そこで働く人達にどんなことがあっても、世界大恐慌でも起きない限り動き続ける工場が舞台の物語です。
主人公であるコジカちゃん、糸島くん、風子さんも、今までのように平穏に過ごしていれば、この工場のように何事もなく時間は当たり前に過ぎていったはずです。
でも、三人とも、ほんの少しだけ頑張った事で世界が変わって行く、そんな物語だと思いました。
頑張ってもどうしようもない現実ももちろんあるし、特に過去やそして現在も色々あって、殻に閉じこもっていた糸島くんにとっては、現実を変えることはとても難しいように思えます。
この小説を読んでいると、自分自身の考え方や行動を見つめ直すことって大事なことだなと気づかせてくれます。
コジカちゃんは糸島くんに恋をして、糸島くんもそれをちゃんとわかって考えようとしてくれて。
コジカちゃんが暴走してしまったりもしますが、男の子同士の恋愛に誠実に向き合おうとしている二人がとても素敵です。
風子さんの物語は自分に当てはまることがたくさんあって、とても共感させられました。
読み進めて行くうちにじわじわとして読み終わるときゅんとする、そんな小説でした。
特に番外編は葛藤しながらも2人の距離がどんどんと縮まっていく様子が愛おしかったです。
糸島くん、頑張れー!って応援したくなりました。
2人がゆっくりじっくり育んでいく愛のその後がとても気になります。