スピンオフの『黒歴史によろしく』の連載が始まった!
狭間恋之介は6年も富士日和に片想いをしている高校生。成績優秀で182㎝の立派な体格(腹筋割れてます)でありながら、実家が地元では有名な狭間組のため孤立した少年期を過ごす。富士日和はごく普通の家庭にうまれたごく普通の高校生。恋之介がどうして日和に片想いしたのかのエピソードは作中ではない。小さな本屋「ブックストア佐久山」でバイトをしていた二人が高校生最後のクリスマスを迎えようとしていた。
最初は狭間組の佐久山の土下座にビビッて始まったカップル計画だったが日和は恋之介に惹かれていく。実は日和をノンケのヘタレとみていたのだが、そんなことはなかった。恋之介のギャップや邪魔な佐久山の影に隠れて見逃してた。日和が好きな子は大切にリードしたいと相手を思いやる場面がいくつも散らばっていた。よく見ると日和は優し気な顔立ちなのだ、もう少し大人に成長すると頼りがいのある彼氏に変貌しそうなのである。伸びしろの大きな二人、どんなカップルになっていくか楽しみだ。
郡山雪を顧みる。
冒頭の夜景のシーンで指輪を投げようとして投げられない雪の仕草や表情はとても惹きつけられる。そう、悲しみに耐えている。失恋は優しい人ほど傷ぐちを深くしてしまう。本当は泣き喚いて相手を責めればいいのに。好きだからできない。いや、したくないのが本音かもしれない。雪の表情は憂いた時が一番美人だ。美空にはない艶がある。
廣瀬美空を顧みる。
美空は嫉妬するほどの恋をしていなかった。確かに相手の好意は嬉しいし、楽しい。しかし別れがくれば執着せずに次へ切り替えていたはず。それが雪を抱いてから雪の心の中にあるのが自分じゃないとはっきり自覚できたのが、元カレと会った瞬間だった。初めて感じる焦燥。
自覚する前に口にした「彼氏」。
美空が働きに出始めたのは、雪と対等に付き合えるようになりたいからだ。情けない彼氏じゃなくて、雪を笑顔にできる大人の男に成長するために。それこそ愛ってやつでしょう。