元教え子 ✖️ 元教師の20年越しの再会
20年のコールドスリープを終了した元高校教師の真人(受け)。
無事に目覚めた真人の前に現れたのは元教え子の渡良瀬(攻め)でした。
20年の年月は残酷で12歳年下だった渡良瀬は8歳年上の頼れる立派な美丈夫になっていてびっくり。
様変わりした世間で生活していくためのフォロー担当として渡良瀬は真人の前に現れたのでした。
真人は、当時未知のウイルスに感染し治療法の確立までコールドスリープすることになります。本来は2年のスリープまで安全が確立されておりその予定だったのですが、真人の体質が長期コールドスリープに耐えうるという検査結果により、20年の長期のスリープの治験に参加することになってしまったのです。
その時は体調は悪化の一途を辿っており、コールドスリープしてもらえないのではないかという懸念から承諾したのですが、実際20年後にぽいっと放り出されて、自分だけが浮いた存在な感じになり不安定な気持ちになってしまいます。
そんな真人をフォローするのが渡良瀬です。
渡良瀬は真人がコールドスリープに入る直前に卒業した元生徒で、担任も何回か持っておりとても懐かれていました。途中告白までされてしまうくらい。
コールドスリープに入る直前に2年で終わると連絡していたため、約束を反故にした気まずさがあったのですが、渡良瀬はすっかり忘れているようです。
大分慣れた頃、十分な謝礼で働かなくても良いのですが、社会から隔絶された気持ちになり仕事がしたいと思うようになります。
当時違法な治験だったこともあり、死亡扱いになっており、自分というものを取り戻したいと思うようになるのです。
命を盾にしたコールドスリープの期間延長提案は人道に反します。
天涯孤独な真人は治験者として最適だったのでしょう。
タイミングが悪かったんですよね。
当時違法だったため真人は戸籍も抹消されて存在を消されたのに、今ではそれも合法となり治験者たちは盛大にお祝いされるというこの差。
渡良瀬がそばにいなかったら病んでたのでは。
真人が歴史が好きだった理由。
必要だったからと思い込んできたけど、よくよく紐解いてみると、もらってなかったと思っていた両親の想いとかちゃんともらってきたんだとか歴史がやっぱり好きだったんだとか、教師の仕事は好きだったんだとか、時間はかかったけど理解できて良かった。
渡良瀬はこの20年の間、真人を探し続けていたようですが、ちゃんと経験もしてきたようでした。恋人がいたのはずっと真人を探し続けて疲れた頃だったのかなとか、今フリーだったのはたまたまなのか恋人に別れを告げたのかとか想像が捗ります。
20年後の世界にも慣れてきて、色々うまくいって、渡良瀬と恋仲になり、「答え合わせは人生の最後にしよう」とプロポーズされて、人生の再出発という感じで終わっていたのが、卒業式で歌われるあの歌が思い出されてしみじみしました。
高校のミスターと準ミスター
小さい時から可愛い可愛いとチヤホヤされ女王様(王様じゃないんだ)のように天狗になってた美鶴(受け)がいきなり陰キャになったのは、高校で自分より騒がれているイケメンの一ノ瀬(攻め)に一目惚れして告白して玉砕したことがきっかけでした。
それ以来、前髪や分厚い伊達メガネで顔を隠し人とも付き合わないで、ガリ勉するようになってしまった美鶴。友人と呼べるのは幼馴染の喜一だけ。
高校3年になり、夏期講習へ通うようになった時、一番前の席を陣取り、勉強体制に入っている美鶴に声を変えてきたのは、一ノ瀬でした。相変わらずキラキラしたイケメンオーラ全開ながら、検事になる夢のため難関大学法学部を目指して真剣に勉強しようと夏期講習にやってきており、美鶴に質問してきて一緒に勉強するようになり距離が縮まっていきます。
過去、自分を全否定してきた一ノ瀬に美鶴は怯えるのですが、全く美鶴のことは覚えてないらしく自分の顔目当てではない勉強を一緒にする仲間として接してくる一ノ瀬に怯えるやら嬉しいやら。
雑誌掲載の2編と短編1編になります。
両視点で話が進むので2人のことがよくわかります。
可愛すぎて、中学校までは色々と騒ぎになり、
美鶴は天狗になってたけどそれは周りも悪くて、両親に愛されて大事に育てられた素直な子なんですよね。だから、ひどい言葉で(告白も酷かったからおあいこではあるけど)振られた時、自分の全てが否定されたと思ってしまった。
女王様であることをやめたのはよかったけど、ちょっと振れ幅がひどすぎて可哀想になりました。お陰で高校生活は楽しいものにはならなかった。
最終的に一ノ瀬と恋人になったからいいのかな。
お互い好きな人によく見られようとして、すれ違ったりするのが、微笑ましいやらもどかしいやら楽しく読ませていただきました。
美鶴に喜一という幼馴染がいて本当に良かった。常にフラットな状態で接してくれる喜一の存在は大きかったです。
これからも何かあれば喜一を間に入れて仲直りするんだろうな。
そしていつか喜一の恋を2人で応援するんだろうな。
想像するだけで楽しいですね。
それにしてもこれを読んでる今まさに受験真っ只中。
受験生がいる我が家では、一向に勉強しない我が子にイライラしてしてばかりなので、こんなに一生懸命勉強する2人が羨ましい。
ちょっと不思議なのは、一ノ瀬には何度もスカウトが来ていたようですが、美鶴は母親がモデルだったのに、子役モデルやってなかったことです。一般の人でも、それだけの騒ぎになるくらいならスカウト来るだろうし、知り合いに業界の人がいるだろうし声かかってもおかしくなかったと思うんだけど。
女王様なんだったら声かけられてたらやってたんじゃないかしら
幼馴染の長ーい恋
猫と話せる能力のある猫美(受け)は人と話すのは苦手。
今は祖母から引き継いだ猫専門の古書店を営む傍らこれも祖母から引き継いだ猫関連のよろず相談処で生計を立てています。
そんな猫美を何くれと気にかけてくれるのは小学生の時からの幼馴染の陽平(攻め)です。
能力容姿全てにおいてハイスペックな陽平がなぜずっと仲良くしてくれるのか不思議に思う猫美です。
ある日、陽平から猫屋敷についての情報が寄せられ、猫が心配な猫美は陽平とともに様子を見に行くのですが‥
実は猫美の祖先が猫神からその能力をもらっており、祖母からの遺伝の能力で、名前は初代の名前からもらったものです。
いくら初代からの名前だとしても、猫美という名前をつけられてなんて可哀想なんだだろうと思いました。まだ女子ならともかく男子につける名前ではない。どこかの妖怪の名前じゃないんだから。実際小学生の頃は揶揄われたようです。
猫美の能力は祖母よりも強く、実際に話さなくてもテレパシーのように考えるだけで猫と会話できるので、その弊害として人との会話が苦手になってしまいました。
これがのちに陽平になかなか本心を伝えられず、陽平がかなり可哀想な目に遭うのです。
陽平は登場時からあからさまに猫美のことが好きだとわかるのですが、人との交流が圧倒的に足りない猫美は情緒が育ってないないせいで、自分も相手も気持ちがわからない。
そのため面と向かって告白されてやっと認識するに至ります。
ただ、高校の時も一度告白して断られていますが、これは陽平が悪い。
典型的な好きな子いじめをしてきたせいで、猫美は嫌われている前提で陽平が自分を構う理由を考えて折り合いをつけています。ただ嫌ってなかったのが意外でした。
自分がやるのはいいけど他人たとえ大人が相手でも許さないマンだったおかげでしょうか。
普通のお話ならここで嫌われて終わりでしたね。
だから、高校で告白しときの温度差がすごいことになってました。
好きな子いじめしてたときの記憶が美化されてて、陽平は照れて告白してるけど、猫美にとって不審にしかないという。
ショックだったと思うけど、自分の過去の行いのせいですね。
とはいえ、これだけ面倒を見て告白して、返事はいつでもいいと言いながら、これだけ引き伸ばされたら流石に可哀想になってきました。
猫美は猫美で自分も陽平が好きだと気づいたのに、ウジウジしてるのにイライラしましたが、いざいたそうとしたときの斜め上の思い切りの良さには笑ってしまいました。
心の中で完結してしまって外に出さないせいで、誤解されすれ違うのには可哀想を通り越してイラッとしたし、頑張っている陽平の方に感情移入してしまいましたが、失うかもと思ってやっと自分の気持ちを素直に言えるようになって2人が恋人同士になった時は長かったねと陽平に肩を叩きたくなったお話でした。
そして猫と人との絆や猫夫婦の一途で深い愛には涙しました。猫夫婦の奇跡のような話はほっこりするやら泣きたくなるやら本当に良かったねと声をかけたくなるお話でした。
初々しい初恋が可愛い2人
人よりちょっとズレてる八重沼奏(受け)は自覚なしの美少年でみんなから遠巻きにされています。
1人でいるのも苦痛ではないけれど、やはり寂しいと思うようになった今日この頃、選択授業でいかにも陽キャなイケメン二宮(攻め)と友人になります。
二宮は奏のことを全て肯定してくれて、何を言っても受け入れてくれます。二宮の隣はとても居心地がいいのです。
二宮の方も、周りの空気を読んでばかりの人間関係に疲れてきていたところだったので、自分を飾らないでいい奏の隣はとても自然なことのように感じます。
「友人」として仲良くなった2人はお互いどんどん惹かれていくのです。
奏と二宮の両視点で書かれているので、お互いの気持ちがよくわかります。
新学期の自己紹介でぬが漬けが趣味だと言った奏の渾名は「ヌカち」。
美少年すぎて人から遠巻きにされているのですが、本人は自分の空気の読めなさなどのせいだと思ってきます。
見た目の美しさから勝手に勘違いされていた奏が自分のせいだと思っているのは母親のせいです。
母親から「空気が読めない」とか「会話が噛み合わない」とか「いいのは見かけだけ」とか言われ続け、周りを不快にさせるくらいなら黙っていようとなってしまい、見た目も相まって孤高の存在のようになってしまうのです。
二宮は自分の見た目の良さを自覚しており、反感を買わないように周りに合わせて話す内容笑うタイミングなど計算しながら皆に囲まれています。最近はそのことに疲れを感じるようになってきています。
思いがけず知り合いになった奏に対してはそんなことを考えなくてもいいことに安らぎを感じるのです。
「友人」といって仲良くしていたことや、男同士だからと言うのもあってなかなか2人とも認められなかったのですが、お互いが同じように少しづつ好きになっていく様が、可愛らしくもどかしくたのしいです。
誤解なんかあってちょっとよそよそしくなったりもするけど、奏が泣きたくなる時にはちゃんと一番にそばにいる二宮が頼もしい。
そして、クラスのみんなも決して奏にいじわるしていたわけではなく、ちょっと誤解してだけで、誤解が解けたからにはこれからの一年楽しく学生生活が送れるんじゃないですかね。よかったよかった
それにしても、顔しか取り柄がないとか他人が言うならわからないでもないけど、母親が言っていいセリフではない。
母親の呪いが奏に寂しい学生生活を送らせててたのでしょう。
確かに反応が遅かったり空気が読めないとか心配になるかもしれないけど、そこは親がそれでいいんだよと言って育てるべきなのに。
二宮が本来親がやらなければならない全肯定をしてくれたからこそ変わることが出来た。
大人になる前に二宮に出会えてよかった。
そして、奏におばあちゃんと言う理解者がいてよかった。
おばあちゃんには長生きしてもらいたいものです。
お互い初めて見た印象が輝いているなんて一目惚れ同士だよね。
こらからも、ゆっくり仲良くしてもらいたいです。
とても読みやすくBL初心者の方にぴったりなお話だと思います。
ハラハラいたりイライラしたりすることはありませんが微笑ましい可愛らしい話としてゆったりとした気持ちで楽しく読めました。
乙女ゲームの攻略者でありラスボス王子 ✖️ バッドエンドしかない主人公
ミシェル(受け)は10歳の誕生日に前世の記憶が蘇り、自分が死ぬ前やっていたバッドエンドしかないゲームの主人公に転生していることに気が付きます。
このゲームはΩの主人公の兄が王子アルベルト(攻め)を庇って死に、両親も嘆き悲しみ死んでしまい、天涯孤独になってしまった主人公がアルベルトに復讐するため攻略対象者をΩのフェロモンを使って籠絡していくというもので、どのルートを通ってもバットエンドになるという酷いゲームでした。
絶対死にたくないミシェルは、1番の前提である「王太子を庇って兄が死ぬ」ということを回避した後、覚えてる限りのフラグを折まくります。ミシェルは生き延びることができるのか。
記憶を取り戻して8年ずっと、折っても折っても生えてくるフラグを折続けたミシェルが本当に気の毒でした。
そもそも1番の原因の兄の死というイベントを回避したのだから、もっとほかの人を頼れば良いのにともどかしい思いでした。
アルベルトとの婚約者をそのまま継続されたことで、いつバッドエンドに移行するのか気も休まらないミシェル。
このまま逃げ切れるかと思ったのに、こんどは裏ルートが解放されて大ピンチに。
前世ので引きこもりになってしまった原因が全く反省せず今世でも邪魔をしてきたのには、ほんとうに驚いた。
こいつだけは許せない。永遠に地獄の業火で焼かれるといいと思う。
前世でも今世でも長らく苦しめられたのが、もう少しなんとかならなかったものかと思いましたが、最後にやっとハッピーエンドになった時は長い闘いに勝利したミシェルに拍手しました。
「イノセントラブ」3話
近所のお兄ちゃん なるちゃん × 高校生音人
近所のお兄ちゃん、なるちゃん(攻め)小さいころから面倒みて少しずつ懐かせてきた音人(受け)を調教していきながら取り込んでしまう話です。なるちゃんは病んでます。うまい具合に調教して全部貰っちゃったり。同級生と一緒にいるのに嫉妬して盗撮写真をわざと見せて撃退したり。
愛のある病んでる人は好きなので楽しく読みました。
「禁忌」2話
高校生先輩伏見・同級生雅臣 × 高校生大槌
大槌(受け)が二人を使って気に入らない生徒をケガさせていて、二人を飼い犬として女王様然としていたのに、周りにばれそうになって手を切ろうとしたら、二人に思いっきりかまれてしまう話です。
3Pは苦手なうえに愛があまり感じられないので私は苦手です。これからこの3人はどうなっていくのか心配です。
初めは大槌が何で二人を使ってるのかと思ったら、操ってたのは一番やばい伏見だったんですよね。大槌に執着しているのは雅臣の方のようなので、雅臣と大槌がくっつくんだったらちょっとは安心なんだけど。伏見が早く飽きて二人を解放してあげればいいんだけど、そうでないと堕ちるとこまで行ってしまいそうで恐いです。
「勝てる気がしません」2話
高校生、紘 × 高校生、悟
上の2編とは違って可愛い高校生の話でした。
付き合い始めの二人がどこでも盛ってしまって困っちゃうみたいな可愛い話で読んでてにこにこしてしまいました。ギャグの顔もかわいいし。
上の2編(特に真ん中の話)が病んでだけに心が軽くなる感じがしました。
こういうのが最後にあると読み終わりが暗くならなくていいです。
ヤンデレ設定は好きですが、真ん中の話は私好みではなかったです。
表題作と最後の話をもう少したくさん読みたかったと思いました。
妾腹のアルファ王子とオメガの次期公爵
国で確認されている唯一のオメガである公爵令息ティルダ(受け)は余命宣告されている父に早く番を見つけるようにと言われています。理解者である国王が厳選したアルファを紹介してもらうため王都へいくことになり、アルファの王孫達が迎えにきます。
予定より早く到着したことで準備が整わず、出発まで待ってもらうことになったのですが。第2王子のロベルトは頻繁に誘ってくるし、なぜがいい匂いのする第3王子のエイリーク(攻め)は素っ気ない。
ティルダはそんなエイリークが気になって仕方ありません。
それはエイリークの方も同じようで‥
そんな中、放蕩息子の従兄弟パトリックもベータなのに参戦しようとしてきて‥
王都でお見合いと言いながら、王子達との見合いが始まってしまって、王都へ行くために病身の父の代わりに領主の仕事をしているティルダは引き継ぎに忙しいのに、王子を無碍にもできず余計に時間がかかってしまって大変です。
初めに通達した日よりも大分早くくるなんて非常識だな、王族のくせに常識ないのかなと思いました。特にロベルトが仕事は優秀のようですが、人間性はダメなようなので、何しても王子だから便宜を図ってもらえるとか思ってるんでしょうね。選ぶのはティルダだから心象悪くなるばかりなのに、そういうの気遣いができないところがダメなんでしょうね。
従兄弟のパトリックは美しいティルダを奪われると思い突撃してくるし、ティルダは大変です。
この国には不敬罪はないのかな。
初っ端だけでもしょっ引かれても仕方ない暴挙なのですが。特にロベルトなんて速攻で騒ぎそうなのに。
公爵が急いだのは、はじめはパトリックが無理やりことに及ばないように自分の目の黒いうちにアルファの伴侶を見つけてあげたいと思ったんだろうと思いました。
話が進むうち、ロベルトも何かやらかさないか心配になりました。もしかしたら2人が手を組むかもとも。
そう思ってたら、ティルダとエイリークが何も遮るものがない丘で何時間も睦合い始めた時は絶対なんかあると思いました。
予想とは違ってたけど、やっぱり暴走するのはこの2人で、彼らは好きな人が自分のものにならないなら困れば良いと思えるくらいクズな人間でした。
発情期はその苦しさで自死する人が出てるくらい大変なのに、そうなれば良いと思っている2人の末路は自業自得かな。
それにしても、ティルダが最後のオメガになるまで国はなんの対策もしてなかったのだろうか。ティルダの母のように面倒を見てくれる貴族が動いてくれていたら、もっとオメガについて調査も進んでいただろうし絶滅寸前にはならなかったのではとは思うけど、オメガがいて良いことがこの世界では特にないようなので(他の作品とかならアルファが生まれやすいとか利点が有る)絶滅する運命だったのかもしれない。これからティルダの子供とかに引き継がれて薬の開発が進んでいくといいですね。
2人目の妊娠
最愛の息子で宝珠であるロアールが産まれて3年。
スクスク元気すぎるくらいに育つロアールと仲睦まじいロイ(受け)とゼクシリア(攻め)
宝珠が産まれるのは稀だとロアールの時に言われていたのに、再びロイの妊娠が発覚。
それもロアールが気がついたため、まだ本当の初期。
前回のような綱渡りのような展開にならないで済むとそれでも早急に仮腹を探し、仮腹の所へ急いでいると、ロアールが番を見つけて連れてきて(誘拐)しまいます。
番を返さねばと予定と違うコースに変更するのですが、またしてもロイの宝珠を狙う輩の攻撃されるのです。
前作のつづきから。
今回も怒涛の展開。
ロイが妊娠すると騒ぎが起きる。
そして肝心な時にいつもいないゼクシリア。
頑張ってるのに役立たず。
自分の命を賭けても卵を守りたい蛇の一族の気持ちもわかるし、元気な卵を仮腹にしたいロイの気持ちもわかるし、優しいロイが悩むのもわかる。
私は自分の子が少しでも危険なら悪いと思ってもひび割れた卵は見捨てるな。
と薄情なことをか思いながらどうなるかとハラハラしながら読み進めました。
本当にタイミングが悪い。
ロアールが番を誘拐して来なければ、ずっとゼクシリアがそばにいれば、こんな騒ぎにはならなかっただろうにと思うと、まだ3歳だから考えなしだけど宝珠のせいで能力だけは高いロアールがこれからも色々やらかしそうで大変そうです。
側仕えはもう少し優秀な人にした方が良いのでは、と思ってしまいました。
この事件の元凶の元凶になってしまったし、本当に優秀なの?って思ってしまう。
とはいえ、ここでロイが決断しなければ、蛇一族の子供は生まれなかった可能性が高いと思ったらよかったのでしょう。
怒涛のような展開で疲れて読むのを休もうと思っても休むところがない。
一気に読んでしまう感じでした。
将軍と叔父さんのスピンオフがあるのかなと思ってたら、もう出てたんですね。
知らなかったので、梟の長の胡散臭さとかその辺りがよくわからなかったです。
今作の怒涛の展開は面白かったけど、前作に続いてのフルスロットルな感じでちょっと疲れました。もし続きがあるなら、もう少しゆっくりな感じの話が読みたいです。
とにかく滅多に生まれないと言う宝珠が2人も産んだロイはまだまだ産んじゃうかもしれませんね。
それにしても早くからつがいが見つかったロアールは幸せですね
バツイチ医者と恋人に捨てられて自殺した幽霊
バツイチになった内科医の那須川(攻め)は町並み保存地区の風情ある一軒家を購入引越しをします。が、そこは裏吉原と言われる場所だったらしく、夜になると男花魁や禿たちの幽霊の溜まり場になるのでした。
悪さをするわけでもなし、すっかり慣れてしまった頃、令和に死んだと思われる綺麗な男性の漣(受け)がやってきます。
他の幽霊とは会話ができないのですが、なぜか漣とは話ができ、話すうち少しづつ距離が縮まっていきます。
那須川は親が敷いたレールに乗り、兄が大学病院に勤めたいということで、医院の跡を継ぎ、見合いで結婚し、とずっと言われたとおりの人生を生きてきましたが、父親が亡くなり、妻には浮気されて離婚し、これからは自分の人生を生きようと心機一転、引っ越したのでした。
結婚も恋愛もこりごりと思っています。
思いがけず始まった幽霊の漣との生活が思った以上に楽しく、仕事から帰ってくるのが楽しみになっていきます。
那須川が言うどんな名医でも治せない病は『絶望』
自殺した漣にとってすごく救われれる思いがしたのではないでしょうか。
絶望して自殺した漣が毎日楽しそうにしていて、2人が恋人になり、ついに幽体なのに本懐も遂げて良かったと思う反面、いつ満足して成仏しちゃうかとドキドキして読んでいたら、そっちかーってなりました。
那須川の兄の行動は那須川の立場だと腹立たしさしかないけど、兄の立場からしたら、かの牡丹灯籠でも亡霊に生気を奪われて死んでしまうのですから、仕方なかったと思ったけど、それでも抜け殻になってしまった那須川が『絶望』してしまうんじゃないかと心配したし、漣がめだかに転生してくることを願って庭にビオトープを作り出した時には、壊れたのではと本当にヒヤヒヤした。
連が結構な年上が好きなのは母子家庭で育ったことが原因かな。
そして、漣が幽霊だったからこそ恋人になれた2人。そうじゃないと医者としての社会的立場が邪魔して恋心すら芽生えなかったかもしれないと思うと、2人のそれぞれの失恋は運命だったのですね。
傷ついた2人が寄り添える存在を見つけることができて本当によかった。
シェアハウスでの同居から同棲へ
まだまだ売れないクラフト作家の小糸(受け)は大学生の時から住んでいる格安シェアハウスに未だに住んでいます。
大学の移転に伴い入居者が減り、とうとう後輩の八木(攻め)の2人だけになってしまいました。
月2万という超格安で2人しか入居者がいないとなると採算がとれているのか不安になるくらいです。作品作りに集中するためバイトもしていない小糸の収入では引っ越すこともできず、いつ廃業の通達が来るかと不安に思いながらも、感性の近い八木との生活は快適なこともあってずるずると居座っているのです。
そんな頃家主の孫が帰ってきて事態が動き出します。
雑誌掲載の小糸視点と書き下ろしの八木視点で話が進みます。
両片思いだったけど、小糸は初恋で失敗していたし、八木の方もひよってしまってなかなか進みません。
BLを普通に読んでると気づかないけど、バイセクシャルの人は自分が男性も恋愛対象だと認めるのはきっと大変なんだろうな。
それにしても八木は意地悪だなー
黙っていれば、ちよっと満たされないかもしれないけど幸せになっただろう兄に、自分が選ばなかった幸せな未来を見せられて、絶対後悔してると思う
そして、小糸に相談できる友人(瞳)がいて本当に良かった。彼女の存在がなかったら、小糸はもっと生きづらかっただろう。
小糸に、覚悟があったのが一番だけど、なんだかんだでうまくいきそうで良かった。