戦争で活躍した英雄の騎士団長と騎士団所属の料理人
国旗沿いの村の定食屋出身のアイル(受け)は第3騎士団の食堂で働いて2年。
先の戦争で戦地のすぐそばだったアイルの村を守ってくれた第3騎士団に感謝しながら料理を作っています。
その中でも1番の功労者シャルゼス・グライアー(攻め)が第3騎士団団長として就任すると聞き、感謝を込めて自分の料理を食べてもらいたいと思います。
が、団長が食堂に来ることはなくがっかりしていると、夜な夜なアイルの練習食を食べに来る不審な騎士ゼスがやってくるようになります。
やさぐれた感じだったゼスがアイルの料理を喜んで食べるようになり、それが嬉しくてますます料理の練習に気合が入るようになるアイル。
そんなある日、アイルは神殿に呼ばれ、アイルの料理に治癒の力があると告げられます。
どのような過程でどのくらい力が入れられるのかといったことを調べるため神殿に通うことになるのです。
ゼスは早くにこのことに気づいていたようで、実は騎士団長であることも教えられ、騙されていたのかとショックを受けます。
神殿に通い神殿長と炊き出しなどに参加し、自分の料理を喜んで食べてもらえることに喜びを感じ、それが治癒力を高めるということもわかってきたころ、隣国に熱病の後遺症で苦しむ患者が多くおり、助けて欲しいと要請されるのです。ゼスと心を通わせるようになったばかりなので悩むアイルですが‥
治癒能力をどうやって使いこなすのかとかゼスと仲違いから両思いになるまでは穏やかな感じで読んでいましたが、隣国の病気の話から不穏になってきます。
こんな貴著な存在をゼスですら大切にしないのがすごく不思議でした。他国に知られたのならいつ拐われるかわからないのに。
治癒師というものが多くいる隣国と違ってあまり恩恵を感じてないとはいえ、複数人を一度に治癒できる能力は戦争が終わったばかりのこの国ならその価値がわかると思うのですが。
案の定、拐われてしまうし。
拐われてからはハラハラドキドキでした。
無事に再会を果たしましたが、結局アイルの人の良さが利用される形に終わった気がしてなりません。
一年で迎えに行くって言ってるけど、そんなので返してもらえるかどうか。この能力があれば戦争だってすごく有利に進めるし、なんだかんだアイルの心根の優しさに漬け込んで返してもらえないのではないでしょうか。
心配でならないので、今から旅立ちますで終わるのではなく、それから一年たったとこで無事に戻ってきて再会して結婚しましたとかまでやって欲しかったな。
キャラの性格は全員違っていてもストーリー通り
前世の最推しオルシス(攻め)の義弟になったことに気がついたアルバ(受け)が知ってる知識を余すことなく利用して皆に協力してもらってラオネン病を完治させることに成功させたのが前巻。
死ぬ恐れがなくなったことで終わりではなく、乙女ゲームはまだ続いてています。
ゲーム通り宝玉に魔力を注入しなければならないのですが、最重要秘匿事項なため確認するのが難しく、じれじれしながら進み、とうとう各領で魔物が現れるようになるのです。
とうとう今作で乙女ゲームのトゥルーエンドまで進みます。色々とゲームと違うけど誰も命を落とすことなく、国の危機に果敢に立ち向かうアルバと攻略対象者とその保護者。
アルバは相変わらずです。
どんな時でもオルシスの新たな一面を見ては大喜びで、緊張感がいい感じで削がれます。
ずっとやりすぎな兄弟愛で話は進んできましたが、ここにきてそろそろそんことは言ってられない展開になってきます。
次巻できっと2人は結婚することになることでしょう。楽しみです。
そして、性格の悪い国王に王太子に罰が当たりますように。
先祖の愚行で女神の加護を失った公国の王と女神に転生させられたコンビニバイト
コンビニバイトをしていたナナキ(受け)は客に刺され死んだと思ったら女神と出会い女神の世界に転生させられ、お相手も決められていました。生きるのに疲れていたのもあって、死なせて欲しいと思っていたのに余計なことをと反抗するのですが、願い虚しく転生させられてしまいます。
お相手は先祖の愚行によって加護を失い国の守りがガタガタになってる公国の王ルドヴィクス(攻め)。
ナナキもルドヴィクスも出会った瞬間惹かれるのですが(女神の祝福というか呪い)、ルドヴィクスは人を愛したことがない為、つがいになってもらうのに傲慢な態度が表に出てしまうし、ナナキはルドヴィクスが舞踏会で仕方なく踊ったたくさんの女性の残り香が鼻についてわれ知らず嫉妬しまくりで反抗してしまいます。
拗れた2人はつがいになって国に加護を戻すことごできるのか。
初め、ナナキにつけられたメイドが気に入らなくて仕方なかった。
いうこと聞かないなら泣いてやるって、メイドって偉かったっけ?ありえない。
そして、泣かれるのが嫌だからということ聞くナナキにもイラつきました。
女神に好きになる人を決められるなんて呪いと同じだと思って、マイナス感情から読み始めましたが、暗殺されそうになったり、女神が愛する狼の子供を預かることになったり、駆け落ちした2人に助けてもらったり、ルドヴィクスが表向き活動するために二役しているラティスという騎士が接触してきていい雰囲気になったり、色々ありましたが、なかなか2人の仲は深まらないなと思いながら、楽しく読みました。
なんと言っても仔狼と駆け落ち夫婦との出会いがナナキの心を守ってくれましたね。
あんまり都合良いタイミングで駆け落ちしてきてたので誰かの差金かと初め疑ってました。
特に夫のサンチョがナナキの不安を汲んで、ナナキが役目を全うしないと国が滅んでしまうと聞いても、自分たちの都合を押し付けたりしない本当にいい夫婦で、彼らにとっても公王と繋がりをもててwin-winな関係ではあるけど、女神の贈り物かと思ったくらい。
色々あったけど、劇重男2人でこれからも仲良く国を治めていくのでしょう。
せっかく子供ができる仕様に変更されたんだから子供も見たかったな。
それがちょっと残念。
騎士だと思ったら木こりだったα ✖️ 幸せになることに貪欲なΩ
同僚のΩが善意で助けた見窄らしい怪我人が実は騎士で結婚の申し込みされ幸せになったのを知り、自分も騎士の嫁になると意気込んだΩのランティ(受け)。
普段から周りをよく見ているランティはやはり見窄らしいけど筋肉のつき方からして絶対αで騎士だと確信した男ガォルグ(攻め)を親切にして自分を売り込み嫁に貰ってもらうことに成功します。
が、ガォルグは実はチョー貧乏な木こりだったのです。
ガォルグは普段から言葉が足りず、家に着くまで全く説明がなく、ランティはあまりのショックに号泣します。
が、そこでへこたれません。騎士と結婚したかったのは幸せになりたかったからなので、木こりが夫ならここで幸せになるまでと大いに張り切り、絶望的な貧乏から貯金ができるまでになります。
そんな時、ガォルグが隠していたものを見つけてしまいます。
自分の勘違いで騎士に嫁いだと思ったらきこりだったことに大泣きしていたランティ。
誰にも八つ当たりせず自分の自業自得としたのは潔くて良いと思ったけど、ガォルグの前で本当のことを言ったのはいただけないな。
それは本人には隠したほうがよかった。自業自得だと思ってるなら余計に。
とはいえまだ17歳ですから、それはちょっと難しかったかな。
とはいえ、ガォルグも早々に離縁されるのではと覚悟するくらいの嘆き方でしたが、泣き疲れて熱を出し目が覚めたら、ランティは開き直っていました。
「僕はここで幸せになります」と宣言して。
Ωだからと親に捨てられずにちゃんと学校に行かせてもらっていたらさぞかし優秀だっただろうと思うとちょっと惜しい。
でもだからこそガォルグに出会えたのですがら、今までの苦労はガォルグに出会うための修行期間だったのですね。
小売を飛ばして直売を思いつくなんて賢い、
がめついし、計算高いけども、自分を卑下しない、自分の良いところはちゃんと理解していて、かつ褒められても否定したり恥ずかしがったりしない。そうでしょうそうでしょうというのが可愛いし、すごく良い。
こういう子大好きです。
一生懸命すぎて、あんまり色気はないですが、そんなランティに振り回されているガォルグを見ているのも楽しい。2人がお互いを振り回してたり、すれ違ったり両片思いの時間が長いけど、ストレスなく楽しく読めました。
一つ気になるのが、勝手にランティに横恋慕し、自分のものにならないからとΩを下に見る発言をして暴力まで振るってきた、騎士志望の青年はどうなったのかな。
みんなの前でやったことだし、騎士になる資格なしとして、牢屋にぶち込まれてたら良いんだけど
それだけが気がかりではあるけど、とても楽しいお話でした。
人のそばにある神の世界のお話
桃の精霊で珍しい男体のモモ(受け)は精霊の主目的、自分の花を咲かせることを夢見て今日も土地神に嫁入りを打診していますが、良い返事はありません。そんなモモに北の土地神がお似合いと他の精霊が揶揄いまじりに教えてくれます。
化け物のような容姿だと評判の最北のの土地神ですが、なんとしても自分の花を咲かせたいモモは嫁入りの打診を手紙に認めます。
すると、なんと了承の返事が。
喜んで嫁に行くのですが、嫁入り日時を伝えて間違えて凍死寸前になるわ、土地神の部屋で寝こけてるわ、助けてくれた北の土地神を別人と勘違いするわと散々な失態を重ねてしまうのですが、自分のことを「キタさん」と呼べと気安い態度をとる北の土地神は陰気で冷酷という噂とは真逆のチャラい人柄で驚きます。
最初から好意全開のキタさん(攻め)に戸惑うモモは大切に大切にされ速攻モモの花を咲かせてもらって幸せいっぱいで、今まで男体だと揶揄われて自信のないモモが自己肯定感を高め、きれいになっていく姿がとてもほのぼのしていてとても良いです。
ただ、なぜこんなにキタさんがモモに対してこんなに好意的なのか不思議に思いながら読んでいたのですが、話が進み理由も分かり、2人で幸せにと思ったところで試練が訪れます。
もう読んでいて辛くて、きっとなんとかなると思いながら読んでたのに、どうしようもなくなってしんどくて、でも心を決めたモモは強かった。神の知らない奇跡が起きたのではないかな。
ハッピーエンドになった時は本当に良かったし、危機的状況になった時は読んでて辛かったけど全体的にはほのぼのしていて幸せな気持ちになれるお話だったと思います。
キタさんは南の土地神とかと比べてとても人間味があって人間界に染まってて、スマホとか使いこなしてて神様っぽくなくてびっくりでした。だからこそ他の神と違ってモモを思いやれるのでしょう。
そして、キタさんの御使いの雪虫が本当に可愛くて脳内アニメにすると絵面が本当に楽しいかったです。2人と雪虫と末長ーく幸せにねと思って読了しました。、
何事にも動揺しない大学生と二世俳優
両親が大物俳優で姉は美容インフルエンサーの碧(受け)は赤ちゃんの時から業界にいる芸歴だけは長い俳優。
大ファンの監督の映画に念願かなって出演できることになったのですが、自分がやりたい役は別にありオーディションを受けるも落選。その役を射止めたのはたまたまピザの配達に来た森田(攻め)でした。
映画に全く興味もなくやる気も感じられない森田が気に食わない碧でしたが、強烈なナニか持ってるとわかるので気になってしかたありません。
色々吹っ切れた碧は、同い年で業界のことを何も知らない森田に色々教えたり、友人のような関係になるのです。
最初、碧は事務所の方針通り優等生な内面を見せていたのに、尊敬する監督にそこに居るだけで認められた森田のことが気に入らず喧嘩をふっかけるのでびっくりしました。
そんな行動をとる何かが森田にはあったのだろうと思っていましたが、その後の森田に連絡したくてたまらないと言った行動から、好きの裏返しだったのかと思いながら読んでましたが、最後には一目惚れって認めてたんでやっぱりなと思いました。
2人の恋愛は割合あっさりで、業界人と一般人の感覚の違いでちょっとすれ違いあるけど、それも解決して、何かあるのかと緊張しながら読んでましたが、過去の碧の恋人の暴露話が出てきて、そうきたかーと。
不倫していたわけでもなく、夢を売ってるアイドルなわけでもないので非難される謂れはなく、ゲイということを世間がどう思うかが碧にとっての試練でした。
事務所側は完全否定徹底抗戦でしたが、ここで今まで箱入りで自立してないという自分から卒業したいと思っていた碧はこれ機会に自分で決めることを決意するのです。
森田は年に一度はなんらかの騒動に巻き込まれる不思議な家族で(家に雷落ちて全焼その後庭から金庫出てくるとかひったくりを捕まえたら手配犯で表彰されたとか)、騒動には慣れてるからか全体的に泰然としていて、年齢以上の安定感があります。
こんなだから、配達に来ただけなのにその場でスカウトされ、気負いもせずにテレビに出演するなんてことができるんでしょう。
森田家の今までの騒動の数々もっと知りたいなと思ってしまいました(笑)
これまで周りに迷惑をかけないよう良い子でいた碧が自分を出すことができるようになってよかったです。
本当の両親や歳の離れた姉は血が繋がっているだけで家族ではないけど、ラジオMCの真理ママやスタッフの人がその役割を担ってるってのが両親たちに思うところはあるけど、碧的にはそういう人たちがいてよかった
不治の病を克服したアルバ(受け)
アルバの魔法属性が希少属性の「刻魔法」だと発覚。
この魔法は自分の意志関係なく発動する上、発動すると魔力を際限まで使うため、『ラオネン病』を克服したにもかかわらず、相変わらず油断できない毎日を送ることになっています。
「刻魔法」は有益な情報が手に入ることから、周囲にバレると人権無視で王家に酷使されることがわかっているので、義父を筆頭に信頼のおける人間だけで情報を共有していきます。
不定期に起きる「刻魔法」による情報を使い義父が動いて乙女ゲームで起きるはずのイベントをあらかじめ潰していくのです。
とうとう乙女ゲーム本編が始まりました。
主人公が、オルシス(攻め)を選んだらどうしようと不安で仕方ないアルバです。
ただ、アルバが持ってる知識を義父やオルシスに話しているため、ゲームとしては破綻している状態です。なので、どうなるのわからないのもあって不安なのです。
この頃には自覚なしのオルシスへの恋心に不安になるアルバの様子が多くなってきています。気がつくのはいつでしょうか。
相変わらずオルシス第一主義のアルバのきゃーきゃー言ってる話でした。
そして、主人公ミラは思ったのと違う男前な子(女性)でした。初めの印象は悪かったのに、どんどん印象が変わって、国に人生を狂わされた気の毒な人。でも、前向きで俯いたりしない(時々泣いてるみたいだけど)逞しい女の子でした。
印象も良くて、何もなければオルシスととてもお似合いに見える。
もやもやするアルバに早くオルシス動いてーって感じでした。
まだまだ国の危機は終わってないのでそれどころではないのですが。
恋愛イベントが進んでないのに、国の危機は確実に迫ってきていて、最終イベントだけが迫ってきていることが示唆され、不安の残ってしまいました。
それでも、アルバにも友人ができて、楽しく学校に行ってる姿はとても癒されます。
彼らにはずっと仲良くしてほしい
気がついたら男爵家嫡男として転生していたアルバ(受け)。
父を亡くした母が公爵に見染められアルバも共に公爵家に養子に行くことになります。
そこで出会ったのは前世で廃課金ヘビーユーザーとして推しに押しまくっていた乙女ゲームの攻略対象の公爵令息オルシス(攻め)でした。
アルバはゲームの中に話だけ出てくるオルシスの『思い出の弟』だったのです。
アルバは命の源である魔力の放出を自力で止めることができないラオネン病という9歳まで生き延びた患者はいないという不治の病でした。ゲームでアルバは既に亡くなっていて、父親に溺愛されていたアルバをオルシスは可愛くもあり憎くもある複雑な感情をもっていました。
そのことがオルシスにとっての負い目になっていることを知っているアルバは最押しの笑顔を守るため、ゲームの知識を駆使してなんとか生き抜こうと誓うのです。
アルバのオルシス大好き具合は天元突破していて全ての行動の理由にはオルシスの存在があります。
心臓に負担がかかることで発作が起きるのですが、オルシスが好きすぎてオルシスと一緒にいることで余計に発作が起こるのですが、それでも大好きなオルシスと少しでも一緒にいようとするのがあきれるほどです。
何度死にそうになってもオルシスがいるから死の淵から戻ってきてるくらい。
そんな溺れるような愛情を貰い続けるオルシスもアルバがいないと生きていけないくらいになってしまうので、アルバの粘り勝ちですね。
この巻では病気の特効薬をゲームの知識を先取りする形で見つけるところまでなので、兄弟としてのイチャラブしかありませんが、とても楽しく読めます。
これから、乙女ゲーム本番になっていきますが、らどうなっていくのか楽しみです。
騎士団長と文官
文官のリオネル(受け)は最年少の騎士団長として皆の尊敬される幼馴染のアルベルト(攻め)を苦手に思っています。
が、なぜかアルベルトはリオネルに絡んできます。
ある日、何故か魔獣の調査に駆り出されてしまったリオネルは建国神話に出てくる『聖なる森』の魔獣に出会ってしまいます。びびって体が動かないリオネルを助けたのはアルベルトでした。
が、アルベルトは致命傷を負ってしまいます。その時何者かに願いを叶えると言われたリオネルはアルベルトが死ぬ未来を消してほしいと願います。
気がついたら、なぜかリオネルは時を戻り、仕事やも騎士それも副団長という重責を担ってにいました。
その上末っ子だったのに長男になっていたり、ただ時を戻ったのではなく違う世界線に移動したようでした。
騎士として鍛え直しながら、やり直し前の事件を潰していくリオネル。今度こそ魔獣からアルベルトを守れるのか。
やり直し前のリオネルは卑屈でとても好きになれません。
アルフレッドが命をかけて守ってるのにビビって動けなくて、なのに好きな人がピンチになったとたん庇いに行ってしまって台無しに。
アルフレッドが可哀想になりました。
が、巻き戻ってから騎士として自分にできることをと頑張る姿はとても好感がもてます。
リオネル視点なのでわからなかったのですが、実は巻き戻る前から文官の仕事としても密かに一目置かれていたリオネだったので、急に変わったわけではなかったのですが。
前の世界線で実際起こったさまざまな事件を未然に防いでいき、自身も鍛え、とうとう魔獣が出現する時が来てしまいます。
普通の巻き戻りと違っていたので、本来のリオネルがどうなったのか非常に気になりながら読み進めました。
最終的にはリオネルの後悔を消すことができ、アルフレッドからの告白も聞けて無事2人は(アルフレッドの策略勝ちな気もする)付き合うことになり大団円と言って良いのではないでしょうか。
ただ、あちらのリオネルは大ピンチだったのでとても心配だったのですが、あとがきで大丈夫そうなのでホッとしました。
あの世界線のアルフレッドの聞けなかった話ってなんだったのでしょうかね。普通に告白かな。
巻き戻りなのに普通じゃなくてちょっとハラハラしましたが、楽しいお話でした。
アルフレッドは意外と腹黒でしたね
似た境遇の2人
生花店で働く叶(受け)は叶の作るブーケを気に入ってくれた常連の松本から大きな仕事を依頼されます。
怖気付く叶の背中を押してくれたのは店の四葉。
身だしなみを整える一環で荒れた指先の見栄え良くしようと四葉に紹介された男子限定のネイルサロンへと足を運びます。
そこにいたのは華やかな見た目のネイリストの生蔦(攻め)でした。手を他人から触れられるのはのは初めてで恥ずかしったけれど、心までほかほかになり大変満足します。指先を美しくしてもらってからすこし前向きな気持ちになるのです。
それ以来、生蔦のことが気になって何度もサロンに通うようになります。
叶は幼い頃母親と妹を海で亡くし、養護施設を経て遠縁に引き取られました。
が、新しい両親に教育虐待を受け、両親の望む通りに育たなかったため、養子をもう1人迎え存在を無視されるようになり、外聞のためだけに家族でいることを強要されています。
耐えられなかった叶は大学から家を出て独り立ちしていますが、行事ごとに呼びつけられては傷つけられています。
その生い立ちが叶に自信を無くさせています。
そんな叶に四葉や松本、生蔦たちが背中を押してくれるのです。
5歳歳上なだけですが、叶にとって生蔦はとても大人でなんでも冷静に考え行動できるように感じて精神的に頼ります。が、生蔦は年上のプライドでちょっと無理しているだけなのです。同じような生い立ちの叶に共感できるのが2人にはとても大きいのだと思います。
叶の義両親はかなり酷い人たちですが、義弟はうまくやっています。
これは同じく施設出身でも家族の愛を知っている叶と全くない義弟との違いだったのでしょう。嫌な態度の義弟でしたが彼は彼で居場所を作ろうと必死な気の毒な人だと思います。
縁を切るという行動が取れて本当によかった。生蔦の存在が大きかったでしょう。
2人の恋は激しく何かあるというわけではなく、流れるような感じでした。
どちらかと言うと、義家族とのわだかまりから解き放たれる話だったように思いました。
2人がこれからお互いに良い刺激を与え合って前に進んでいく日々がきてよかったと思いました。