BLだけに限らず、恋愛モノってある程度カップルの設定やストーリー展開に「王道」、「お決まり」があるものですが、はらだ先生の作品は全てどのジャンルにもカテゴライズし難い。
まさに百人百様の恋愛模様・新たなる愛のカタチを生み出し続けているなと思います。凄いです、色々と。
ここからネタバレ
メインカプは朝一(下衆を通り越してクズ)とヨル(天然ピュアっ子)のバンドメンバーです。朝一は自分が男に惹かれていることに抵抗を感じていて、一途に慕ってくるヨルへの扱いは、それはそれは酷いもんです。
そんな状況で鍵を握るのがヤクザとキャバ嬢の兄妹(二人ともヨルが好き)。朝一との絡み&惨い恐喝のシーンがあるので苦手な人にとってはほんとに地雷注意。ですがそもそも二人はヨルと「つながる」ために朝一と関わるようになったんですよね。そしてその結果朝一の粋がった一面は一度ボロボロに崩れ去り、ヨルが大事だと素直に認められるようになって、朝一とヨルはようやく両想いになります。(まだまだ朝一はツンツンしてるけど)。なので地雷要員ではあるけどちゃんと出てくる意味はあるし、一見救いようのなかった朝一とヨルの関係を上手く取り持ってくれてます。二人とも失恋しちゃったけど、なんか憎めないキャラだし可愛いし、他にいい人が見つかることを願ってます。お兄ちゃんメインの話も読んでみたいです。
そんなこんなでヨルの長年の片思いは漸く報われたのでした。めでたしめでたし!他の方も言っておられますが、ヨルがなんでそこまで朝一を好きでいられるのかは私もわからなかったです。でもラスト一緒に歌を作って、正式にお付き合いするようになってからの朝一を見て、ただ格好つけて粋がってただけの奴が恋をして変わってくれたのは本当に良かったと思いました。そう、この二人はお互いに出会ったことで恋と音楽に目覚めたんだ!そして変わったんだ!恋と音楽にはそんなパワーがあるんだ‼︎
と、この漫画を読んで思いました。作文…??
この本のレビューを書きたいがためにちるちるの会員登録をしたという…(笑)
羽生山先生大好きなんです。初レビューです。
【小田島翔×101号室〜そわそわDEAD☆OR☆ALIVE〜】
「あらあら」に出て来たヤンキーカプの男前な攻め・翔やん視点のおはなし。
もう超微笑ましい。短い中に互いへの愛が溢れてます。前作読んで「惚れてまうやろー‼︎」と心の中で叫びまくった人も多いかと思いますが、これでまた翔やんに惚れ直すこと間違いありません。
【202号室 鮎川要〜あすなろ〜】
ゲイの高校教師・鮎川視点のおはなし。
彼は妄想しまくったりセフレとイチャイチャしたりと奔放そうに見えますが、過去の経験から本気の恋に臆病になっていて、それがとっても切ない。攻めの澤村も背中に重いものを背負っていて、後ろ暗いところのある者同士の大人の色気ムンムンなカプ。
ガッツリある濡れ場と眼福な裸体は必見です!
【小料理屋わかば 春野わかば〜HARD LUCK WOMAN〜】
わかばママと板前のケンさんの馴れ初め。
このお話は恋愛に限らず「愛」とは何か、「幸せ」とは何かについて考えさせられます。
このお話はわかばママの「あなたはどぉお? 幸せかしら」という言葉で締められていますが、羽生山先生が全てのコミックスを通して伝えんとしているのはこの事だなと感じます。
どのキャラも大事な人と一緒に美味しいもの食べて、笑って、懸命に生きてるじゃないですか。日常の中に幸福を見出すことの大切さを重視してるからこそ、部屋の中や街並に至るまで恐ろしいくらい細やかに書き込まれてて、ギャグも忘れないで、それがレトロな絵柄とあいまってこんなに素敵な作品に仕上がるんだと思いました。