ウサギ族のメイ(受け)はひょんなことで知り合った警備会社社長でオオカミ族の雅影(攻め)と契約結婚することになります。
メイの能力を周りに不信感持たれず雅影に使用するためにされた契約結婚ですが、2人の相性はとても良く、とても「契約」とは思えないほどの熱々夫夫ぶりです。
メイの能力は弱い癒しの力で、常に嫉妬や呪いにさらされている雅影を癒しながら、2人の仲もどんどん深くなっていくけど、メイはこれは「契約」だからと自分の気持ちにブレーキをかけるのです。
ウサギ族のメイは弱い癒しの力を持つ「聖女返り」。
ウサギ族は危機察知能力が高いとか俊敏などの能力あるのですが、メイはその能力ゆえウサギ族特有の能力がなく、その上癒しの能力も弱く、側から見ると「どんくさい子」でした。
とはいえ、癒しの力が弱いため人に利用されることなく普通の生活ができていたともいえます。
今回、この能力が雅影たちにバレ、常に妬まれ呪われている雅影の体調のため、ちょうどお金に困っていたメイにとっては高額バイトのため、契約結婚をして常日頃から雅影を癒す仕事を引き受けるのです。
2人は「契約」とブレーキをかけてはいますが、特に雅影は最初から好意全開で、色々鈍感なメイもなんでも受け入れてしまうので、最初からラブラブ夫夫でした。
ずっとラブラブですが、しつこい雅影の呪いだけが不安の種で、早々に犯人は予想できるのですが、尻尾を掴むために野放しにしていて、2人の仲が深まり、犯人が捕まり、ちゃんと夫夫になるまでを楽しく読ませていただきました。
ケモミミのあるお話では良くあるとは思いますが、感情を何よりも雄弁に語る耳と尻尾が2人とも可愛すぎてニヤニヤしながら読みました。
自己評価の低いメイに対して雅影の口説き文句がすごい。あれ息継ぎなしで言ったのかな。
枷のなくなった雅影のゲロ甘なセリフには、今までの冷静さはどこへとばかりで、激甘でした。
砂吐きそう。
ただ、身内だからと言って犯人の罰が軽いのがちょっと不満かな。
死ななかったかもしれないけど、それは雅影の身体能力のおかげであって、本来なら死んでしまうもしれなかったものに対して、地獄の特訓だけなんて、それは特殊任務の社員ならがんばったらやれる特訓なわけで罰とはいえないと思う。
莫大や賠償金を課して、それを払い終わるまでタダ働きとか、犯罪者にならないだけマシでしょって罰にでもしてたら、溜飲が下がったんですけど、この2人にとっては本当の夫婦になったことで全部どうでもいいんでしょうかね。
とはいえ、とても甘々で楽しいお話でした。
田舎での運命の出会い
脚本家の怜久(受け)は、超絶スランプに陥り、気分転換を口実にして少し前に相続した田舎の民家に逃げてきました。
が、都会育ちの怜久には処理不可能な事態の連続に四苦八苦する日々。
それをフォローしてくれるのが、近所の何でも屋さん藏乃介(攻め)でした。
スランプからは全く脱出できず足掻く怜久に藏乃介が便利屋でバイトをしないかと誘ってくれるのです。
取材と称してできる仕事を一緒にしていくうちどんどん藏乃介にら惹かれて行ってしまうのです。
雑誌掲載の表題作と書き下ろしの続編の2篇編成で、どちらも怜久視点の話になります。
前編は2人がくっつくまで、続編で怜久の仕事の進展と2人の初めての試練について
田舎暮らしあるあるが散見する中で仲が進展する様を楽しく読ませていただきました。
近所に人が勝手に入ってくるとか。
慣れてると全くなんとも思わないんで、ちょっと前に芸能人がそれで不祥事になってましたが、あの時は都会ではそーだよなーと、妙に納得したことを覚えています。
後編では仕事の光明が見えたと思って楽しい話と思ったら当て馬もどきに振り回される話でした。
私としてはそれよりは怜久の仕事関係のその後の話もう少し読みたかったと残念に思いました。
全篇にわたっていろんな感情が芽生えるたびに怜久がそれを興味深く咀嚼してるのが脚本家(作家)としての才能なのかなと面白かったです。
前編の最後にタイトル回収があって、不思議なタイトルだと思って読み始めたので妙に納得しました。
楽しいお話ありがとうございました。
キングスリー家の箱入り息子レイモンド(受け)は15歳になったある日頭を打った拍子に前世の記憶が蘇り、自分が転生していることに気が付きます。
しかも、自分が読んでいた物語の中の登場人物で、第二王子ブラッドフォード(攻め)の側仕えとして仕え、ブラッドフォードの政敵に脅されて第二王子を毒殺する悪役令息なのです。
ストーリー通りにならないようにしようとするのですが、うまくいきません。
歳の離れた兄からもらった日記帳。
この日記帳にはなんらかの魔術がかかっているのか、神の采配か、書いたことが叶ったりするんですね。
でも、ストーリーを大きく変えることはできなくて、政敵兄弟の怪我を小さくしたりはできるけど、毒殺されるのを防ぐことはできない。
側仕えにならないようにしていても、なってしまうし、政敵に脅されるし。
とはいえ、側仕えにならないようにすることはできそうだったし、政敵たちに脅される現場はわかってたのにそのまま盗み聞きしてたから捕まるし、レイモンドの選択のせいで、物語通りになってしまうのを呆れた気持ちで読んでいました。
箱入りなのはわかってたけど、前世の記憶がでてきたのに箱入りのまま。
危機を回避したと思ったら油断してやっぱり毒を盛られて、解毒剤を作ることもできず、できることは祈るだけってポンコツすぎる。
毒殺が避けられないかもと思った時点で、解毒剤を考えとくとかなかったのかしら。
レイモンドが転生者じゃなかったら、箱入り息子が流され流され奮闘する話としてほのぼの読めたと思うのですが。
転生ものだからこそ、わかってるのになにしてんのと思ってしまって楽しめませんでした。
最後は。ストーリー変わっしまううのになぜ、日記帳に命令として書いたことが実行されたのかもわからないし。
転生ものだと、知識や先がわかっているからこそどうやってそれを回避するのかが楽しみなんですが、結果オーライになった感じで、消化不良気味です。
王国の危機が去ってからの彼らのその後。
とうとうアルバ(受け)が乙女ゲームの舞台の学園に入学します。
前世を思い出した時は10歳まで生きられない病気だったからこそ、最推しのオルシス(攻め)が通っていた学園に制服を着て通えることに感無量です。
中等学園3年の時は、周りは失脚した第一王子サイドの人ばかりで味方がいなくて寂しい学園生活だったのに対し、同じクラスにセドリックがいて、隣のクラスにはジュールがいて、2人でまだ健康とは言い難いアルバの面倒を見てくれるし、周りはアルバサイドの人間ばかりなのでとても楽しい学園生活を送っています。
アルバと同じく、ラオネン病で刻魔法の持ち主が現れたり、乙女ゲームのイベントで現れた竜が大量発生して退治したり、魔法陣技師資格を取ったり、オルシスとの仲もラブラブだしと、とても楽しいお話でした。
ただ、一つ不満なのは、アルバの自分のことをへっぽことかちんくしゃとかいうのがちょっと気に入らない。
公爵が溺愛する母や妹リーナと同じ顔なんですよ。可愛いに決まってるじゃないですか。
自分の顔が母と妹にそっくりで彼らはすごく可愛いって認識してるのに、どうしてそんなに自己に当てはめないんでしょうね。自分を下げることは溺愛してくれるオルシスに対して失礼だし、母や妹も可愛くないって言ってるのと同じなのに。早く気づいて欲しいものですね。
そして、学園ではセドリックやジュールが側にいるからなくなったとはいえ、アルバを他の貴族令息がいじわるするの理解できないんですよね。
養子とはいえ、王族を除いて一番上の爵位なのに爵位のことを理解してないのかな。セドリックにはやらないのに。アルバが優しくて報復しないから舐められるんだろうけど。
オルシスや公爵に知られたら絶対報復されるのに。
一度彼ら視点で見てみたい。何考えてるのか。
大体、すでにそれで廃嫡の危機になったアドリアンや、土下座した伯爵令息がいたの忘れてるんかな。
オメガであることで永らく塔に幽閉されていたハウザイクス王国第一王子シオン(受け)は人質兼側室として大国カルドシアへと売られます。
長い幽閉生活で感情を無くしたシオンをカルドシアへ連れ帰ったのはカルドシア王国王弟で騎士団長のラルフ(攻め)です。
カルドシアに着いて、シオンが幽閉生活の弊害で成人してるにも関わらず発情期がまだきておらず、「発情不全」だと診断されます。
カルドシア王ヴァレリーはラルフに対し、シオンの発情不全が治るまで面倒を見るように命じ、シオンはラルフの部屋で面倒をみられることになります。
雑誌掲載の表題作と書き下ろしの2篇で、どちらも両視点で読めるようになっています。
第一王子であるにも関わらずオメガであるということで永らく塔に幽閉されていたシオンは、
10年もの間死なない程度の世話をされていただけな為情緒が完全に死んでいます。
塔に放置されていた本を暇に空かせて読んでいた為知識だけは豊富です。
売られるようにカルドシア王国につれてこられても、国王が冗談で脅してきても、ラルフに預けられて何をされるのか分からなくても、全く無表情に体を差し出そうとするのです。
カルドシアは竜人族を王とする国で、竜神族は全てアルファで竜体になって空を飛んだり炎を吐いたりすることができます。
一騎当千の力を持っている為、他の国を属国にして同盟国として守っています。
今回、同盟国の一つにシオンの国が戦争を仕掛けあっけなく負け、属国になってしまったのでした。
ラルフは母が自分を産んですぐに亡くなったことで、父や兄に罪悪感を持っていて、兄王ヴァレリーには逆らえません。
騎士としては優秀なれど、色ごとはからっきしで、シオンの世話もどうすれば良いのかわかりません。そこをヴァレリーの指南を参考に寄り添っていくことにするのです。
シオンの境遇には本当に同情するし、祖国のものたちには何かザマァ的なものがあっても良かったのではと思いました。
彼らは気まずく思うだけで何も失ってないのがちょっと納得できません。
それでも、ラルフによって(友人第一号になった元側妃のレティも)少しづついろんな感情を取り戻し、自分を大事にするというところまで成長できたことはとても良かったです。
途中から2人が両思いになって、側妃にならないといけないのにどうするのかハラハラしましたが、お兄ちゃんなヴァレリーはちゃんと弟のことを可愛いと思ってるんだなとこの2人の兄弟愛にもほっこりしました。
今作は兄弟が3組いて、シオンと弟、カルドシアの王と王弟、レティと弟、シオンたちは全くの無交流で、ラルフたちは仲良し、レティのところは愛情はあれどオメガとはこうあるべきという自分たちの考えから抜け出せずレティから見捨てられいて、三者三様の兄弟でした。
シオンは6歳で人付き合いの経験がストップしているからか、とても素直に心情を吐露するので(レティのアドバイスもある)ラルフが色々我慢するシーンが多発していてニヤニヤしてしまいました。
レティの想像通り、竜体になって火を噴きながら飛び回りたいと思ってたんですね。想像しただけでにやけます。
ラルフの溺愛具合はすごいことになってきたし、シオンは立派にラルフの代理を務められるくらいになったし、これからが楽しみです。
続編も出るそうなのでそちらも楽しみにしたいです。
2人のお子が生まれるといいなー
ブラコン王子と元サラリーマン
前世の記憶を持つ貧乏子爵令息ノアール(受け)は、三男で教育を受けさせてもらえないうえ、冷や飯食いになることがわかっている為、前世の知識を利用して錠剤を作ったりして、将来をいかに安定して生活するかを模索しています。
そんなある日、薬草採取をしていると、湖に浮いている人を助けます。
ひどい怪我を負った男を治療するノアールは心の底から男の傷が治ることを祈ります。
すると何故か重症だった男の傷が一晩で治ったのです。
男はこの国の第一王子カールハインツ(攻め)で、異母弟ネードハンネスを擁立したい失脚した元大臣により命を狙われているというのです。
ノアールの治癒の力に目をつけたカールハインツは愛人として王宮へ連れ帰ると言い出します。
貧乏子爵三男坊ノアールはサラリーマンとして生き、会社の記念クルーズで沈没し、最後の力を振り絞ってそばにいた少女を助けそのまま死んでしまったという前世の記憶があります。
死の寸前少女の親だという海の魔女から転生と何らかの力をもらったようなのですがよくわかっていません。
今回初めて心から死にかけのカールハインツを助けたいと「治れ」と祈り、力を自覚するのです。
愛人にして連れ帰ることなくない?
優秀だったら愛人辞めて側近にしてやるっていうなら初めから優秀なものを見つけたから側近にするってしたら良くない?
と思ったのですが、後々カールハインツの発言で、ひと目で気に入ってそばにおきたいと思ったようで、彼なりの辻褄は合っていたようですね。
王宮へ連れて行かれてからは、毒を盛られたら、解毒する毎日。
なんで公表しないのか。唆されている異母弟が罰せられのを避ける為に何度も死の淵から生還するカールハインツ。このブラコン具合がもどかしくて仕方ありません。
そして、ノアールのヘタレ具合にはもっとイライラしました。
おとうとのネードハンネスとの隔絶への引き金を自分が引きたくないからって先延ばしばかり。覚悟のなさに腹が立ちます。
結局、癒しだけじゃなかったノアールの能力で上手くいったけれど、あれは本当にネードハンネスの本当の気持ちなのかちょっと気持ち悪い結果になりました。
ノアールが伴侶になるにはこれが一番収まる結果になるので結果オーライなのかな。
大国アスタイダルカの第4皇子ナランツェツェギ(受け)(以下ナラン)は、政略で小国ハドゥマサルの王弟ダムディスレン(攻め)(以下ダムディ)と結婚することになります。
絵姿を見て一目惚れしたナランはダムディと仲良くしたいと思うのですが、自身に自信がないことや生来のいじっぱりが邪魔をしてなかなか打ち解けることができません。
毎朝毎晩食事の度に声をかけようとするのですが、直前で勇気は萎み、優にひと月経った頃やっと声をかけることができるのです。
亀のようにゆっくりと仲を深めていっていたふたりですが、不穏な密書が届けられ、それどころではなくなるのです。
雑誌掲載の表題と書き下ろし中編と短編になります。
表題作はナラン視点で、2人が本懐を遂げるまで。
書き下ろしはダムディ視点で出会いからの回想とその後の話。
短編はずっと後の世界の話となっています。
ナランは、生まれてすぐ母を亡くし、そのショックで父皇帝も体調を崩してしまい、歳の離れた兄たちとはあまり交流できず、家臣たちからはなんとなく軽んじられています。
そのため自己評価が低く、プライドだけはあるので他者に対して虚勢を張ってしまう悪癖があります。
はじめはこの小心でいじっぱり態度がどうにも嫌でナランを好きになれませんでした。
が、一生懸命なところが目につくようになるとそんなことはすっかり忘れてしまい、早くこの状態に気づいてもらえないかと思い始めました(笑)
2人がやっとこさ仲良くなってきたら、今度は敵対している国による侵略により、2人はどちらも王族としてなすべき事をなすために動くのです。
2人の覚悟、特にナランのダムディの為と国の為に命もかけた決意を即決できる胆力には今までのウジウジしていた第4皇子はどこへ行ったと思うほどでした。
戦争が絡んだことでナランの能力の高さが認識されるという皮肉な結果になりましたが、望んでいた国のために役に立つことができるようになり、ナランにとって良い結果になったことは良かったです。
ダムディ視点では、大国に挟まれた王弟という立場で騎馬隊長まで勤め、戦いに次ぐ戦いで擦り切れてしまった心をナランを愛することによって取り戻していき、弱くなってしまったと嘆き、それをも飲み込むことができるようになるまでが、とても楽しく読みました。
やっぱりナランは大活躍でした。
そして、ナランの師はずっと上手で、表題作からの伏線の回収も見事でした。
ただ、両親がいないからと風にも当てないように守ってきたという兄たち。間違ってる。
囲って蚊帳の外に置くのではなく、自分たちの中に入れて、やれることをさせて守るべきだった。
真意がわからなかった時は、初めは両親がいなくなったことで疎まれてるのかと思ったけど、説明もないからナランがそう思ってただけなんですね。
2人が本懐を遂げるとき、ナランが実地訓練受けてないって聞いて、ダムディはさぞかし嬉しかっただろうし、張り方を入れて準備してたってきいて、でも張り方はダムディのより二回りくらい小さいと実物を見せられた時のダムディの気持ちたるや。言葉にならない叫び声をあげていたことでしょう。想像すると楽しい。
話の展開が早くてとても面白かったです。
心を闇に染められた闇騎士と力のない聖女の息子で転生者
聖女の息子であるレビン(受け)は廃教会で幼馴染のテオフィロと共に魔王の闇騎士セト(攻め)に襲われたその時、前世の記憶が蘇ります。
ここが前世の自分がプログラミングしたゲームで、今がテオフィロが勇者として覚醒するための負けイベントで自分が死ぬ寸前だということに気付き、シナリオ通りに死のうと覚悟すると何故か謎の力が発現し、闇騎士の魔剣が無力化され死ぬことなくセトに魔王城へと連れ去られてしまいました。
セトは力を失った魔剣を元に戻すため、無意識に力を使ったのではないかと思われるレビンを籠絡しようと画策するのですが‥
聖女の息子として生まれたレビンは皆の期待に反して力を持っていませんでした。それゆえに『無力の二世』と呼ばれています。
そのレビンが負けイベントでテオフィロを勇者として覚醒させるために力を使って死ぬというシナリオだとセトに襲われる寸前に気がつくのです。
その後よくわからないうちに魔王城へ連れ去られて、掃除などの雑用をさせられたり、魔物の調教をしたりして、母国で『無力の二世』と言われて残念がられていた時と違って、レビンとして生きていけることに喜びを覚えるのです。
基本はレビン視点で少しセト視点。
レビン視点がメインなのでセトのツンデレぶりが徹底していて、待遇が突然良くなったのとか、なんと言われようと自分が関わってないと言い張るのが面白い。
闇に囚われていたセトが救われたのが本当に良かった。
レビンは聖女の力を大っぴらには引き継いでないけど、セトやテオフィロにとっては聖女でしたね。
そして、レビンと心も身体も繋がってからのセトの開き直りには笑いました。子供の魔物(もふもふ子犬)にさえ嫉妬するんだから。
とばっちりくらって可哀想に(笑)
ところで、レビンの夢はなんだったのだろう。種明かしがなかったように思うのですが。
私の読解力がないだけかな
個人的に魔王デュランテが面白かったので出番が少なくて残念でしたね。非情なところもあるけど、冷静に対応できる知性もあり、人間の王は完全に負けてましたね。
魔王が戦好きじゃなくて、人間たちは命拾いしましたね。
そうじゃなきゃとっくに蹂躙されていたことでしょう。
タイプの違う優しい2人のクロニクル
横浜から青山の大学通う千宙(攻め)は大学の入学式で一目惚れした秩父から通う菫(受け)と仲良くなりたくて、距離を詰めすぎず離れすぎずと絶妙な間取りで仲良くなっていきます。
通学が遠い菫が一人暮らしを検討していると知るや菫の気にいる物件を探し、ルームシェアへ持ち込みます。
タイプが違う2人ですがとても馬が合い、お互いを尊重しながら生活していくのです。
菫と千宙の2人それぞれの視点で、大学生活から社会人になってからの2人の生活を覗いてる感じ読んでいきます。
千宙は優秀で、それほど努力しなくても要領良く生きていけるタイプで就活でもたくさんの内定をもらっていました。
菫をとても大切にしているのですが、優しすぎて断れずに菫を泣かせてしまうこともありその度に後悔しています。
菫はほんわかのんびりというタイプですが、直感を大切にし、頑固なところもあります。
この話には悪い人が出てこないので、ストレスフリーで読めます。
同性の結婚が認められた世界線なので、初めから男同士とか考えることなく、普通に好きになって付き合うという感じに話が進むのですが、あらすじには書いてあるけど、本筋に同性の結婚が認められてるって話が出てこないので(最後の方にやっと出てくる)、同性同士ってことに誰も突っ込まないんだなーとちょっと不思議な気持ちで読んでいました。
2人が穏やかに時々困ったこともあったりしながら、これからも歩んでいくんだろうなとほんわかした気持ちで読めるお話でした。
初回限定フリーペーパー
北村がプレゼントしたクマリスのマスコットをどうやって手に入れたか。
北村がクリスマスプレゼントと一緒に篠崎にプレゼントしたいと思ったのは、篠崎がどうしても取れなかったと言っていたクマリスのマスコット。
今まで物欲がなかったせいでどうでもいい(北村にとって)ものは当たっていたのに、どうしてもプレゼントしたいと思ったマスコットは全く当たらず、ガラポン抽選を引いた数は優に100回以上。
同僚のアドバイスで神頼みまでして最後の最後で一等が当たり呆然とする北村の本気度がすこい。
こんなに愛されて篠崎は今度こそ幸せになれますね。
それにしても当たらなくて溜まりに溜まったボールペンとステッカーのその後の行方が気になります。