表紙やタイトルから切ない話なのかなと予想していたのですが、どちらかというとコミカルさが強く、主人公の涼平(受け)以外はポジティブな登場人物ばかりで楽しかったです。厳しそうな涼平のお父さんがチョビみたいなことするとか思わなんだ。
涼平が大倉(攻め)にプロポーズされ、実家に帰り、家族と過ごしつつ、中学からの過去をふりかえるというストーリー。同窓会で元カレに会ったり、大倉が実家に来たりと盛りだくさんの内容でした。
タイトルに直接関する内容はなかったです。前作「ぼくに溶けるアクアマリン」のスピンオフだからかな。前作では関係を微塵も感じさせなかったのに深海では実は…と思うと滾るものがありますね。
フェアで電子書籍が割引されていたので読んだのですが、発売当時とかもっと早く読みたかったと自分のチェック不足を悔いた作品でした。テンポが良いです。
一番のお気に入りは、大倉が家族に挨拶に来る場面。クッキー食べる妹と、ドン引きする両親がほっこりさを醸して面白かったです。元カレもすごく良い男です。
「嫌いな男」のスピンオフです。
「嫌いな男」のように雑誌掲載作品+書き下ろしの中編2作品も良いですが、1冊丸ごと書き下ろしも最高ですね!わくわくします。
今回の主人公の伊崎(受け)は、私の中では「嫌いな男」で完結していたので、今作品を読むにあたっての予備知識はぼんやりした印象しかなかったのですが、こちらを読み終えてから「嫌いな男」を読み返しました。幸せになって良かった!感想を書かれた読者様、OK出された編集様、書いてくださった安西先生に感謝です!
ちょっと昔(随分昔?)には、当時でも30代と50代の作品もありましたが、おじさんって了承してね、という雰囲気があらすじや帯にあった気がするのです。
この作品は40歳×30歳ですけど、そういう年齢注意は一切ない!良い時代になりました!! 安原(攻め)が、年齢の割に若くてぴちぴちというのでなく、筋肉はあるけど年相応というのもすっごくツボでした。
「嫌いな男」を読み返した後で読み返したら(←ややこしくてすみません)伊崎と元カレとの10年の重みが増して、どこかしら気を張っている伊崎が恋人になった安原に甘えてる姿が愛しかったです。元作品は読んだ方が良いですね、やはり。
現実のあれこれを忘れさせるファンタジーも楽しいですが、地に足がついた日常が舞台の作品はほんと幸せな気分になります。光るカケラのようなものが胸に湧くんですよね。雑に励ますとか、多幸感が上回るとか、ひとつひとつの表現もすごく好きです。飲み友達からの恋愛、社会人同士の恋愛が好きな方には超おすすめです!
作品は良いです。
文体に問題があるわけでなくファンタジーで、健気で真面目な受けにも、頼りがいがありそうな攻めも好感が持てます。
ただ、売り方が酷すぎ。
あらすじには「青年とおっさんが結ばれるまでの物語である」と書いてますが、この本では結ばれるどころか出会ったばかりです。辛うじて帯には「旅のはじまり」とありますが、はじまり過ぎる…。あとそういうの、あらすじにも入れて欲しいです。
延々と主人公の受けが酷い目に遭う場面が続き、287ページで終わりなのに、攻めと出会うのに220ページかかりました。ちなみに、その後、他作者の広告が13ページあります。多すぎる。
あとがきの最後にWEB連載版のQLコードがあるので続きを読んだのですが、この1冊目同様にカットすることなく収録した場合、一区切りつくまで5~6冊にはなりそうな長編でした。その後の続編もまだ連載中ですし。紙書籍でこの作品を読まれる方は、1冊目がほんのさわりに過ぎず、完結まで出版されたら5~6冊にはなると懐と心の覚悟が必要です。それと続編が紙書籍では読めないかもという覚悟も。出るんか?
最近は、漫画でも小説でも、明らかに続いているのに、「1巻」という表記をしない作品が多いです。「〇〇の章」とかあれば、続くんだろうなと予想を立てますが、WEB連載作品は特に多い印象です。
もう今は、本屋で手に取って表紙やあらすじで興味を持って購入する、という時代じゃないんだなと寂しくなりました。この1冊で完結なのか、続きがあるのか、作者や作品で検索して、感想レビューを調べて…をしないとおちおち買えないんだなと。
ここのレーベルはそういう販売をするんだなと覚えました。要注意です。
原作は小説、同タイトルのコミカライズ5巻目です。
同日に文庫版が発売されていますが、そちらは未読です。
そのため、コミカライズされた辺りの原作小説を読んだのは随分前ですし、コミック手にしたら大興奮で余裕なく、原作読み返すなんてしてないので記憶が激しくおぼろげですが、だいぶオリジナル入ってますよね? あれ、違う??
原作道りかもしれないですし、原作沿ってないかもですが、とにかく楽しいです。
気に入っている場面は、暁が乱暴な運転の車に悪態をつくところと、その後のアルの感想です。君アメリカ人だったやん、って笑いました。
そして、忽滑谷との別れが切ないかったです。うう。
巻末に木原先生のSSがあるのですが、これから5年後の話です。
5年後ですよ!その間、何があったんですか!これは6巻の2024年初夏までに続きの発表がありますよね!と期待でウキウキです。楽しみにしています!
幸せになりたいΩランティは、同僚が騎士に見初められたことから、自分もこれぞ!と思って街で出会ったαガォルグを口説いて嫁入りしたところ、ガォルグは騎士でなく木こりで…という始まりでした。
ランティは、世慣れている部分と無知な部分がある魅力的なキャラです。すごく可愛いですが、守られたがり屋でなく、自分の足で立って決める、そのぶん自分のことは自分が責任を取るというカッコイイΩでした。
騎士という単語はずっとつきまといますが、相手におんぶにだっこではなく、それがガォルグ、引いては自分の幸せになるからという変化も好ましかったです。
一番面白かったのは、んなわけないない!
お気に入りのイラストはガォルグがイケメン満載な、ランティ抱っこシーンでした。
とにかく二人とも、労を惜しまずキビキビよく働きます。こちらまで元気になるお話でした。
元保育士という経歴を買われた俊(受け)が、社長の郁之(攻め)の息子を世話することになるというストーリーです。
息子の晶郁は良い子なのですが、ある過去からベビーシッターに懐かず、特殊ヒーロー好きという共通点がある俊が保育士スキルで対応していくという展開が現実的でした。序盤の、とにかく特殊ヒーローの動画鑑賞ばかりさせているのとか。何の経験もない人が初対面でなかなかいきなり一緒に遊んだりできないし、とにかく見せとけという判断がリアリティありました。
母親との関係など息子の育成状況の方が気になって、相手への好感や告白が入った時に「そういやBLだったわ」と気づくくらいLOVEより子育てがメインの印象でした。
それと、攻めは別にそんなに不器用って感じでもないし、個人的には主人公のように素敵に思えるキャラでなかったので、萌えですがかなり中立寄りの評価でした。
あともっと君たち仕事しなよ。