ss、という短さなのになんだろうこの充実感は!!
本編はめまぐるしかったですが、こちらはおだやかな日常。
それぞれの母親から受け継いだメニューを、答え合わせしていくように話す泉と宗清。同じところ、違うところ、これから一緒になるかもしれないところ。
何気ないようで『我が家の味』って確かにありますし、そこに母親たちが昔一緒にいた痕跡をみつけるのって、二人にとって特別で大切なことだなぁと思います。
同じものを食べて、同じ身体になろう。という泉の言葉にじんわりきてしまいました。毎回毎回、ssペーパーやブログの小話にやられてしまいます。
おいしいものを、おいしく書ける。幸せなことを書ける、一穂先生が大好きです。まだ読んでらっしゃらない方はブログssもぜひ!
発掘調査を生業とするベントと、鉱物を食べる希少種族の少年イーリス。
調査していた廃鉱の中、目の前で倒れたイーリスを、ベントが助けたところから二人の旅が始まります。
童話や絵本のような雰囲気で、めずらしい漫画だと思いました。
装丁のデザインがとてもきれいで、それだけでも買ってよかったです。
BL的な絡みはないし、恋愛要素も強いわけではないけれど、読後の充実感は確かです。
絵からも滲み出てくるように、細部までものすごく丁寧に作られたお話で、
ちるちるで勧めるには、BL要素が少ないので萌え×2ですが、個人的には大好きです。言葉の選び方、旅の背景、小物、表情、開くたびに小さな発見があります。
皆さん書いてらっしゃいますが、この空気感が好きな人には『こういうの待ってた!』となるのではないでしょうか。
また、以下のモノローグが一番心に残りました。
ーーーーー似ている、はあくまで似ているだけで、完全には重ならない。けれど、お互いの『似ている』と思った感情は重なるのかもしれない。(本文抜粋ではないです)
ビー玉や、石や、ガラス細工を掌にのせて、すっと差し込む光や色を楽しんだことはありませんか?
何年たっても大事な宝物のような、本を開けばいつでも旅を始められる、そんな不思議で素敵な物語です。
イエスかノーか半分か、のスピンオフではなく続きということで待ちに待っていました!
前作(イエスかノーか半分か一巻)と、同人誌『なんにもいらない』が完成度高かったので続きどうかな~と少し不安もあったのですが、やっぱりおもしろい。
当たり前と言えば当たり前なんですが、同人誌は読んでいなくても大丈夫です。
さて本編ですが、付き合いだして一年の二人にあれこれハプニングが降りかかります。前作では竜起という恋のライバルが、今作では木崎という仕事面でのライバルが登場。
ぐるぐる悩んで喧嘩して…という心理描写のもとになる、
『好き』ではなくなんとなくアナウンサーになった計、『好き』を仕事にしている潮や麻生さん、そして木崎…という対比の持ってきかたが本当に上手いなと思います。
それから、他の方のレビューにあるように温泉Hやら記憶喪失やらテンコ盛りです(笑)
このシリーズはめちゃめちゃ王道、というかエンタメ、というかBLBLしている…!一穂さんの作品って、いい意味でBLぽくない物が多いと思うのですが、今回はがっつりBL!狙って書いてるのかな~と思う所にまんまとはまって、きゅんきゅんしてしまいます。
恋敵・すれ違い・ハプニング・仲直り・抱擁攻め・癖あり受け…と揃ってもたんなる王道にならない面白さがこの本の魅力です。お仕事現場とか、上司とか、潮の作品とか、本当に魅力が詰まっています!!
他の一穂さん作品で、難解だなとか重いわと思った方にもおすすめです。
Hシーンもたくさんありますし!
ということで神評価させていただきました。