アパレルメーカー社長、モデルの義弟、上司の3人の男に言い寄られ、右往左往する話です。最終的には社長の粘り勝ち。
社長はかなり早い段階から強気で口説いてきますが、その強引さ加減が凄く心地よかったです。
受は上司からの嫌がらせで激務に苦しんでいるのですが、野郎共に迫られる心理的ストレスと、抱かれる身体的負担まで重なって、とうとう倒れてしまいます。そこまで追い詰める前に、少しは受の体調のことを考えてあげなよ3人共。
ラストでもまだ他の2人は受のことを諦めていなさそうですが、受自身は攻に対して仄かな恋心が芽生えつつあるようですし、攻も他者をはね退けていく強さを持っているので、周囲がぎゃいのぎゃいの五月蠅く騒ぎつつも、それなりに幸せに付き合っていきそうな感じでした。
誘惑シリーズ第二部、コラボレーションの最終巻です。いやー面白かった!
ぶっちゃけ、萌えるかどうかでいうと、個人的にはあんまり萌えないカップルなんですけども。続きが凄く気になって、一気に7巻連続で読んでしまいました。第二部の方がより面白かったです。
第二部は、配膳人、モデル、経営者達の話です。派遣と社員で揉めてストが起こったり、新ブランドを立ち上げに関わってみたり。皆、それぞれにお仕事で苦労してるのが良いですね。全然違う職業なのに、それらが絡んでいって、最終的に一つの話にまとまるのが圧巻です。
番外編のカメラマン×モデルのお話は非常に萌えました。幼少期から見守る執着攻! 大変美味しゅうございました。
1995年が舞台なので、公衆電話だったり、長野オリンピックの話がでたりと時代を感じさせますが、面白さは色あせていません。現在でもお勧めの作品だと思います。
本命とはキスもないです。しようとすると攻から拒否られて殴られます。
だからといって話そのものがプラトニックな雰囲気ってわけでもないんですよね。受は幼少期はレイプ被害者だし、長じてはセフレ複数持ちのケンカ好きだし。なんだか色々不憫だけど、アホだから深刻さは大分軽減されてます。
不良をテコンドーを通じて更生させようというのが、一話目のコンセプトなのかなぁ。
二話目は攻の婚約者が出てくるんですが、文章力、描写力が乏し過ぎて、なにが起こってるのかあまりよく分からなかったです。
ともかく、攻が堅物過ぎて最初から最後までメインカップルはくっつきません。受は当て馬との方がよっぽどイチャイチャしてたので、そっちと付き合っちゃえばいいのにと思いました。
非常に面白かったです。私は神評価は200冊に1冊くらいの、かなり厳しい割合でしかつけないのですが、これは神評価です。
それぞれの立場によって意見が異なる、というのは当り前のことなんですが、この作品はそれがしっかりと描かれていてとても好感が持てました。
読者と同じ目線である受は、最初はあまり視野が広くありません。自分の立場でしかモノが見れないんですね。
それを先輩秘書に意見を聞いたり、攻から違う世界を教えてもらったりして、次第に見分を広めていきます。他者にとって、それがどういう意味を持つのか。思いもしなかったことに気づかされ、視野がぐんと開けていく感覚は爽快感がありました。
特に面白かったのが、カジノ法案談義のシーンです。
攻は反対の立場も、賛成の立場も、両方の意見を理解しています。三点くらいの視点で物事を立体視しているんですね。受よりも視野が数段広く、また長期的に物事をみて、その視界のどの立場にも立ち返ってみることができる。
これ、上に立つ人間にとっては必須の能力ですよね。彼は名目だけでなく、中身も非常に優秀で賢い人だなと感じました。
誰につくのが得策か悩んだり、人脈作りに奔走したり。恋愛だけでなく、政治モノ、内政モノなんかがお好きな方には、中々お勧めな作品だと思います。
何より印象に残ったのが、妙な英語授業でした。
「右乳首の方が感じる」とか「前より後ろがイイ」とかを英訳します。
お義兄ちゃん、一体何を教えてるんだよ! と笑ってしまいました。
さてそのお義兄ちゃん。たいそう腹黒でいじめっ子です。
優等生のフリをして、裏では煙草吸ったり、ゲイ仲間と遊んだり。
挙句に義弟を緊縛レイプしたり、卑猥写真で脅したりと酷いものです。
お前なんかタイプじゃないとも言い放ってみたり。
好きな子は苛めたくなるそうです。
対して義弟は素直なアホの子です。すぐ騙されます。
大人っぽく筋肉質な人が好きと言われて、こっそり筋トレに励んでみたり。
別れ話が出れば「玩具でもいいから」。
攻の浮気疑惑には「二股でもいい、捨てないで」。
お前にはプライドが無いのか! と言いたくなる有様。
これには、攻の毒気も抜けてしまいます。
つい、ほんわかしちゃうんですよねぇ。
素直に泣いちゃう子は本当に可愛い。
個人的に青樹さんの絵が好きなのもあって、中々おもしろくて満足な一冊でした。
BLはBLなんだけど、どちらかというと社会派小説のような印象でした。
共依存の両親に虐待されている少年・黎と、危なっかしい彼を放っておけない省吾。
ウリのふりをする黎を本気で叱り、支えてくれます。いい人です。
省吾はずっと兄のような気持ちで見守っているので、中々黎に手を出しません。
それどころか『温かい家庭』を味わわせてあげるために、女性と結婚しようとします。
ノンケの生真面目さが炸裂です。
最終的に黎を抱くときも、「いいか? 黎。これから俺はおまえを『傷物』にする」ですからね。一生責任取るそうです。真面目でいい男です。
この話は暗くて一度は出版が見送られたけれど、いい話なのでやっぱりノベルズ化された、という経緯があるそうです。
確かに「萌えー!」というようなお気楽さはないですが、しんみりして良い話だと思います。
あらすじには「父の愛人」。
のっけのカラーイラストには、赤ちゃんを抱いて微笑む攻&受。
これはもしや、とんだ地雷を踏んでしまったか!? と恐々としながら読み始めました。
結果的には当たりな作品だったわけですが。
憎むべき「父の愛人」の写真に、まさかの一目惚れをしてしまう攻。
ともかく別れるようにと説得しに会いにいくのですが、そこでも実物の愛らしさに一瞬で悩殺。
怯える華奢で清純な受の描写が、非常に秀逸です。
あれならつい押し倒ちゃうのもしょうがない。
攻の心理もよくわかるんですよね。
強烈に惹かれているのに、既に父のモノ(誤解ですけど)で、独占したいのにどうにもならなくて。
可愛さ余って憎さ百倍。余計に苛烈な扱いをします。
ナイスな嫉妬攻です。
そして受がまた健気。これを健気と言わずして何を健気というのか。
耐える。ひたすら耐える。
周囲の心理や感情に配慮して、理不尽な扱いも黙して甘受します。
そんなに孤独に色々と抱え込まなくてもいいのよ、と言ってあげたい。
薄幸で儚げな健気美人、本当に最高でした。