今までBLを読みはしても人にオススメしよう…と思ったことはあまりなかったんですがこれは別…!!
というのも、あまり描写がきつくないっていうのもありますが、作品の空気感・キャラの心情の表現が心にすとんと落ちてくる感じがすごくいいんです!「仕立て屋とぼっちゃん」というタイトル通りのわかりやすい関係性なのに、印象が固定されないというか、店と客、社会人と学生、大人と子供としての感情の揺れや経験の差から来る感じ方のずれなんかがとても秀逸で、そのもどかしさがたまらない。でもどろどろした雰囲気に持っていくんじゃなくて、シュールな落ちでまとめたりするところにセンスを感じます!すごく落ち着いた雰囲気なのに、要所要所で小ネタを挟んでくるのが最高です!
キャラクターについては最初受けの片山さんの気だるげな色気にやられていたのですが、読み進めていくうちにだんだん高宮君派に(笑)
どこかずれてて甘ちゃんで周りが見えてなくて、でも好きな人を一心に追いかけるぶれない彼がかわいくて、とにかく「行け!幸せになれ!」と気がつくと応援してしまう…これがわんこ系年下攻めの魅力というやつでしょうか…末恐ろしい子です!高宮君!!
彼にはどんどん押しの一手で、たまに引いてでも失敗して、とにかく片山さんを振り回せるくらいに活躍して欲しいです!つまり、続編が見たい!!
このまま終わらせるにはもったいない物語です!
あと個人的にちょくちょく出てくる「ひと月毎に恋人の変わる友人」が気になります…言ってることはいいことの筈なのにまるで役に立たないっていう所が凄くいい(笑)
表紙と、帯の「大人になってから出直してきなさい。」の一言に惹かれて買ったのですが、大満足の一冊でした!