安心からの落下がまた心地よいです。
巧みでした、良いものを見させて頂きました。
また次回のダーク明日美子さんを楽しみにしております!