あらすじからも分かる通り、BLの大命題「攻め攻め攻防」のバリエーション作品。
まず興味深いタイトル。「離婚前提で結婚しました」。どういうこと?
イケメンゲイが2人、おのおのの結婚したい理由がある。そしてその結婚はあくまで既成事実を作るだけが目的。
だから初めから一年で離婚する条件で結婚するのです。
ともかくも、トントン拍子に結婚は成立しいざ生活へ。
先輩に倣って「充実した良い結婚生活」を経験したい遼馬と、契約上の生活と割り切っている琥太郎はすぐにぶつかる。
琥太郎の実家からは早く養子を…とか言われたり。
その上、実はバリタチ同士!
だけどこのお話は単にポジション争いが中心ではなくて、生活を続けるうちにお互いの良いところ、自分が足りないところ、そこを補い合うんだ…という本質を理解していく話とでもいうのかな。
あっという間半年が経って、契約ではなくて本当に好きなっていた2人。夫夫なのに両片想いです。
夫夫なのにお互い告白して…
ポジションも解決しますよ。ここは意外と呆気ない。
BLあるあるの「攻め攻め攻防のケンカップルがおさまる所におさまる話」のバリエーションではあるけれど、ならつまらないのか?というと全くそんなことはありません。
結婚してから徐々にお互いを知り、歩み寄って良い所を見つけあって…という流れは胸熱でもありとても良い。ハネムーンを2回するのもイイネ!
絵柄もきれいで好みです。
ただ〜し!
私個人的にアンチ攻め攻め攻防主義でして。
負けた方がネコ…っていう流れがね、納得できん。攻め受けは勝負じゃないんよ絶対に!
まぁこの2人は平和的解決でしたので良かったです。
すっかり大作の貫禄の6巻。
ページ数も多く読み応えアリ。
内容はといえば、静真と湊の同棲が延期になり〜で波乱か?と思いきやの。
写真をひたむきに頑張る湊。頑張りすぎる湊。…を心配して、汚部屋の片付けや食事の用意など世話を焼く静真。
甘え下手な湊は戸惑うけど、静真の「理想の夫」ぶりはスバラシイ!結婚したい男No.1!
そんな感じで2人の仲はバッチリ。心配ナシ。甘いエロシーンもちゃんとあります。
一方、静真のお母さんはより「お嫁さん」願望を強め。
スピンオフ要員(?)巽先生と院長の間に少〜し動きがあり。
そして、6巻にして大きな波乱要素が登場する⁉︎
ママの知り合いの謎のイケメンが何やら不穏です。
こうなると、この6巻は「嵐の前の静けさ」なのかもしれない。そして、この後の展開が想像がつかないところが期待を大きくします。まだまだ面白くなりそう!
オメガバースといえば「運命の番」、そういう意味では王道ど真ん中の作品。
シゴできリーマンの海(Ω)と高校生の隆臣(α)は偶然出会ったが、お互いひと目で「運命の番」だとわかる。
何度か2人で会って隆臣の良さはよくわかるけれど、隆臣は御曹司。
その上、海はαに対してあるトラウマがある。
だから海は隆臣の両親に相談して、彼の前から消えることにする…
だが結局は再会し…というのがドラマチックあるある展開なわけだけど、隆臣は離れていた4年間の間、ド執着、ド執念が積もり積もって…
海を離さず(拉致)、帰さず(軟禁)、海が理由としていた困難を取り除き(婚約者候補と親戚たちを排除)。
帰国がすぐにわかるように空港ビルの経営陣になり。
一見、愛を貫くために努力を惜しまないスパダリ。だけど、海は優しかった隆臣を自分が変えてしまった…と後悔する。
年下の一途な想い…を極端に思い詰めてもはやヤバい域に達してる隆臣。
隆臣のためと言いながらも結局は自分の事しか考えてなかった…と思い知る海。
ヒート中のセックスに関しての行き違いや、元婚約者の暴走等、起承転結の「転」を経て無事にハッピーエンディングに向かいますが。
やっぱり隆臣の執着心や独占欲は異常の域に達してるかも。お父さんもビビってるもん。まあ、海がいる限り大丈夫か。
「萌x2」で。
長編ではなく、オムニバス作品。
バレエが舞台の、義兄弟、団員同士、父の世代、などなどの群像劇的な。
テーマが重い「僕が君を殺すまで」の後に読んだので、本作のかなりの読みやすさに驚きました。
ひとつのバレエ団の中の人々の話で。
名ダンサー・クレマンの息子レジスと、後妻の連れ子ユーイ(日本人)の義兄弟。
ダンサー同士、オリヴィエと彼との稽古中に大怪我をしたモリ(日本人)。
バレエ団代表のティエリーとクレマンの若き日々。
バレエダンサーというのは思考もドラマチックなのかな。踊りの才能と感受性が比例しているようです。
レジスxユーイ、オリヴィエxモリのCPは若い焦燥や性急さ、恋の甘さがあるけれど、ティエリーとクレマンは恋とは違う苦さ、バレエに囚われた心、究極のエゴイズム、気付かずに他人を傷つける傲慢さ、全てを凌駕する踊りの美しさと才能が交差する。
一筋縄ではいかない愛情を「ユルスナ(許すな)」という演目で昇華する…そんな視点がどこかカッコいい。
ベタベタはしてないけどどこかwetで人間臭い、そんな個性的な作品。