治安維持部隊という軍隊のような組織で、偽名を使って呼び合う組織の中での上司と部下の物語です。
Xで時々見かけていながらも読んだことはなかったのですが、単行本が発売されたと見かけて興味を持って読みました。
もともとがきっとXでのご投稿で進んでいたからかな?と思うのですが、お話はエピソード単位で進むというか、飛び飛び気味で進んでいく印象がありました。でも、閉鎖的な環境で育まれる主役ふたり+エギル少尉を抱いている大佐のほんのり陰のある関係がとにかくよかったです!
濡れ場が主体の物語が苦手なこともあって、そういったシーンは暗転だったりキスまでだったりで止めてくれつつ、シリアスに進んでいく物語の雰囲気が個人的にとても大好きでした。
敬語で年下わんこながら弟っぽい一面のあるクロと、いろんな事情からミステリアスで色気があるエギル少尉のふたりとも魅力的で、もっとこのふたりの話が読みたくなりました。
年下攻めと強い受け、部下×上司の体から進んでいく関係、事情があって公にできない関係がお好きな方はぜひ!
高校時代、主人公の高瀬の「推し」だった同級生で写真家の羽鳥に対して、高瀬が「好き」だと伝えるも、その言葉をきっかけに縁が途切れてしまうところが主役ふたりの複雑な関係の出発点です。
大人になってパパラッチになった羽鳥と、アイドルのマネージャーをしている高瀬が偶然の再会を果たして、こじれた過去のこと、以前とは様子の違う羽鳥の事情、すれ違っていたふたりの気持ちについてだんだんと分かり合っていく過程にどきどきしました。
全部分かってみると、羽鳥のことを推したいから推して、好きだと伝えたいから伝えて逃げた高瀬はなかなかに自分勝手な人のようにも感じますし、羽鳥に同情してしまうところもかなり大きかったです。それでも中高生の時期はそういう視野の狭いところもあるものかなあと思いますし、社会人になってから再会したふたりがじりじり距離を詰めていく過程にときめきました。
性描写はなくキスまでなので、外でも安心して読めます。
ピュアなBL、初恋をやり直す甘酸っぱい物語がお好きな方におすすめです!