受けとは、「受け入れること」。
今までは、「受け」とは、
セックスにおいて、女役のほうの係、つまりネコである。アナルに挿入される側の男性である。
という程度の認識を持っていた、まだまだBL初心者のワタクシでしたが。
この作品を読んで、「受け」の意味が自分のなかで変わりました。
受けとは、
相手の性器を受け入れると供に、相手の気持ちと性癖、更に相手の境遇や過去までも受け入れる人である、と。
勿論、「襲い受け」など、当てはまらないタイプもあるにはありますが。
様々な作品において、受けは優しかったり懐が広かったり、攻めよりある意味男前だったりするのも納得がいきます。
辰之は、あて馬というか凌辱された相手までも受け入れるという、殉教者ばりの情け深さを見せるわけですが。。
そこに関しては、望がすごく素敵なキャラクターだっただけに、切なさのほうが勝ってしまって、櫓木のことを辰之は許しても、自分は許せなくて少しモヤモヤしました。
ストーリーの内容やその素晴しさなどは、遅ればせてのレビューなので、皆様の解説に乗っかる形で、割愛させていただきますが。。
絵がほんとに素晴らしく上手い。安定したデッサン力でさまざまな角度から描かれた絡みのシーンも説得力があります。
ここでいう説得力:こういう体位でこうなってるのね、というのが2度見しなくてもわかるという。。自分語です。
皆様と重複するとわかっていても、絵の上手さは書かずにいられませんでした。
ベリ子先生、これから作家買いいたします。
読み終わった時の感情が多すぎて、評価とかしていいもんなんだろうか、と思ったほどでした。
かわいい、怖い、うれしい、悔しい、楽しい、腹立つ、悲しい、
読みたい、読みたくない。。
ストーリーは、先のレビュアー様達が書いてらっしゃる通り、下衆な攻めとピュアな受けのお話です。
攻めは不器用を通り越した下衆さ、受けはピュアを通り越した病んでる感じの一途さ。
途中、少しだけの女子との絡みと、犯罪レベルの暴行な描写があり、皆様が警告されているとおり地雷の方は要注意です。。
でも、それを乗り越え、読みきる価値がこの作品にはあります。
はらださんの、青年誌と少女漫画の間のような絵柄がもともと好きでしたが、今回は更に丁寧になってるような気がします。表情も豊かに、コマ割りやアングルも凝ってて、見ていて楽しめました。
お話も、苦しい部分もありますが紆余曲折を経て最終的にはハッピーエンドとなったときの、不思議な感動が胸をうちます。
悪いことしたら、その報いがあるんだよね、とか、最悪な親に育てられた兄妹は、人の愛し方を知らなかったんだなとか、
因果応報。。とか、うっかり悟りを開きそうになりました(笑)
こだわりのカバーの色も鮮やかでかっこよくて、作品をまとめ引き締める秀逸なタイトルが超クーーールです。
作中でセリフに敢えて書かないとか、トリハダですよ。。
もちろんコメディ的な場面もあり、笑わせてくれたりもしました。みんな笑顔がかわいいはらだ作品ですが、ヨルだけは最後の方まで笑わないんです。
新曲をツインボーカルで歌うときに初めてニッコリするんです。そこもしびれましたよ。。
この素敵な表紙に惹かれた方は、是非一度読んで、この複雑な感情を味わってみてほしいです。
例えるなら、トンコツの臭いがキツいラーメン屋で。
この店すっごいにおいする、でも行列がすごい。気になりすぎて入ってみたものの、食べたらやっぱりキョーレツだった。
だけど。。クセになる味。これって何!?もしかしてヤミツキになってる??
てな感じの作品でした。(どんな感じだよっ)
色々とギリギリな人達がたくさん出てきました。
過去に恩と情がある男に、義理立てというか信頼を得たくてか、イカサマを引き受けてしまったカジノのディーラー菊池。
そのイカサマがあっさりバレて菊池に撮影付きのお仕置きをさせる副店長の須藤。
イカサマの秘密を共有してしまったためにお仕置きの巻き添えをくってしまったカジノのバーテン新谷。
他にも、菊池をゆすって無茶なプレイを強要するヤツ、カジノの店長や須藤と関係している会長。。
などなど。
これでもかってほど、キチクで非道徳的な人物ばかりの世界です。
唯一、新谷とその妹の日常だけが、ともすると読者がおいてけぼりになりそうなほどぶっ飛んだ、この世界観のなかで、現実感、安心感を与えてくれます。
このお話のなかではマトモに見える新谷だって、いくら妹を養うためとはいえ、カジノのバーテンを仕事に選ぶなんてその時点で、あまり健全とは言えません。
そんな新谷の中の「異常さ」に気づいた須藤は、本人にそれを自覚させていくと同時に自分も惹かれていきます。
しかし、展開的にどんなに必要だとしても、薬物系のエピソードは自分のなかでNGなのですが、須藤は悪すぎて、理不尽すぎて、でも色っぽすぎて、目が離せません。
私個人としては、健気でかわいくて危うい菊池の方が愛でたい存在なのですが。。
さて、この3人を乗せて走るストーリーは、これからどのような展開をみせて、どんな場所に辿り着くのか。。
この狂った男たちの中に、わずかでも救いを見いだしたくて、きっと次巻を待ち焦がれるのでしょう。
でもでも、救いの前には更に狂った事態も待ち構えていたりして、それもまた怖いものみたさで楽しみだったりするのだろうか。
それって、やっぱり、
ヤミツキ。。ってヤツなんだろうな・・・(。-∀-)
『同級生』を読み終えた時、感動とかせつなさとか愛しさとかぐっちゃぐちゃになって泣いた。
数日間ボーっとしてたまに泣いたりしていた。
二人ともかっこよすぎて可愛すぎて、でも本編が終わっちゃったら、大好きな人が転校しちゃって2度と会えないような気になっちゃって、お話の世界の人なのに自分にとってはリアルで、だから本気で寂しかった。
そこへ刊行されたこの続編たち。
決して、今までのお話の「補足」や、「おまけ」ではなく、少しずつ、かわりばんこに、結末へと導かれていきます。
どの人物も、「あいかわらず」な部分と、「少しの変化」の発見が確認できて、すべてが心地よく胸にストンと落ちていきます。
そしてラストの『光と利人』は、言わずもがな、最高の、さいこうの最終話。
もう、『同級生』の読後のような、せつなさを含んだ感動ではなく、地に足のついた、満ち足りた幸せ感に包まれ、あたたかい気持ちで本を閉じることができました。
それにともなって、『同級生』を読み返しても、以前より安心して読めている自分がいました。
なので、この『O.B. 』は、私にとってすごく意味のある作品になりました。
明日美子さんに、心からの尊敬と感謝をあらわしたいです。
余談ですが、草壁が佐条に、暗闇でどこまで見えてるか試したとき、ヨーダの真似をしたのが超ツボりました!入学式のときのやつだー!って、嬉しかったです(^o^)
BL作品を読み初めてまだ日の浅い自分ですが、思いきって書いてみようか!と思わされたこの『好きなひとほど』。
何が素晴らしいって、すでにレビューされている通りストーリー、キャラクター、表紙、ネーム、どれもずば抜け萌えなのです!
絵柄は好みが分かれますが、洗練された線というよりは、丸っこくて親しみのある画風で、なのにエロ度が濃い内容ってところのギャップに、より生々しさを感じて興奮をかきたてられます。
最初に米田先輩が攻めのエッチは、数コマしか描かれておらず、最初は「米田が攻めだった」ということだけ認識させており、後の逆転劇の辺りから本格的にエロ描写が始まるこのお話、そこから二人の気持ちの変化と互いの成長へと発展していくという流れがとてもよかったと思います。
恋のライバルも、両方のサイドに一人ずついて、米田は麦田が隠れた恋敵であることは知らないままなのですが、彼らの活躍(?)により、二人はより恋人同士になっていったのですね。。
はらださんのこのどこかほのぼのした絵柄も手伝って、誰もほんとの「悪役」にはならない感じが、読後感のよさに繋がってるなーと思いました。
全然関係ないですけど、麦田さんが「美味し○ぼ」の栗田さんに似てる気がしましたってことを最後に付け加えて。。
初レビューとさせていただきました!
素敵な一冊をありがとうございました!