なんでこんな繊細なストーリー展開ができるの!
おげれつたなか先生の描くキャラは‘‘生きてる’’って感じがします。
表情や心情の描写がめちゃくちゃリアル。なんというか、‘‘人間’’って感じです。
漫画の登場人物として作られたキャラクターなはずなのに、この世界のどこかに存在するカップルの恋愛を覗いてるような錯覚におちいります。
それぐらい繊細に登場人物の感情の動きが描写されていて、良い意味で漫画よんでる気になれない!
特に今回は、男同士の恋愛が世間では圧倒的マイノリティであることがテーマの1つだったので、同性カップルへの周りの偏見、
そして、周りの人の反応なんて気にしないと言いつつも、大切な家族や友人に認められたい、でも大切だからカミングアウトして傷つけたくない、大切な人達に拒絶されたくない、という主人公達の葛藤が目を覆いたくなるほど痛切に伝わってきて、心臓が締め付けられました。
しかも、新しい人物の登場も加わって、主人公達がすれ違ったまんま2巻は終了。
私の心臓は締め付けられたまんま終了。
......これ3巻が出るまで私の心臓このまんまなんですか?
くそぅ、冒頭の年越しラブラブ姫はじめの話を読んでやりすごすしか道がない。
泣きました。
緒川千世 先生の世界観というか作品の雰囲気は“静”というイメージで、今回もそのような感じでした。その静かな時の流れのなかで、主人公の烏童の心模様はけっして穏やかではありません。8年前に終わらせたかった恋.....隣にいれる嬉しさを感じると同時に好きな人の理想とかけ離れた自分への絶望に押しつぶされたあの恋...。その昔の想いびとに再会するのです。
一見、完璧で自信家な烏童。それはただの見せかけで本当はおそろしく悲観主義で自信が無いただの青年でした。好きで好きでしょうがない人への想いを自分にごまかすために繕った“好きな人の理想とは違う完璧な自分” しかし、 そんな張りぼては本当に好きな人の前ではすぐにくずされてしまいます....
いままで読んできたBL作品のなかでも3本の指に入るくらいの受けの病みっぷりでした。ヤンデレという訳じゃなくて、攻めの竹清にはけっして見せないけど心の中で依存してる感じ。共感はできないけどすごく理解はできます。烏童の心境を考え、感じる度に涙があふれてしかたありませんでした。