前半でヴァイスがソロにしたことがあまりにもひどいので、いくら追いかけてきて許しを請われてもヴァイスを許せるか否かがこのお話を楽しめるかどうかのポイントかと思います。
そもそも許してくれとか話を聞いてくれとか身体的にも肉体的にもあれだけ傷つけてきた側の言うセリフじゃないんですよね。でもこの作品の良いところは、ソロが簡単に絆されないところ。
トラウマが発症してるのでソロはヴァイスを目にすると恐怖で震えてうまく息ができなくなってしまうんですよね。最早潜在的に拒絶されてしまう様になったヴァイスに対してザマァの気持ち、出ちゃうよね(笑)。まあソロに拒絶される度に傷ついてしょんぼりするのでそれも苛つくのですが……お前が始めた物語だろ!
個人的にはもっとヴァイスわからせというか、自分がソロにどれだけのことをしたかを理解して反省する描写はあった方がよかったかなぁ。てか攻視点が0.5%くらいしかないので本当にヴァイスに感情移入できずに終わります。
運命の番に出会って、翻弄されて、嫌われる様に仕向けたのにいざ自分の元から逃げ出されたら追わずにはいられない、そういうヴァイスのぐちゃぐちゃな感情を商業化するにあたって加筆してくれたらよかったんだけどな〜。
それで結局運命の番以外の理由でヴァイスがソロを好きになるエピソードがなさすぎたのが、わざわざソロを探して追いかけてくるヴァイスの行動に説得力がなかったのも惜しかったなぁ。
逃げ出してからのソロの周りがあたたかいヒトばかりなので、あまり辛くならずに読めるところはよかったです。
ちなみになんですが、私はこのお話には三角関係要素はなく(ソロは別にアルヴァロに対して恋愛感情を持っていたわけではないので矢印が繋がらない=三角の形にはならないため)、NTRでもないと感じました。
ただただ手元に置かれて(表面的には)ヴァイスを煽るためにかわいがられていた感じかと私は思っていましたが、そう感じる人もいるのか〜とびっくりしました。確かに読者のために敢えて描写していない可能性もあるのか〜…と。
でもソロはアルヴァロにキスはされていますが肉体関係を持ったという描写は全くなく、また元のweb小説の方にもNTRのタグや注意書きはありません。
そもそもあの時点で二人が肉体関係を持ったならヴァイスの怒りや苛立ちがあれだけで済んでいるわけはなく(恐らくにおいで分かるので)、気づいた瞬間にアルヴァロをころしそうな気がします。自分がしでかした事態のくせにね…(笑)
またアルヴァロのヴァイスへの煽りも肉体関係をにおわせることは全く言っていないのです(個人的にはそりゃ関係持ってないんだから言うこともないだろという感じだったんですが)。ソロも多分ヴァイス以外を肉体的に受け入れたら心が本当に壊れていたんじゃないかと思うし。なのでソロとアルヴァロには肉体関係はなかったんじゃないかなぁと。
ほんとのところを作者さんがどういう意図で書いていたかは分かりませんが、NTR要素ありの表記で読むのを躊躇っている方は一応そうじゃないと思ってる層もいるよ〜って知っておいて欲しいです。