同級生シリーズ以前のBL作品、耽美な作品は読んだ事がなかったので、今更手を出してみました。
ちなみに中村さんの作品で好きなのは同級生シリーズ、鉄道少女漫画、ウツボラです。
しかしこれは評価が難しい……一回目に読み始めた時は買って失敗したかなと思いました。なかなか世界観やグロテスクな耽美さになじめない。登場人物に感情移入もできない。
一巻はその傾向がかなり強かったです。ただ、二巻でがらりと空気が変わる展開があり、そこで流れる雰囲気がとても好きなのと、このコントラストのために今までのちょっと不快なくらいの陰鬱さがあったのかとも思えたので、全体としてはとてもよい作品だと感じられました。
テーマや雰囲気は苦手だし、中村さん一流の感情の機微や洗練された詩的さは片鱗こそ見えるもののまだ発展途上といった感じ。
なんだけど、ストーリーテリングの巧妙さと退廃的な美学はちゃんと感じられる。
萌えはないけどドラマとして完成されている。
そんな作品でした。