全4巻のうちの1巻目。
ずっと気になっていた作品で電子書籍での配信が始まっていたので購入しました。
前半の方で島を脱出してしまったりとかなりテンポよく進んでいきますが、読みやすくていいです。早すぎると感じることはありません。
攻めのレイはやたら強くて邪魔な人間を容赦なく切り捨てられる人ですが、そんな彼が作中でみせる大人になりきれない子どもっぽさがものすごくかわいいんです。
作中でも他の男性キャラクターからも年相応なところもあるんだな、などと言われていますが、「うたかたの寧日」ではその魅力が最大限に発揮されています。
レイは1巻の時点でチュールにかなり執着しているようだし、このまま姿を隠して生きていっても幸せなんじゃないのか?と思うのですが、結局復讐相手に対する感情や思い出などを捨てきれないところがなんだか好きです。
レイの復讐のきっかけとなる出来事や、彼の周りの人間については、読者にもほとんど主人公と同じレベルでしか情報を与えられていないので、チュールの知らない世界をたくさん持つレイのことがとても気になります。
夢花李さんの繊細なイラストも、いつもおいてけぼりのようなチュールの気持ちと合っていていいです。
この物語がどんな結末を迎えるのか楽しみです。