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燃えるような恋に落ちてしまった男の、一途で情熱的な愛

とらのとら先生にどハマりするきっかけになった作品です。
朱鷺と瑠璃、どちらも大変魅力的で、二人の恋模様が気になって夢中で読んでしまいました。
もう何度読み返したかわからないほど大好きな作品です。

偶然出会った美しい男・瑠璃に一目惚れしてしまった朱鷺。
それまで「燃えるような恋」の経験などなかった朱鷺ですが、居ても立っても居られず、瑠璃に猛アプローチをし始めます。
はじめてきちんと瑠璃と会うという場面で、自己紹介の直後、突然の告白をしたり。
当たり前のように振られて解散した後、瑠璃の元まで全力で走って「諦められない」と伝えたり。
冒頭の印象では「どこか淡々とした冷静な男」という感じだった朱鷺が、瑠璃に恋をしたことで一気にガラリと変わります。
穏やかな大人の男が、恋に突き動かされる感じがたまりません!
あまりに瑠璃のことが好きすぎて時々ちょっと変な行動を取ってしまうことがあり、そこもまた恋する男の可愛いところだな~と思ってしまいます。

瑠璃は朱鷺よりも少し年上で、自称「20年無職の元愛人」という綺麗な男。
愛人として食べていけるほどの美人ですが、口を開けば結構言動がコミカルで面白く、ちょっと世間知らずな面もあったり…というギャップが最高です。
朱鷺のアタックを飄々とした感じでかわしたり、歳を重ねた分の経験やズルさを感じさせる言動もまた魅力的。
失恋したばかりだという瑠璃は、朱鷺の告白をなかなか受け入れてくれませんが、何度も何度も情熱的に想いを伝えてくれる朱鷺にだんだんと絆されていくところが良いです。
タイトル通り、年下の朱鷺を「よしよし」とまるで犬を可愛がるように愛でる様子もグッときます。

攻めがひたすら情熱的に愛を伝える男なので、ベッドシーンはまさに愛の洪水といった感じ。
朱鷺のセリフはもちろん、朱鷺の心情を語る地の文にまで瑠璃への想いが溢れていて、本当にすごい。
こんなにも一途に愛される瑠璃は幸せ者だなぁ…と思います。
そんな朱鷺の愛を全身で受け止め、年下の男を甘やかしてやる瑠璃もたまりません。

二人ともアラフォー同士で年齢が高めなこともあり、全体的に落ち着いた雰囲気の物語です。
街などの情景がとてもリアルに描かれていて、その中で暮らすキャラクターたちが「生活を営んでいる」感じがすごく好みでした。
朱鷺の友人夫婦、喫茶店のマスターなど、個性豊かなサブキャラとの掛け合いも楽しいです。
また、とらの先生は建物、特に住居にこだわりのある作家さんのようで、この作品でも瑠璃の暮らすレトロなマンションや、二人が逢瀬を重ねる純喫茶などが魅力的に描かれています。建物好きの方はこちらも要チェックです。

朱鷺と瑠璃、偶然出会ったはずの二人には、実はある不思議な「共通点」があります。
これを知った時「ああ、この二人は出会うべくして出会ったんだなぁ」と、運命のようなものを感じてしまいました。とてもロマンチックで大好きなポイントです。
詳細は省きますので、ぜひ読んで確かめて頂きたいなと思います。

今夏最大の衝撃「サワガニBL」

発売前、Xに流れてきた「サワガニBL」というタグがついたポストを見て知ったこちらの作品。
あらすじを読んでもツッコミどころばかりで何ひとつわからないのに、逆にそれが「一体どんな話なんだ…!?」という好奇心を不思議とかき立てる。
そして思い切って本を開いてみれば、笑い、戸惑い、胸キュン、切なさ…様々な要素と、溢れんばかりの蟹のエッセンスがぎゅっと詰め込まれた、蟹ミソのように濃厚で味わい深い作品でした!
年の瀬に今年読んだ作品を振り返ってみても、未だその衝撃は色褪せず、記憶の中に鮮烈に残っています。

まず、人間に変身するサワガニの受け・チャロが可愛い!
何故かアオ○ンや人間の営みに興味津々なエロガニ?ですが、未知の世界にも臆さず、持ち前の明るさと行動力でどんどん突き進む姿を見ていると、不思議と勇気をもらえる気がします。
蟹ゆえの無知さからちょいちょい飛び出す天然ボケや突拍子もない発言には何度も笑わされました。
純粋無垢でいつも明るいチャロですが、そんなチャロが人間に憧れる理由を知った時、思わず涙が…
手がシザーハンズだったり、いまいち人になりきれていないチャロの蟹要素が、物語の後半にかけて切ないエッセンスとして絶妙に効いてくるところもたまらないです。

そして、蟹姿のチャロを何気なく拾った攻め・龍治のぶっきらぼうな優しさも刺さりました。
擦れた攻めには無垢な受けを与えよ。王道パターンとも言えますが大好きな組み合わせです。
いろいろと人とは違うチャロに驚いたり呆れたりしながらも、放り出したりせず何だかんだ面倒を見てくれる辺り、心根の優しいイイ男ですね。
「人間に変身するサワガニ」を受け入れる懐の広さを持った攻めはそうそういないのではないでしょうか。

個人的に一番の推しポイントは、蟹への細かすぎるこだわりです!
シザーハンズや蟹ミソなどのライトなおもしろ要素(?)から、果ては人と蟹の生態や習性、生物的な構造の違いまで。
こんなに蟹に特化したBLは二度とお目にかかれないんじゃないだろうか…?と思ってしまいます。
本当に、ここでしか読めないものを読ませて頂いたなぁ…と。
この奇抜すぎる設定できっちり物語を書ききった、いしだ先生の筆力を讃えたいです。

次々に飛び出す蟹要素!蟹ギャグラブコメ…に見せかけた切なめ純愛路線!予測できないストーリー!
王道BLに飽きてきた方にぜひ読んでほしい一作です!

キラキラに輝く、世界で一番の「最推し」に出会えた幸せ

アイドル×マネージャーの13歳差年下攻めと聞いて楽しみにしていた、とらのとら先生の最新作!
地下アイドルものか~どんなお話だろう?と思って読み始めたら、もう…もう…二人がとにかく可愛くてたまらない!!!
年下らしく甘えながら一途に亮だけを想う隼人。自分を慕ってくれる隼人をアイドルとして成功させてやりたくて奔走する亮。
お互いがお互いのことを大切に思っている二人の関係が、最高に尊い…!
とらのとら先生の作品は全て読んでおり、どの作品も大好きですが、予想以上に深々と刺さりました。

弱小芸能事務所の新ボーイズグループオーディションで出会った隼人に可能性を感じた亮は、「この子の夢をおれが叶えてやりたい」と思ってしまうほど隼人に惹きつけられます。
しかし、始動したボーイズグループは初っ端から波乱の連続!メンバーの炎上・脱退が続き、あっという間にひとりぼっちになってしまった隼人。
弱小事務所にはもったいないほどの逸材である隼人ですが、大々的に売り出すほどの力や予算はこの事務所にはなく、隼人のためにと尽力する亮が歯がゆい思いをする場面も。
それでも隼人は「これからもがんばるから」と亮を信じてついて来てくれるんです。
物語の最初から最後まで、健気に亮を慕う隼人が本当に可愛い…!!!
ビジュアルはクール系イケメンでファンにも塩対応なのに、亮に対しては年下らしい可愛さ全開で甘えん坊のわんこ。このギャップがとにかく最高です!

マネージャーの亮は35歳とそれなりの歳ですが、明るく頑張り屋な印象とちょっと童顔気味な顔立ちから、年齢よりもずっと若々しく感じます。
事あるごとに「亮くんはかわいいよ」と口にする隼人ですが、読者から見ても本当にそう思います。こんなに可愛い成人男性がいるなんて…!
隼人をはじめ、所属アイドルたちのために奔走する姿は「世話好きの頼れるお兄さん」って感じで、慕われるのもわかります。
そして亮は、実は元地下アイドルという経歴の持ち主。
自らのアイドル時代は不遇に終わっています。隼人に自分と同じ思いをさせたくないという気持ち、優しいけれど切なくもある…
ここまで言えばお気づきの方もいらっしゃるでしょう。隼人が亮を一途に慕う理由…それは、アイドル時代の亮が隼人の初恋の人だから!!!
「亮くんのカレシになりたい」その一心で亮の居場所を突き止め、アイドルのオーディションを受けてまで追いかけてきた隼人…!
なんという執着…!と慄いてしまいますが、ドロドロ感よりも一途なピュアさが勝るせいか、意外にサラッと読めてしまうのが不思議です。
そんな隼人の執着や恋心に気づかず「甘えん坊だな~」と隼人をよしよしする亮、という構図もコミカルで可愛らしく、思わずニコニコしてしまいます。

アイドルとマネージャーという関係性の二人ですが、隼人が甘えん坊わんこなうえ、隼人の生活面のサポートをするため同居することになったり、距離感は序盤からかなり近め。
君たちの境界線は一体どこにあるんだ…!?と思ってしまうくらいのイチャイチャっぷりが大変ありがたいです。
二人の恋愛模様が甘々な一方、「弱小事務所の売れない地下アイドル」なのでお仕事方面ではちょっとほろ苦い部分も。けれど、その甘さとしょっぱさがとても良いバランスで癖になります。
隼人と共に活動する追加メンバーの琉夏、塩対応の隼人を推し続ける貴重なファン・青ロリちゃんなど、個性豊かなキャラクターたちとのやり取りも楽しいです。

この作品の素敵なところはたくさんありますが、特に「ピュアさ」が刺さりました。
大人になると、純粋で居続けるってとても難しい。
華やかに見えるアイドルの世界だって、売れるためには事務所の力や資金、SNSでのバズが必要。きれいごとだけじゃやっていけません。
それでも、初恋の人を一途に想い続けてアイドルの道を選んだ隼人。自分を慕ってついて来てくれた隼人を輝かせるため、全力で支える亮。
二人はどこまでも純粋で、だからこそ眩しい。お互いを想い合うピュアな気持ちが、胸にじんと響きます。
悲しいお話ではないのに、思わず涙してしまったシーンがたくさんありました。
そしてそして、童貞年下攻めの可愛いところをギュッと詰め込んだ二人の「はじめて」のシーン、これがまた最高に良いんです!!!
年下攻めBLがお好きな方、必見です…!

「アイドルを推す」って、もしかしたら恋なのかもしれない。
読了後、ふとそんなことを思いました。
亮が、そして隼人が「アイドル」という道を選んだから生まれた出会い。二人の物語は奇跡に似て、また運命のようでもあります。
「推しを推す幸せ」を教えてくれた二人に感謝の思いを込めて、二人のメンカラ・青色のペンライトを全力で振らせて頂きます!